三日月ドロップ(前編)
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ヒロイン
「ん…」
窓から差し込む日差しにヒロインは目を覚ました。
なんだかスゴクよく寝た気分だ。
なんで自分がベッドで寝ているのか、サラシを緩めているのか…
昨晩の事が何も思い出せない。
ナギの腕の中にいるという事は、心配する事はない。
そう思いもう一度目を閉じた…が、すぐにパッと目を開けた。
ナギは帰って来ないと言っていた。
それになんだか体もいつもより少し華奢な感じがする。
この香水の匂いどこかで…
ヒロインはそっと顔を上げると…☆☆☆
ヒロイン
「シ、シンさん!???」
ガバッとベッドから起き上がるヒロイン。
シン
「チッ、朝からうるさいヤツだな…
…まぁ眺めは悪くないが…」
眺め?
ヒロインは視線をたどり、胸の辺りを見下ろした。
シャツのボタンがオナカの辺りまで開いていて、
緩んだサラシが落ち、胸の膨らみがシャツの隙間から見えていた。
ヒロイン
「きゃあ!! シンさんの…シンさんのエッチー!!!」
ヒロインはバッとシャツの前を両手で合わせると、ベッドの端まで後ずさった。
シン
「バカ!お前そんな端にっ…!!」
ヒロイン
「きゃっ!」
勢いあまってドサッとベッドから落ちてしまったヒロイン。
ヒロイン
「いたたた…って、痛くない!?」
シン
「…当たり前だ…」
ギュッと瞑っていた目をソロリと開けると、シンが抱きしめ、守ってくれていた。
しかしヒロインは、色んな事がいっぺんに起こり過ぎて
頭の中がパンク寸前だった。
ヒロイン
「ひゃあ!シンさん、ちっ近いです~!!
もぉ何なんですかぁ~!!!」
ヒロインはドンッとシンを押しのけて、
壁まで後ずさると、膝を抱えて半べそをかいた。
シン
「おまっ…!助けてもらっといて!!!」
シンは怒鳴りつけようかとヒロインの前で仁王立ちしていたが、
小さく丸まり、泣きそうな顔を見て
はぁ…とタメ息をついた。
シン
「ほら…」
シンはスッとヒロインの前に手を差し出した。
ヒロインは左手でギュッとシャツの前を握りしめ、おずおずと右手をシンの手に重ねた。
ゆっくりヒロインを立たすと、シンは冷静な声で話し始めた。
シン
「安心しろ、オレは寝込みを襲う趣味はない。
それに他の男の印をつけた女を抱くほど、女には困ってない」
ヒロインは昨日酒場で女が胸元を見て、反応した事を思い出した。
印とは何の事か… チラッと胸元を覗くと
小さな赤いアザが出来ていた。
その場所は昨日ナギがキスをしてくれた場所。
あのピリッとした痛みはこれだったのかと
ナギが守ってくれたとヒロインは、思わず笑みがこぼれてしまった。
シン
「…フン、ナギの事考えただけでその顔か…」
ヒロイン
「え…?」
目の前でナギの事を想いながら、可愛い笑顔を浮かべている事に苛立ってしまう。
シン
「まぁいい…お前風呂入ってこい…
酒臭いから…」
ヒロイン
「あっあの!私…なんでシンさんの部屋に?」
全く覚えてないのかと、シンは呆れた。
重いタメ息をつくと、面倒臭そうに昨晩の出来事を話した。
その話しを聞いているヒロインは、どんどん顔が青ざめていく。
ヒロイン
「ほ、本当にすみませんでした!!」
ヒロインはあのシンに、こんなとんでもない事をしてしまい
顔を上げて話をする事ができない。
ヒロイン
「私、あのっ部屋戻ります!
お風呂も部屋で入ります!! 本当にすみま…!」
慌てて部屋を出ようとすると、シンが急にヒロインの手首をグッと掴んだ。
ヒロイン
「シン…さん…?」
シンの顔を見上げると、ヒロインは見入ってしまった。
シン
「…なんだ?何を見てる?」
今さら気付いたが、シンは眼帯をしていなかった。
ヒロイン
「あ…初めて見たので…キレイな瞳の色ですね…」
左右の目の色が違う事に気付いたヒロイン。
シンはその言葉に一瞬、驚いたように目を開いたが、
すぐに優しい笑みを浮かべた。
シン
「…誰にも言うなよ?」
ヒロインはコクッと頷いた。
コンコン
シンの部屋のドアがノックされ、ヒロインは驚き
不安な表情でシンを見つめた。
ソウシ
「シン…起きてる?」
シン
「…チッ…」
シンは掴んでいたヒロインの手を離した。
シン
「ボタンしろ」
ヒロイン
「えっ?えっあっ!!」
ヒロインは慌ててボタンをはめる。
シンは最後のボタンをはめ終わるのを確認すると、ドアを開けた。
シン
「どうしたんですか?」
ソウシ
「ヒロインちゃん…あぁ、良かったおはよう。
体調はどうかな?」
ソウシのにこやかな笑顔にホッとする。
シンは心配で様子を見に来た事が分かり、心の中でもう一回舌打ちをした。
ヒロイン
「昨日はすみませんでした。。
皆さんに迷惑掛けちゃって…」
ソウシ
「何言ってるの! 大活躍だったんだよ?
覚えてないの?」
ヒロイン
「…あんまり…」
気まずさに俯くヒロイン。
ソウシ
「あははっそっかぁ
でも船長は大喜びだよ?!
あっそうそう、ナギも帰ってきてるよ?」
その名前が出た瞬間、ヒロインはパッと顔を上げた。
ソウシ
「ふふっ部屋にいると思うよ?」
嬉しくてナギに会いたくてうずうずしてしまう。
ヒロイン
「じゃあ部屋戻ります! シンさんホントにありがとうございました!!」
ヒロインはペコッとお辞儀をすると、斜め向かいの部屋へと飛び込んだ。
その姿を見送ったシンとソウシ。
シン
「…随分タイミングいいですね…」
ソウシ
「ん?来てくれて良かったって言って欲しいな」
ソウシはふふっと笑うと、廊下を歩いて行った。
確かにソウシが来てなかったら
ヒロインの手首を掴み、部屋へ帰る事を阻止して何をしていただろか…
シンはさっきまで一緒に寝ていた乱れたベッドを見つめた。