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今日の海はとても穏やかだった。
風がない為、波もほとんど立っていない。
シンは久しぶりにゆっくりとできると思い
小説を何冊か持ってきていた。
しかし秋の夜は、どんどんと体温を奪っていく。
厚手の毛布を持ち込み、上着も着込んだが
それでも寒さを感じてしまう。
冬がすぐそこまで来ている証拠だろう。
シンはランプの小さな明かりに本を近づけ
目を細めていた。
ヒロイン
「シンさぁ~ん! お疲れ様です!!」
突然聞こえるはずのない声が聞こえ、シンはついに幻聴が聞こえ始めたかと驚いた。
ヒョコッと見張り台のハシゴからヒロインが顔を覗かせた。
シン
「…何しに来た…」
シンはものすごく驚いたが、それを顔に出さないように
冷たい言葉を言った。
ヒロイン
「寒いですね!
コレ差し入れです! コーヒーのリキュール入りのホットミルクです!」
その言葉にシンは眉をピクリと動かした。
今までナギが寒い日にはそういう物を用意してくれていたが
ヒロインがこうやって届けてくれるなんて…
シンは自分でも信じられない程、心が浮いた。
シン
「…誉めてやってもいい…」
スッとヒロインからポットを受け取ると、シンは目線を手元の本へと移す。
ヒロインはその言葉を聞いて、シンなりの『ありがとう』だと、微笑んでしまう。
ヒロイン
「ふふ、はい!光栄です!!
じゃあ頑張ってください!」
ヒロインはゆっくりと梯子を降りて行った。
暗い上に、波はないもののユラユラと揺れる船体。
足元をしっかり確認しながら降りていると、
ナギ
「届けたか?」
甲板からナギの声がする。
心配になったナギは梯子の下で待っていてくれた。
ヒロイン
「ナギ! うん!届けたよ」
あと5段くらいで甲板という所で、ナギが両手を伸ばす。
ナギ
「ん!」
ヒロイン
「? 手、取ってくれるの?」
伸ばしてくれたナギの手に片手をそっと置く。
ナギ
「…こっち向け」
ヒロイン
「???」
梯子に向いていた体をナギの方へと向かす。
するとスルリとナギの手が、脇の下に入ってきた。
ヒロイン
「わっ! ナ、ナギ!!」
小さい子にするように抱き上げられ、片方の腕が太ももの後ろに回り、
そのまま高い位置で抱かれた。
ヒロイン
「ナギ!降ろして!! 重いし、恥ずかしいよ!!」
ナギ
「聞こえねぇ」
ナギはそのままスタスタと歩き出し、キッチンへと向かう。
贅沢な状況に、ヒロインはいたずら心が疼いてしまう。
ブニ☆
ナギ
「…あにすんだお(なにすんだよ)…」
ナギのホッペを両手でつねった。
ヒロイン
「私ナギより高い場所にいるんだもん!
それにナギ両手ふさがってるし!
ふふっいつもされてばっかだから、チャンス♡」
そういうとナギはパッと一瞬手を離す。
ヒロイン
「きゃあ!」
ギュッとナギに掴まり、今度は胸の位置で抱かれた。
ナギ
「ふっ、そんな事言ってても
お前はオレの腕の中なんだぞ?」
ナギが意地悪く微笑んだかと思うと
大きく揺すり始めた。
ヒロイン
「キャー!やはっナギ!ごめんなさい~!!
」
2人で笑いながらじゃれ合っていると、甲板の影から声がした。
ソウシ
「ふふっ仲がいいね」
その声に思いっきり反応したナギは、思わず手を緩めてしまった。
ドテッ
ヒロイン
「いったぁ…」
ナギ
「悪い!大丈夫か?」
すぐにナギが引き起こしてくれた。
ソウシ
「女の子を落とすなんて! 大丈夫かいヒロインちゃん?」
ハヤテ
「ナギ兄もあんなに笑うんだな…」
トワ
「ラブラブで、なんだかドキドキしちゃいます」
ソウシの背後からハヤテとトワが顔を出した。
ナギ
「…お前ら…ずっと見てたのか?」
ナギの怒ったような声に、空気がピリッとする。
ナギ
「…はぁ…」
ナギは腕組みをして、タメ息をついた。
なかなかヒロインとそういう雰囲気になるのは難しい物だとうなだれてしまう。
ヒロイン
「み、皆さんこんな時間にどうしたんですか?」
ヒロインは、空気を換えようと別の話題を出した。
ソウシ
「いや、今日は冷えるから温かいものでももらおうとナギの部屋へ行ったんだけど…」
ハヤテ
「そうだよ! で、キッチン行ってもいねぇし」
トワ
「外から声がしたんで、来てみたらラブラブでしたぁ~♡」
ゴツン
ナギはトワの頭にゲンコツをお見舞いした。
トワ
「うぅ…なんで僕だけ…」
ヒロイン
「トワくん!大丈夫!!?」
頭をさするトワを見下ろし、ナギはまたしてもタメ息をついた。
ヒロイン
「ナギ、私一緒にココア作るから
先お風呂入って? 順番ナギだよね?」
ナギ
「………」
ヒロイン
「ミルク温めて、チョコもう少し刻むだけだから…ね?」
ナギを安心させるように言った。
ナギ
「…頼む…」
ヒロイン
「うん!」
そういうと、揃ってキッチンへと向かった。