三日月ドロップ(前編)
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今夜の酒場はとても繁盛していた。
リュウガはすでにほろ酔い気味で、上機嫌にヒロインに話しかけてきた。
リュウガ
「いやぁ~今日はヒロインの熱演で、無事上陸だな!!」
あまりの大声に、お酒を口にしようとしていたヒロインは
酒をこぼしてしまった。
ソウシ
「ホント! すごいよね、役人相手に手を払っちゃうんだもん!」
シンとソウシの間に座ったヒロインに
ソウシはニコニコと微笑みかけてくれた。
シン
「何も考えてないだけだろ?」
シンは目線も向けずに、冷たい言葉を放った。
ヒロイン
「う…そうかも…です…」
ナギが不在の今、誰も助けてくれる人はいない。
ヒロインはいつもより、お酒を口にするペースが早くなる。
と、言ってもアルコールの度数はかなり低いお酒だ。
ジュース代わりのようなので、メンバーの誰にも咎められる事はなかった。
そんなやり取りをしていると、リュウガの傍に女が立った。
女
「あら!リュウガじゃない!」
品良く着飾った女性だ。 商売女だろうか?
ヒロインはリュウガと女のやり取りに耳をすます。
女
「久しぶりね…黙っていなくなってどの位かしらね…」
リュウガ
「おぉ!久しぶりだな!!」
リュウガのこの反応…名前を覚えてないに違いない。
ヒロインは、はぁ…とタメ息をついた。
リュウガの女好きは、どの港にいても途切れる事はないのだと
呆れ果ててしまう。
女
「今日は相手してくれるんでしょうね?」
女はリュウガの頬をスッと指でなぞる。
リュウガ
「悪りぃな、今日はちょっと野暮用があってな…」
リュウガがそう答えると、女はスッとリュウガの前に紙キレをチラつかせた。
それを目で捕えたリュウガは、ガバッと紙キレに食い入るように姿勢を正した。
リュウガ
「おまっ! それをどこでっ!!」
紙キレを奪おうと手を伸ばすと、女は見越していたかのように
紙キレを胸元にしまう。
女
「んふふっ欲しいでしょ?」
リュウガ
「かぁー!お前もよくやるよなぁ!」
リュウガはやられたとばかりに、オデコに手を当てた。
すると横からコソッとソウシが耳打ちしてきた。
ソウシ
「多分お宝の地図だね」
ということは…
リュウガがこの女性と寝たら手に入ると言う事だろうか?
よくよく考えてみると、こんなキレイな女性と『そういう事』ができる上に
地図も手に入るなんて、リュウガはなんておいしい賭けを持ちだされているのかと
ヒロインは、目の前で悩んでいるリュウガを不思議そうな表情で見つめた。
(船長は何を悩んでいるの…?)
シン
「…多分船長は、抱かねぇな…」
反対側の耳にシンがそっと話しかけてきた。
ヒロインは、『なんで?』とばかりにシンを見つめ返した。
女好きのリュウガが、こんなおいしい話しに飛びつかないなんて…
ヒロイン
「なんでですか? あんなにキレイな人…」
ソウシ
「あの人は海軍と通じてるって噂…
前に船長が手を出そうとしたら、掴まりそうになったんだ…
だから船長は悩んでるんだよ…」
そういう事かとヒロインは納得した。
こんなに近くにあるのに…リュウガはどうやって手に入れるのか?
みすみす手放す訳はないだろう、盗むのか?
しばらくの間、タイミングを見計らうように
女を交えて食事をしていた。
ぼんやりと女性らしい女の動きやリュウガの行動を眺めてるうちに
なんだか頭の中がクラクラしだした。
シン
「おい!ヒロイン! 大丈夫か?」
シンが異変に気付き、声を掛けてきた。
ヒロイン
「ん~…シンさん…私なんだか…」
体がフワフワする。
シン
「ってお前! さっきからオレの酒飲んでんじゃねぇか!」
ヒロインは、アルコール度数のかなりキツイ
シンの酒を知らずに飲んでしまっていたらしい。
なんだか気分が悪くなってくる。
ソウシ
「大丈夫かい?お水もらおうか??」
ソウシの心配そうな顔がぼやけてる。
するとその騒ぎが気になったのか、リュウガに張り付いていた女が
ソウシとヒロインの間に座る。
女
「あらぁかわいそう…私に寄り掛かって!」
ヒロインは、頭をそっと抱えられ
女の方にもたれかけさせられた。
しかしキツイ香水の匂いがヒロインを襲い、気持ち悪さに拍車がかかる。
ヒロイン
「わっわた…オレ!大丈夫です!!
ちょっとトイレ!!」
そう言ってヒロインは、ふらふらしながら席を立ち
トイレへと逃げ込んだ。
一応男性用のトイレへと…。
・・・・・・・・・・・・
女
「ねぇねぇあの子なんて名前?」
リュウガ
「あ?なんでだよ?」
女
「新しく入った子? トワまでは知ってるけど…
あの子かわいいわね、まだ何も知らなそう…ふふふっ」
その場にいたメンバー全員が一斉に女を見つめた。
女
「何よ?」
リュウガ
「…かわいいって…あいつがか?」
女
「そうよ!
ソウシさんもシンもきれいな顔してるし
ハヤテもトワもかわいいけど…
なんていうかぁ…かわいいけどキレイっていうか…」
女はうっとりした表情を浮かべ、ヒロインとの情事を思い浮かべているようだ。
女
「あっ私、お化粧直ししてくるわ!」
女は嬉しそうに席を立つと、足早に化粧室へと向かった。
リュウガ
「ヒロインのかわいさは、男女の境がないのか?」
シン
「あぁいうナヨナヨしたのが好きな女もいるんですよ」
シンは冷たい言葉で返したものの、ショートカットのヒロインも とてもかわいく
髪の毛を整えてから甲板に出てきた時
シンの胸はドキッと鳴った。
髪を切っただけなのに、こんなにも印象も表情も変わるのかと
シンは近くにいるだけで、いつも以上に意識してしまっていた。
リュウガ
「…シン…」
リュウガが目で『行け』と合図をする。
シンは、はぁ…とタメ息をつくと席を立った。
今夜はシンが女を落として、例の地図を手に入れろという事だ。
寝る事はないにしても、どうして落としたものか…
まったく興味のない女を落とす事程、無意味な事はない。
それだったら酔ったヒロインを看病するか、からかっている方がよっぽどいい。
赤い顔をして、オレに食ってかかってくる…
シンは思い出すと笑いが込み上げ、クククッと小さく声が漏れた。
すると男性トイレから声が聞こえた。