三日月ドロップ(前編)
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ソウシの部屋に連れて来られたヒロイン。
椅子に座り、後ろから髪を整えてくれるソウシは、部屋に入ってから
何も話して来ない。
いつから伸ばしていた髪だったんだろう…
短くするのはいつ振りだろう…
そんな事を考え、静まり返った部屋にはハサミの音だけが響いていた。
ソウシ
「まったく…スゴイ女の子だねヒロインちゃんは…」
沈黙を破ったのは、ソウシのタメ息まじりの言葉だった。
ヒロインはその声にハッとし、慌てて答えた。
ヒロイン
「す、すいません!!
これしか思いつかなくて…」
ソウシ
「ヤマトの女性は髪がとてもキレイなのに…」
ヒロインの艶やかな髪は、ヤマトの女性ならではの気品が漂っていた。
ソウシはヒロインに似合った女性らしい髪型が、気に入っていたので
正直残念な気持ちでいっぱいだった。
ヒロイン
「あっでも、髪の毛洗う時楽ですし
少しの間ですけど、男の子になれるなんて楽しみです♪」
ヒロインのお気楽な返答に、ソウシは思わずハサミを止めた。
そしてふっと微笑んだ。
ソウシ
「…まいったなぁ…髪を切らせちゃった事
気にしてたのに…君って子は…」
ヒロインは照れくさそうに笑うと、ソウシの胸はキュンと疼いた。
こんなに近くでヒロインを感じるのは滅多にない事だ。
2人だけの空間で、何よりナギも他の誰もした事のない
ヒロインの髪を整えている事に、少しだけ優越感を覚えた。
ソウシ
「…はい!出来たよ? 鏡見る?」
ソウシが手鏡をヒロインに渡す。
鏡を覗き込んだヒロインは、歓喜の声を上げた。
ヒロイン
「うわぁ!ソウシさんスゴイです!!
私じゃないみたい!!
嬉しいです! ありがとうございます!」
ショートカットになったヒロインは、自分の変わりように驚いた。
ヒロイン
「男の子に見えますか?」
そう問いかけられソウシはドキリとした。
正面からしっかり見て初めて思った。
ロングヘアのイメージしかなかったヒロインだが、
いざショートヘアになると、余計に大人っぽく色気が増した気がする。
それにそんな笑顔を向けられると、ソウシは堪らない気持ちになる。
ソウシ
「…ん~なんだろ…
私には余計色っぽく見えてしまうんだけど…」
小柄とはいえ、男のトワの洋服はヒロインには少し大きく、
それが余計にヒロインの体の細さや小ささを強調しているように思えた。
ソウシは目の前で、キョトンと自分を見上げるヒロインを抱きしめたくなった。
自分しか知らないヒロイン。
この部屋を出たら皆が知ってしまう。
ソウシはそっとヒロインの頬に手を掛けた。
ヒロイン
「ソウシさん?」
ソウシ
「………」
警戒心もない、純真無垢な目で見つめられたソウシは、
邪まな思いを抱いた事に慌てた。
ソウシ
「あっごめんね? 髪の毛ついてた…」
ヒロイン
「ありがとうございます!
私部屋できちんと洋服整えてきますね。
本当にありがとうございました!」
深々とお辞儀をするとヒロインは部屋を出て行った。
ソウシは閉まったドアを見つめ、ヒロインよりもずっと大人なのに
邪まな感情に流されそうになっている自分に
情けなくなってしまった。
ソウシ
「…本当…不思議な子だな…」
・・・・・・・・・・・・・
部屋へ戻るとゴゴゴッというスクリュー音が船内に響き、
シンが船を港へと進めている事にホッと胸をなで下ろした。
ヒロインはシャツとブラジャーを外し
念の為、胸の膨らみがバレないようにサラシを巻きつける事にした。
2、3回巻きつけていると、コンコンとドアをノックする音とともに
ナギが部屋へ入ってきた。
ナギ
「!! 悪い!着替えちゅ…」
ヒロイン
「ナギ!ちょうど良かった!!
手伝って欲しいの!」
ナギはヒロインの顔を見ると、なんだか暗い表情を浮かべた。
ヒロイン
「ナギ?どうしたの?」
そう問いかけると、ナギはヒロインの腕を引いて抱き寄せた。
サラシを巻いているとはいえ、裸に近い状態のヒロインはドキドキしてしまう。
ナギ
「…ごめんな?」
ナギの切ない声が頭の上から聞こえた。
ドキドキとしていた胸が、急に静まり
ヒロインはナギの胸から少し体を離し、ナギを見つめた。
ヒロイン
「? ナギ?」
ナギは悲しそうな目でヒロインを見つめると、そっと切ったばかりの髪を撫でた。
ナギ
「…お前の髪…切らせちゃったな…」
ナギはソウシ同様に、女性であるヒロインの髪を切らせてしまった事に
胸を痛めていた。
ヒロインはニッコリ微笑んだ。
ヒロイン
「ナギ?私は仲間だよ??
皆のお荷物になりたくなかったし、それに…
あっ!! も、もしかして…ナギ…短いの嫌いだった?
どうしよ…考えてなかった…」
ヒロインは急に不安そうな瞳をして、ナギに必死で問いかけた。
ナギはその表情を見て、思い悩んでいた事に拍子抜けしてしまい
ペシッとヒロインのオデコにデコピンをお見舞いした。
ヒロイン
「いたぁ!」
ナギ
「アホ! ったくお前はぁ…クククッ」
ナギは苦笑いをする。
ナギ
「どんなヒロインでもかわいいよ」
ナギはじっとヒロインを見つめる。
ナギ
「短いのも似合うな…」
ヒロイン
「ホント!!?」
ナギ
「あぁ…キス…しやすくなった…」
そういうとナギは顔を近づけ、ヒロインの唇を塞いだ。
閉じた唇をこじ開けるようにナギの舌が入り込んでくる。
ヒロイン
「んっ! んぅ…」
突然のキスにヒロインは思わず甘い吐息が漏れてしまう。
こんな格好で、こんな事をされるなんて…
ナギと唇が離れたかと思うと、髪を切った事によって
露わになったヒロインの細い首筋にナギのキスが降りていった。
ヒロイン
「ナ…ギ…やぁ…ん!!」
その反応に満足したのか、チュッと音を立て
ナギは唇を離した。
ヒロイン
「はぁ…もぉ…ナギったらぁ!」
ナギ
「ふっごめんな?
で? 何手伝ってほしいんだ?」
スッカリ熱くなってしまった体はなかなか静まらない。
ナギはどうしてこんなにすぐ冷静になれるのかと
ヒロインはひとりで感じてしまった事に恥ずかしくなる。
ナギ
「ん? 大丈夫か?」
ナギはオデコに手を当てる。
ヒロイン
「もぉ!ナギのせいだよ!!」
その顔にナギの体も一瞬カッと熱くなる。
さっきのキスで止まらなくなりそうな所を、なんとか大人の感情で抑えたというのに
こんな反応をされると止まらなくなる。
髪が短くなって印象も変わり、幼いイメージだったヒロインが
なんだか色気を増して大人の女にも見える。
ナギ
「…お前さ…男になるんだろ?」
ヒロイン
「? そうだよ?」
ナギ
「だったらそういう顔も、声もするなよ?
なんかお前スゲェ女っぽいから…」
ナギはギュッとヒロインを抱きしめると、また不安な気持ちが沸きそうになる。
ヒロイン
「平気だよ! ほら、今ねサラシ巻いててね?
ナギ、ここ持ってて?」
ヒロインはナギにサラシの端を手渡す。
ナギ
「…これで胸を隠すのか?」
ヒロイン
「うん! 元々ないけど…一応ね?」
目の前でサラシを巻いていくが、ナギは触れた時の柔らかい感触を思い出していた。
巻き終わる前に触ってしまおうか?
ナギは一生懸命サラシに巻きつけているヒロインをよそに
不埒な考えが浮かぶ。
ヒロイン
「よし! これでどうかな?」
クルッと振り返り、ナギにお伺いを立てる。
ナギ
「…ダメだな…」