AKATSUKI
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アサヒとヒロインは、レストランを出て
ヒロインを送る為、船へと歩いていた。
アサヒは今までで一番楽しい食事だった。
目の前で楽しそうに思い出話しをするヒロインのかわいい顔や
時折見せる拗ねた顔。
アサヒを一時も飽きさせる事はなかった。
少し前を歩くヒロイン。
アサヒは船が目に入り、心臓がバクバクと音を立てるが
意を決してポケットに手を入れた。
次の瞬間…
ヒロインは後ろからアサヒに抱きしめられた。
アサヒ
「ヒロイン…」
ヒロイン
「アサ…ヒくん…どうしたの?」
急に抱きしめられ、ヒロインの心臓も音を立てる。
子供の時とは違う。
大人のアサヒの胸は大きくて厚い。
抱きしめる手も声も、全部が大人の男だった。
ヒロイン
「ア、アサヒくん!
ダメだよ…こんな事!!」
そう言って抱きしめている腕から逃げようとするヒロイン。
アサヒは先ほどポケットから取り出した物を
ヒロインの左手の薬指にはめた。
ヒロイン
「アサヒくんコレ!!」
ヒロインが慌てて振り返ると、真剣な眼差しのアサヒの顔が近くにあった。
アサヒ
「引っ越す日にお前に渡したくて、ガキの頃からずっと持ってた…」
ヒロインの指に輝くのは
##NAME2##の石が入ったリングだった。
アサヒ
「信じられないかもしれないけど、オレはあの頃からずっとお前の事…好きだった…」
アサヒからの告白。
ヒロインは驚いて、言葉が出ない。
アサヒ
「お前の事、誰にも渡したくなくて
この指輪、結婚の約束のつもりで渡そうと思ってた。
親父の仕事柄、お前の誕生石も知ってたし
こうして用意もしてた…
今日市場でお前を見つけたとき、やっぱり俺達は繋がってたんだって思った」
アサヒはヒロインの頬に手を掛ける。
アサヒ
「もうガキの頃のオレとは違う。
お前を置いていったりしない、絶対幸せにする!
オレと結婚してくれ」
何が起きているか分からずに、ヒロインはぼんやりとアサヒを見つめた。
アサヒの顔が近づき、唇が触れるか触れないかの時…
ナギ
「ヒロイン!」
その声にヒロインは、ハッとして
声のする方を振り返った。
息を切らせたナギが後ろに立っていた。
ヒロインの帰りを待っていたナギは、甲板からヒロインとアサヒの姿を見つけ
船を降りて駆けつけた。
ナギの突然の登場に、ヒロインはどこから話を聞いていたのかと
気まず過ぎてナギの顔を見る事ができない。
ナギは強引にヒロインの腕を掴むと、力強く胸へと引きよせた。
ナギ
「…何…してる」
鋭いナギの視線に、アサヒはふっと笑った。
ナギはその反応に怒りが込み上げる。
ナギ
「ヒロイン、お前は船に戻ってろ」
ヒロイン
「えっ?でも…」
ヒロインはチラリとアサヒに視線を送る。
ナギの胸は激しく痛む。
これ以上ないくらい傍にいるのに、ヒロインの頭はアサヒでいっぱいなのか?
ナギの表情が曇り、ヒロインは何も言わずに
船へと歩き出した。
その背中に向かってアサヒは声を掛けた。
アサヒ
「ヒロイン! 明日、今日と同じ時間に同じ場所で待ってる!!
返事、聞かせて!」
その声にピクッと体が反応するが、ヒロインは走って船を目指した。
ナギはその会話で大体の事が分かった。
ナギ
「…どういうつもりだ…?」
ナギはアサヒと向かい合い、アサヒの表情を伺った。
この男、貿易商のクセになんだか隙がない。
ただ者でない雰囲気が漂う。
アサヒ
「…ふっ…その言葉オレが言いたいね…
裏切りのナギ…さん?」
ナギはアサヒの言葉に眉根をピクリと上げた。
アサヒ
「どうしてヒロインがシリウスの船に乗ってて、
海賊の…しかも懸賞首のナギさんと付き合ってるのかは知らないけど、
ナギさんはどういうつもりでヒロインと付き合ってるの?」
ナギは初めてアサヒと会った時のあの笑みはこの事だったと悟った。
ナギの正体が分かった上で、あの場では言わなかったのだ。
ナギは「チッ」と舌打ちをした。
アサヒ
「…あの様子じゃ、ヒロインもそういう事分かった上で付き合ってる感じだけど…」
ナギ
「…お前には関係ない…」
アサヒ
「そうかな…オレ、ヒロインにプロポーズした。
子供の頃からずっと好きだった。
海賊のナギさんといて、ヒロインは本当に幸せになれるのかな…
オレはそうは思わない、普通の幸せな生活をヒロインには送らせたい」
ナギはアサヒの言葉に、なにも言い返せない。
なにしろナギがヒロインと付き合い出してから、ずっと抱いていた難問だった。
アサヒ
「ヒロインの幸せを思うなら、ナギさん手を引いて欲しい。
…こんな言い方卑怯かもしれないけど、それでもオレはヒロインを幸せにしたいと思ってる。」
アサヒの真剣な目に、ナギは圧倒されてしまう。
アサヒなんかよりもよっぽど強面で、強靭な男達と
何度となく戦ってきたナギだが、
今は胸が潰れてしまいそうに痛い。
ナギ
「…なんでオレの正体が分かってるのに、通報しない?
よっぽどその方が、ヒロインを手に入れやすいだろ?」
アサヒはその問いにあははっと笑った。
アサヒ
「そうですね!
そんな事思いもしなかった!」
ウソのない心の底から笑っている笑みは、どことなくヒロインと似ていた。
アサヒ
「オレのような仕事をしていると、嫌でも色んな情報が入ってくるんです。
海の事も陸の事も…
でもシリウスの皆さんの事、オレは悪い印象はないし
それにヒロインを大切に思ってるのが分かったから…」
ナギは同い年くらいの男なのに、アサヒの落ち着ききった大人な感情に
感心してしまった。
それなのに自分はヒロインを独占する事ばかり考えて、何をしているんだろうと…
アサヒ
「ナギさん、あなたを信用してますから…」
そういうとアサヒは、優しく笑い
街の方へと戻っていった。