三日月ドロップ(前編)
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・・・・・・・・・・・
ドアを開けると、ナギの背中が見えた。
ヒロインはギュッとナギの背中に抱きついた。
ナギ
「!?? ヒロインか?」
不意に抱きしめられたナギは、驚いた。
ヒロイン
「ナギ!お帰りおかえり!!」
なんだか何日も会ってなかったかのように、
ナギが恋しくて堪らない。
ナギ
「ふっどうした?」
スッとオナカに回した手に、ナギの手が重なる。
ナギだ!
ヒロインは大きな背中や、ナギの匂い
ゴツゴツとした大きな手を感じていた。
ナギは抱きしめられたヒロインの手を外し、振り返り腰に手を回して、抱きしめ返した。
ナギ
「ただいま ヒロイン」
ナギの優しい笑顔を見たら、安心して
なんだか泣きそうになってしまった。
ナギはそっと頭を撫でる。
何も聞いて来ないナギに、ヒロインはどこからどう話せばいいか悩んでいた。
ナギ
「…シンの部屋にいたって…?」
その言葉にドキッと心臓が跳ねる。
ヒロイン
「…うん…」
ナギは抱きしめる手に力が入る。
ナギ
「大丈夫か?」
ナギの優しさにヒロインは胸がいっぱいになる。
どうしてナギの前だと、こんなにも弱い自分しか出す事が出来ないんだろう。
ナギと出会う前は、なんでも1人で乗り越えてきたのに
甘える事を覚えてしまい、もうどうやって1人の夜を過ごしていたか忘れてしまった。
ヒロインはナギを見上げた。
ヒロイン
「うん…ナギ…怒ってる?
酔っててあんまり覚えてないの…
でも…んっ!」
ナギは必死に説明しようとするヒロインの唇を塞いだ。
ナギ
「…怒ってねぇよ…」
唇が離れると、ナギは優しくヒロインを見つめた。
潤んだ瞳で見つめられると、どうしようもない気持ちになる。
ヒロインはナギの言葉を聞いて、安心して力が抜けた。
ポスッとナギの胸に顔を埋める。
ナギ
「お前、昨日スゴかったらしいな?」
ナギはヒロインの頭にアゴを乗せながら話しかけた。
ヒロイン
「…うん…そうみたい…」
ナギ
「ふはっ! ったくお前はぁ…ククッ」
ナギの笑い声が聞こえ、ヒロインはやっぱりナギが大好きだと再確認した。
ナギの腕の中にいると、世界で一番幸せな女の子になった気がする。
ヒロインはそっと目を閉じ、ナギを確かめるように
ギュッときつく抱きついた。
ヒロイン
「帰ってくるの早かったね?」
ナギ
「あぁ、思ったより近かったからな…」
ヒロイン
「?」
ナギが何か続けて話しそうな雰囲気を残し、言葉を切った。
ナギ
「それに明日出航するしな」
ヒロイン
「明日!?」
ヒロインはパッと顔を上げた。
ナギ
「どんな形であれ、地図を奪ったんだ…
あの女が海軍にオレ達の事タレ込んでる可能性もあるだろ?」
ヒロイン
「そっか…」
ヒロインはもう少し宿でゆっくりして、ナギとの時間を楽しめるかと期待していた。
ナギはヒロインの沈んだ表情を見逃さなかった。
ナギ
「…陸の方が好きか?」
ヒロイン
「えっ?」
ナギ
「いや…お前なんかシンの匂いがする」
話しを変え、さっきから気になっていた事を聞くナギ。
ナギ
「あと、酒臭せぇ」
ヒロイン
「うそ!? お、お風呂行ってくる!」
バッとナギの胸から抜け出し、お風呂場へと向かおうとすると、
ナギ
「ちょっと待て!」
ナギの視線が胸の辺りへ行く。
ナギ
「チッ!」
ナギはスゴイ勢いで部屋を出て行ってしまった。
何があったのか…ヒロインは気になるが、酒の匂いと、シンの匂いを落とさなくてはと
お風呂場へと入っていった。
・・・・・・・・・・・・・・
(シンのヤツ何しやがった?!)
ヒロインを正面で見た時に初めて気付いた、シャツのボタンが掛け違えている事に…
まさか脱がせたのか?
ナギは斜め向かいのシンの部屋へと、抑えきれぬ怒りを抱いて
ノックもせずに飛び込んだ。
バン!!
勢いよく開いたドアにも驚かず、シンは冷静な声で話す。
シン
「ノックくらいしろよ?」
風呂に入った後のようで、上半身裸のシンは
シャツの袖に手を通す所だった。
ナギ
「お前何した?」
シン
「…何もしてない…
寝苦しそうにしてたから、ボタンを緩めただけだ」
理由も言っていないのに、なんの事だか分かっているような返答に
ナギはイラついた。
シンは意地の悪い笑みを浮かべる。
シン
「ナギ、お前もヒロインの事となると
そんなになるんだな」
そう言われて、ナギはハッと冷静な感情に戻った。
シン
「クククッまぁいい。
オレをナギと間違えて、可愛く甘えてきたぞ?」
ナギ
「!!!?」
ナギは頭の中に、可愛く甘えてくるヒロインを思い浮かべていた。
自分しか知らないはずの顔を、シンは見たのか?
ナギはまたしても怒りが込み上げる。
シン
「フン、そんな顔されてもオレが頼んだ訳じゃないしな…」
確かにそうだと、ナギは胸ぐらを掴みかかりそうな衝動を
グッと堪えた。
ナギ
「…悪かった…」
そういうとナギは、何も責める事はせず部屋を出た。
(オレは何をしてるんだ!)
ナギは頭に巻いたバンダナをグッと外すと
ガシガシと頭を掻いた。