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抱き合っているシンとヒロインを目の前に呆然とするハヤテ。
ハヤテの声にメンバーが航海室のドアに集まる。
ソウシ
「ハヤテどうしたの?大きな声出して…」
その声にヒロインが振りかえると、メンバーの中に
驚いているナギの姿を見つけた。
ヒロイン
「!! ナギっナギ!!!」
シンの腕をスルリと抜けて、ナギの胸に飛び込むヒロイン。
安心したのか、涙が止めどなく溢れた。
胸の中で大泣きするヒロインを見て、ナギはシンを睨みつけた。
ナギ
「…シン…ヒロインに何した?」
シン
「………」
なにも答えないシン。
ヒロインは涙声で必死に答えた。
ヒロイン
「ヒッ…ナギ!…違うの…ヒック…シンさん…
助けて…ヒッ…くれたの…」
ナギを見た途端、簡単にも自分の腕から抜けて、
しかも自分の前では決して泣かなかったヒロイン。
シンはナギの胸に抱かれるヒロインを横目に
航路図を広げた机へと、足を向けた。
・・・・・・・・・・・・・・・
ソウシ
「はい、終わったよ。
傷もあまり深くないから跡にはならないと思うよ?」
ソウシは目の前でちょこんと座るヒロインに優しく笑い掛けた。
ヒロイン
「ありがとうございます」
ソウシ
「少し横になって休みな?」
ヒロイン
「はい…すいません、出航の日で忙しいのに…」
ソウシはニッコリ笑うと、優しくヒロインの頭を撫でた。
ソウシ
「良かったよ無事で…
私達がいるんだから、もう安心して寝てね」
ヒロイン
「はい」
ソウシの優しさに少し癒される。
するとカチャッと部屋のドアが開いた。
ナギ
「…治療終わったか?」
ナギが心配そうな顔で入ってきた。
ソウシ
「あぁナギ、うん
少し休ませてあげて? じゃ、お大事にね?」
ヒロイン
「ソウシさん! ありがとうございます!」
笑顔を見せるとソウシは部屋を出て行った。
ナギと二人きりになり、なんとなく気まずい雰囲気が漂う。
ナギ
「…大丈夫か?」
ポスッとベッドに座るナギ。
寝ているヒロインの髪にそっと手を通す。
ヒロイン
「うん…ごめんね?
心配…させちゃった…」
ナギの不安気な表情に胸が痛むヒロイン。
ナギ
「アホ…」
そういうと寝ているヒロインをそっと抱き起こし、
ギュッと抱きしめた。
ナギ
「…良かった…無事で…
ひとりにさせて悪かった…」
その切ない声に、なんだか泣きそうになってしまう。
あんなに怖い思いをしたのに、今はそれよりも
目の前にいる大好きなナギが、
自分の事で苦しい表情をしているのが、ツライ。
ナギの背中に手を回し、ギュッとシャツを握った。
ヒロイン
「そんなの! ナギのせいじゃないよ…
私が…軽率だったの…」
ナギの胸に顔を埋めて、こうしていられる事に
心が溶けていく。
ヒロイン
「ナギ…あのね?」
ナギ
「ん?」
ヒロイン
「忙しいのは分かってる…んだけど…
寝付くまで一緒にいてくれる?」
子供みたいな事を言っているのは分かっている。
ヒロインは、ナギを感じながらでないと
フラッシュバックのように、あの恐怖を思い出してしまいそうだった。
ナギはチュッとオデコにキスを落とす。
ナギ
「当たり前だろ?
…こんなに震えてるお前置いて行かねぇよ」
ナギはそのままヒロインをベッドへ寝かすと、
一緒に横になった。
片肘をついてナギが心配そうに見下ろす。
ナギ
「傷…痛むか?」
ヒロイン
「んーん。 見た目より全然痛くないよ」
そういうとナギは眉間にしわを寄せて、申し訳なさそうな顔をする。
ナギ
「…お前の顔に傷が残ったりしたら…」
ヒロイン
「…ナギ…そしたらナギが私をもらって?」
ふふふっと笑うヒロイン。
ナギはこんな時にこんな事をいうヒロインに
ジンと胸が熱くなる。
ナギ
「…そうじゃなくても…」
ヒロイン
「え?」
ナギ
「な、なんでもねぇよ! 早く目ぇ閉じろよ!!」
顔の赤いナギは照れ隠しのように、ぶっきらぼうに言う。
ヒロイン
「…ナギ…手…繋いで?」
こんな時に不謹慎だが、そのなんとも言えないかわいい表情に、
ナギは堪らなくなってしまう。
ヒロイン
「ん… クスクス…ナギ…寝れないよ」
ナギの唇がそっと触れた。
ナギ
「…もう安心しろよ?
そばにいるから…」
ヒロイン
「うん」
そういうと静かに目を閉じるヒロイン。
こんなにも小さく細いヒロインが、
恐怖で体を震わし、シンの前では泣くまいと耐えていた事。
もっと早く帰っていれば、こんな事にはならなかったかもしれない。
しばらくすると、小さな寝息が聞こえ始めた。
ナギは起こさぬように、もう一度オデコにキスをすると
そっとベッドから抜けだした。