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シトシトと冷たい雨が降る中、シンとヒロインは、
ひとつの傘に入り、港に停めてあるシリウス号を目指していた。
お宝の情報集めと、物資の調達の為
二日間停泊していたが、
大した成果はなかった。
出航の準備の為、シンは一足先に船に戻るのが
いつもの決まりだった。
しかし今回は、この雨でかえって足手まといになってしまうという事で
物資調達からはずされたヒロインと
船に戻る事になった。
ガツッ
シン
「…お前…いい加減にしろ!」
ヒロイン
「す、すいません~」
もう何度目か思い出せない。
傘を持っているヒロインは、シンの頭に何度も傘の芯をぶつけていた。
ヒロイン
「シンさん、背が高いんですもん…」
申し訳なさそうに言うが、少し頬を膨らませ
子供のように拗ねるヒロイン。
普通は男が傘を持つのかもしれないが、シンにはそんなものは通用しない。
宿を出る時に、「オレに持たせる気か」と
鋭い目で言われ、全く言い返す事もできず
今に至っている。
シン
「次ぶつけたら分かってるよな?」
ヒロイン
「えぇ!? そ、そんなの…頑張ります…」
尻すぼみで言葉が小さくなり、ヒロインは
傘を持つ手に神経を集中させた。
その真剣な姿を横目で見たシンは、思わず笑ってしまった。
シン
「ふっ、お前ホント忠実な犬みたいだな ククッ」
ヒロイン
「ひ、ひどいです!!
私真剣に… あっ……」
言い返そうとシンを見上げた瞬間
またしても ガツッ とシンの頭に傘が当たってしまった。
今まで笑っていたシンの顔が、真顔になる。
ヒロイン
「す、すいませんすいません!!
わざとじゃないんです!!!」
慌てて謝るも、シンの顔を見る事ができない。
立ち止まった足元で、ぬかるんだ地面がジャリッと音を立てる。
シンがヒロインに一歩近づく。
ヒロインは心の中で、「ひゃ~」と声を上げ、
ギュッと目を閉じた。
すると、スッと手から傘が奪われた。
急な事に慌てて見上げると、冷たい目で見下ろすシンの顔があった。
シン
「フン、何をやらせてもダメだな。
濡れたくなかったら早くついて来い」
そう言って足早に歩きだすシン。
ヒロイン
「あっ待ってください!」
ヒロインは急いでシンの横にくっついて歩き出した。
シンのこういう優しさをいつも感じていたヒロイン。
冷たい言葉を言っても、ちゃんと考えてくれている事に
なんだか笑いが込み上げ、ふふっと声が漏れてしまった。
シン
「…何だ?」
ヒロイン
「あっ、いえ!!
…シンさん!肩スゴイ濡れてます!!
傘もっとそっちにさして下さい!!」
今まで気付かなかったが、シンはヒロインの方に傘を傾け
濡れないようにしてくれていた。
シン
「黙れ、もう船に着く。
…なんだ?もっとオレに近づきたいのか?」
そう言ってシンはグッとヒロインの腰に手を回した。
ヒロイン
「な、何言ってるんですか!?」
シンの手を払おうと、腕を押し返した拍子に
またしても傘がシンの頭にぶつかった。
シン
「…………」
ヒロイン
「シ、シンさん? 不可抗力です!!
…シン…さん?」
返事を返さず俯いているシン。
ヒロインは恐る恐る声を掛けると、カチャリという鈍い音がし、
オデコに銃口が向けられた。
シン
「最後の言葉を言え」
ヒロイン
「シ…シン…さん…ご、ごめんなさぁ~い!!!」
ヒロインは傘を飛び出し、船まで一目散に走り出した。
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