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ヒロイン
「ナギぃ!!」
頭に手を添えながら、ヒロインはキッチンのドアを開けた。
ナギ
「どうした?」
顔をしかめて、泣きそうな顔をしているヒロインを見て
ナギは包丁を置き、駆け寄った。
ヒロイン
「頭ぶつけちゃったの… ソウシさんが氷で冷やしてって…」
ナギは手を回して、ヒロインの頭を優しくさすった。
ヒロイン
「イタッ!」
ナギ
「悪い…すげぇコブだな」
そういうとナギは氷を保管している箱に向かい、
中から氷を出すとガラガラと袋に入れた。
ヒロイン
「すっごい音したんだよ?
それなのに、シンさんなんか大笑いだよ?
ヒドイでしょ??」
拗ねたような声でいうヒロイン。
ナギはその言葉を聞いて、ピタッと氷を入れる手を止め
振りかえった。
ナギ
「…シンが…? 大笑い?」
ヒロイン
「え…うん…?
オナカ抱えて笑ってたよ?」
ナギの反応に、ヒロインは言ってはいけない事を言ってしまったのかと
返事に困ってしまった。
ナギの表情が不機嫌になる。
ナギ
「…ホラ…」
そっと氷の入った袋を頭に当ててくれる。
ヒロイン
「あ…気持ちいー」
ナギと向かい合わせで立っているヒロイン。
嫌がるかなと思いながらも、ギュッとナギに抱きついた。
白昼のキッチンでこんな事をするなんて、ナギが一番嫌がりそうな事だ。
ナギ
「…どうした?」
ヒロイン
「ん?…なんかナギとこうしてるだけで
もう治っちゃいそ…ん…」
言い終わらない内にナギの顔が近づき、唇を塞がれた。
柔らかいナギの唇の感触。
体がジンと熱くなる。
唇が離れると、ナギはそっとヒロインの頬に手を添えた。
ナギ
「…傷…大分よくなったな…」
強盗に襲われた頬の傷をそっと撫でる。
ヒロイン
「あっうん! ナギが毎日薬塗ってくれたからだよ?」
嬉しそうにニッコリ笑うヒロイン。
ナギに腰を抱かれ、さっきよりも距離が縮む。
ヒロインもナギの腰に手を回し、見上げると
ナギは優しい笑顔で見つめ返してきた。
ナギ
「…かわいいやつ…」
ナギはヒロインの背に合わせるように
少し屈んで、キスをした。
ハヤテ
「あーハラ減ったぁ!!!
ナギ兄なんか食いもんある?」
バタンッと食堂のドアが勢いよく開き、ハヤテが入ってきた。
その音にビクッと驚いたナギとヒロインは、
慌てて離れた。
ナギ
「チッ」
ハヤテ
「ん? おっヒロイン!
お前コブんなってるんだって?
大丈夫かよ??」
ハヤテはカウンター越しに、話し掛ける。
ヒロイン
「…はい…大丈夫です…」
ハヤテ
「? なんか顔赤くね?」
ナギが見ても分かるくらい、ヒロインの顔は真っ赤になっていた。
ヒロインは
「だ、大丈夫です!!
じゃナギ! 私倉庫から野菜取ってくるね!」
ナギ
「あぁ」
そう言うとバタバタと慌てて部屋を出て行くヒロイン。
ハヤテが来なかったら、きっとナギは押さえる事が出来ずに、
もっとヒロインを求めていただろうと
平静を装いつつも思っていた。
ハヤテ
「…んだよアイツ…
なぁなぁナギ兄! さっきさ、シンのヤツ声出してスッゲー笑ったんだぜ!!」
ナギ
「…らしいな…」
ハヤテ
「あいつもあんなに笑えるのなぁ!」
ハヤテは朝食に出した残りのクロワッサンを頬張りながら話していた。
ナギは正直いい気がしない。
その『笑い』の原因はヒロインであり、
あのシンがそんな感情を出すなんて、今まで見た事がない。
シンが少しずつヒロインに惹かれてきているのを
薄々感じていたナギは、今回の件で確信に近いと思い始めていた。
ナギ
「…ハヤテ…お前、ヒマなのか?」
これ以上この話しをする気もないナギは、ハヤテに問いかけた。
ハヤテ
「う…まぁ…ヒマだけど…」
ナギ
「…じゃあヒロインを手伝え
アイツが野菜持ってきたら、全部皮剥くようだからな。」
ハヤテ
「えーマジかよぉ」
ハヤテがあからさまに嫌な顔をする。
ナギ
「皮剥きしたらコレやるぞ」
ナギは残り少しになったナッツの瓶をかかげた。
ハヤテ
「マジで!? やる!!」
ハヤテは目をキラキラさせて頷いた。
食べ物の事になると、ハヤテは扱いやすい。
ナギは笑いそうになるのを堪えた。
しばらくしてヒロインが倉庫から野菜を持ってくると、
その量の多さに驚いていたハヤテも
ナッツの効果なのか、文句ひとつも言わずに
黙々と皮をむき始めた。
ヒロイン
「わぁ!ハヤテさん、上手いですね!」
ハヤテ
「あ? 別に普通だろ?
いつもしないけど、これくらいできるっつーの!」
照れ隠しのようなセリフをいうも、顔は嬉しそうなハヤテ。
機嫌が良くなったハヤテは、ヒロインに色んな話を聞かせた。
ハヤテ
「…で、そこでオレが剣をかまえて!!」
ヒロイン
「ふふ、それっておかしいです!
なんでそこなんですか?? あはっ!」
キッチンにいるナギは、楽しそうに会話をする2人を見つめた。
おもしろそうに笑っているヒロイン。
その顔もかわいくて、そんな表情をハヤテになんか見せるなと、
声に出して言ってしまいたいほどだ。
ハヤテ
「だろ? だからこうやって…
ここ手回せよ」
ハヤテはヒロインの手をグッと掴むと、自分の背中に回させた。
ナギ
「チッ」
なんの不信感もなく、ハヤテの話に夢中になっているヒロインは、
自分がどんな状況になっているか気付いていない。
ナギはキッチンを出て、2人のいる食堂へと回った。
ゴツン☆
ハヤテ
「ってぇ! ナギ兄、何すんだよ!?」
ハヤテが頭を押さえて振り返る。
ナギ
「お前、なに自然にヒロインを抱きしめてるんだ」
そういうとハヤテは顔を真っ赤にして立ち上がった。
ハヤテ
「ち、ちげーよ! 誰がこんなヤツ!!
オレ、トワに話しあったんだ!
もういいだろ?」
ヒロイン
「あっハヤテさん!」
ハヤテは乱暴に食堂のドアを開けると、走って出て行ってしまった。
ヒロイン
「ナギ!あんな言い方…」
ナギ
「あ? お前、あのまま抱きついていたかったのか?」
ナギの言葉に驚くヒロイン。
そんな風にみていたなんて…。
泣き出しそうにションボリとするヒロインを前に、
ナギは言い過ぎてしまった事に後悔をしていた。
どうもヒロインの事となると、衝動的になってしまう。
ナギ
「はぁ…もう皮むき終わったろ?
洗濯物取り込んで来いよ」
ヒロイン
「………」
ヒロインはゆっくり頷くと、ハヤテが開け放ったドアを抜け、
静かに出て行った。
ナギはどうしていつも、こういう言い方しかできないのか…
自分でも感情のコントロールが出来なくなる。
ガシガシと頭を掻き、ナギはキッチンへと戻った。