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夕食が終わり、今日は怪我をしたヒロインを気遣い
トワが洗い物を手伝ってくれていた。
トワ
「ヒロインさん、本当に大丈夫ですか?」
ナギは食材のチェックの為、倉庫に行っていた。
ヒロイン
「うん! ごめんね?
心配させちゃった??」
隣同士で、食器を洗っているトワとヒロイン。
ヒロインは、ナギと気まずくなってしまい
どう声を掛ければいいか悩んでいた。
トワがこうして手伝ってくれる事に、正直ホッとしている自分がいた。
トワ
「はい~
だってスゴイ音しましたもん!
甲板にいる僕のトコまで聞こえました!」
心配そうに見つめてくるトワ。
ヒロインは、なんだか小動物に見つめられてるようで、キュンとしてしまう。
ヒロイン
「そんなトコまで聞こえたの?!
でもシンさんあんなに笑うんだもん!
失礼しちゃうよね?!!」
トワ
「あっ!僕すっごいビックリしたんです!!
シンさんがあんなに…」
シン
「オレがなんだ?」
急に背後から声が聞こえ、トワとヒロインはドキリとして振り返った。
ヒロイン
「シンさんどうしたんですか!?」
キッチンの入口に腕組みをしながら立っているシンがいた。
こんな時間にシンがキッチンにくる事は珍しい。
シン
「…頭…平気か?」
ヒロインはその言葉の意味をグルグルと考えてしまった。
シンが普通に心配をしてくれる事なんてありえない。
なにしろあんなに大笑いしていたのだ。
ヒロイン
「…それって、頭が悪いってことですか…?」
そういうとシンは呆れたような顔をする。
シン
「フン、そっちの意味も含めてだ。
コブ…できてるんだろ?」
ヒロイン
「はい」
トワ
「シンさん、もしかしてヒロインさんが心配で…
わわっ!シンさん!!
銃かまえないでください~!!!!」
泡のついた手でトワは両手を上げた。
ヒロイン
「ふふっ、シンさんありがとうございます!
大丈夫ですから…
今日不寝番ですよね? 気をつけて」
シン
「あぁ」
シンはそういうと、甲板へと歩いていった。
その姿を見届けると、トワは頬を膨らませながら
拗ねた声を出した。
トワ
「シンさん、ヒロインさんにだけ優しいんですから」
ヒロイン
「クスクス
そんな事ないよ! あっトワくんそれ終わったらもう平気だよ?
ありがとう助かっちゃった!」
トワ
「はい! じゃあ僕、部屋行きますね?
お大事にしてください。」
ヒロイン
「ありがとう」
トワの元気な笑顔にヒロインは癒された。
トワと入れ違いにナギがキッチンに戻ってきた。
相変わらず不機嫌そうなナギに、気持ちが重くなってしまう。
ナギもその空気を感じたのか、黙って調味料の棚を調べている。
洗い物が終わったヒロインは、部屋に帰る前に
温かい飲み物を作ろうと、牛乳を温めていた。
ナギ
「…何してる?」
ナギに突然話し掛けられ、少し驚いてしまう。
ヒロイン
「あ…寒いからココア作ろうかなって…」
ナギを見つめて言うが、なんだか泣いてしまいそうな気持になる。
ハヤテに無意識とはいえ抱きついてしまった事は、本当に申し訳ないと思っている。
ナギが女の人と同じような事をしていたら、自分だって正気じゃいられないだろう。
ヒロイン
「あの…ナギ…ごめんなさい…
そういうつもりでしてたんじゃなくて…その…」
言いたい事を上手く伝える事ができない。
ヒロイン
「私!…ナギしか考えてないの!
あ…こんな事言いたいんじゃなくて…」
ジワリと涙が目に浮かんでくる。
どうしたらナギの事が大好きで、ナギで頭がいっぱいな事を伝えられるのだろう。
ついに言葉が止まってしまい、ヒロインは俯いた。
キシッと床板が軋む音を立て、ナギが近づいてくる。
フッと頬に手が触れる。
ヒロインはゆっくり顔を上げると、切ない顔をしたナギが立っていた。
ナギ
「…泣くなよ…」
ヒロイン
「な、泣いてないよ…?
ナギ…ごめんね?」
潤んだ目で見つめられると、ナギは許さざるえない気持ちになる。
ナギ
「…お前、ズルイぞ…」
ヒロイン
「え?」
キョトンとした顔で見つめ返すヒロイン。
ナギは堪らずギュッと抱きしめた。
ヒロイン
「ナ、ナギ?」
ナギ
「うるせぇ、ハヤテに抱かせたクセにオレには抱かせないつもりか?」
ヒロイン
「!?」
ナギの子供みたいな言葉に、ヒロインは笑いが込み上げてきた。
顔は見えないけど、きっと真っ赤な顔をしているに違いない。
ヒロイン
「ふふっ」
ナギ
「あ? なに笑ってるんだよ!?」
ヒロイン
「んーん、ナギありがとう
大好きよ?」
ヒロインはパッとナギの胸から抜けると、
背伸びをしてチュッとキスをした。
少し驚いた顔をしたナギは、ふっと笑うと
ギュッと鼻を摘んできた。
ヒロイン
「ん~!痛いよぉ」
ナギ
「ヘタクソ!」
ヒロイン
「ん!んぅ…」
唇が塞がれ、ナギの唇で開かれた隙間から
ナギの体温が直に伝わるように舌が入ってきた。
ナギはゆっくり舌を絡めながら、角度を変えて
ヒロインから漏れて聞こえてくる甘い吐息に酔っていた。
ヒロイン
「んぁ…ナギ…ん…」
ナギの体が熱くなり、これ以上我慢ができなくなってしまいそうになる。
それを分かっていたように、ヒロインの背後からシュンシュンと音が聞こえた。
ナギはパッとヒロインを離し、慌ててコンロの火を止めた。
牛乳がいやというほど沸きたって、お鍋の縁から溢れていた。
ナギ
「アホ! 火を使ってる時は気ぃ抜くなって
いつも言ってるだろ?」
ヒロイン
「………」
ヒロインはじっとナギを見つめた。
ナギ
「な、なんだよ」
ヒロイン
「…気…抜かせたのはナギだよ?」
少し顔を赤めて、ヒロインはニッコリ笑う。
ナギはその顔にやられてしまった。
ニヤケてしまいそうな表情を悟られまいと、ナギは右手で口元を覆った。
ナギ
「早くココア作れよ!」
ヒロイン
「ふふ、はい!」
ヒロインはチョコを棚から出した。
ヒロイン
「あっ!そうだ!!
シンさんに差し入れ作ってあげよ!」
チョコを取りだす時に、同じ棚にあるコーヒーのリキュールが目に入り
温めた牛乳と混ぜて、届けようと思いついた。
しかしナギは、なぜこのタイミングでシンが出てくるのかと虚をつかれた。
ナギ
「…シンに?」
ヒロイン
「うん!シンさんさっき大丈夫かって聞きに来てくれたんだよ?
それに今日スゴク寒いし、アルコール入ってる温かい飲み物だったら
寒さ、少ししのげるよね?」
なんの悪気のない笑顔に、ナギはこれ以上嫉妬心を出す事に
バカらしさを感じてしまった。
ヒロイン
「ん~このくらいの濃さでいいかな?」
ヤマトにいた時に培った、お酒の知識がやっと役立つと
ヒロインは上機嫌だった。
ナギ
「…はぁ…チョコ刻んでおいてやるから
早く届けてこい…
見張り台登る時、気をつけろよ?」
ヒロイン
「うん!」
ヒロインはポットをぶら下げて、甲板へと向かった。