First Love
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`+:*2話*:+`
あの日から1周間
山田に連れて行かれたガールズバーで出会った女の子
【こまたろ】
1時間ちょっとしか話せなかったが…
年齢は俺の1つ下だと言うこと
彼女は大学生だと言うこと
一人暮らしをしているが
実家があまり裕福ではないので生活費だけでも自力で稼ごうと思い
時給が高めの夜のバイトをしている等
彼女のことを少し知ることができた
だが…
少し知ってしまったことで…
彼女のことをもっと知りたいと欲が出てしまう自分がいた
「よしっお疲れ様。お先に失礼するよ」
「あ!南野さん!今日って…」
「今日は遠慮しますよ。お疲れ様」
山田に声を掛けられたが
またあのガールズバーに行って彼女に会ってしまうと
自分の気持ちが抑えられないような気がして行く気になれなかった
俺は足早に駅の改札口に向かい
ちょうど来た電車に乗り込む…
帰宅ラッシュ時だからか座る席がなく
つり革を持って自宅の最寄り駅まで立つことになった
電車が出発し
帰り道に着くことが出来少し安堵する
電車のガラス越しに自分が移るとふと思う…
俺は妖狐の時、瀕死の重傷を負わされ霊体の状態で人間界に逃亡した
人間に擬態することも出来ないほどの重傷だったことから今の母親が妊娠していた胎児に憑依融合し、南野秀一に転生したんだ
普通の人間とは生きる時間が違う…
俺は…
このままひっそりと人間として生きていくんだ…と
「あれ…?南野さん…?」
この声は…
「あ!やっぱり南野さんだ!」
彼女だ…
「こんばんは!何か考え事ですか?すご〜く真剣な顔されてましたよ」
彼女はにっこり微笑んで
満員電車の中、周りの人にすみませんと言いながら俺の隣に来て並んでつり革を持った
「…こんばんは…こまたろちゃん…」
「名前!覚えててくれてたんですね!嬉しいですっ!」
彼女は以前会ったときとは違い
ニットワンピースを着ていて如何にも大学生と言ったら装いだった
「はは…山田くんが何度も呼んでましたからね」
俺は何言ってるんだ…
名前もすぐに覚えてしまったし
この1周間ずっと君のことを考えていたんだ…
「たしかに!それは覚えちゃいますね
山田さん昨日も来てくれて閉店した後もお店に居座ってたんですよ〜」
彼女は少し怒りながら昨日あった出来事を俺に話す
このコロコロと変わる表情が可愛いなと思ってしまう
「今日はバイトは休みなんですか?」
「はい!今日はお休みなので学校終わってそのまま帰宅です」
あ…山田…可哀想に…
「それで?」
「え…?」
「それでさっき真剣な顔で何考えてたんですか?」
「え…えっと…」
さすがに自分が妖狐だと話せる訳がなく
何といえば良いか考えていたとき…
電車が少し揺れた
「あっ!」
彼女は耐えきれず体勢を崩してしまい
俺はとっさに彼女の肩を抱き寄せ
自分の腕の中に彼女を収めた
「大丈夫ですか…?」
「…あっはい…大丈夫です…すみません…」
彼女を離そうにも
さっきの揺れで人が密集してしまい身動きが取れなくなってしまった
「…すまない、俺もとっさで…
もう少し我慢できますか?」
「…はい」
彼女は恥ずかしそうに俺の腕の中で大人しく収まってくれた
彼女はとても小さくて柔らかく
これ以上力を入れたら壊れてしまうのではないかというくらい肩が華奢で
俺は彼女を壊さないよう優しく抱きしめた
「「次は〜駅」」
あ…降りる駅だ…
彼女のこの温もりを感じることが出来るのもあと少し
「…あの南野さん…」
彼女は俺を見上げる
「私…次の駅が最寄りなんです」
「え…?君も?」
「南野さんもですか…?」
駅に到着し
出入り口のドアから人が溢れるように出る
俺たちもその波に乗って改札口まで一気に出た
「ふぅ〜やっと着いた…
あの南野さん…大変でしたよね!すみませんご迷惑をお掛けしちゃって…」
彼女は少し頬を赤らめ俺にペコペコお辞儀をする
「いや…大丈夫だよ…気にしないでください」
「…ありがとうございます…じゃあ私はこっちなので…」
「あぁ…気をつけてね」
彼女はペコっとお辞儀をし顔を上げた瞬間目が合った
「?」
彼女は何か言いたそうに俺を見つめていた
「……どうかしましたか?」
気になって声を掛けてみた
すると…
「えっと……その…またお店来てくださいね!それじゃあ!」
そう言い足早にその場から去っていった
「…どうしたんだろ…?」
何か俺に伝えたいことがあるような様子だった気が…
今度お店に行って聞いてみようかな…
俺はさっき彼女を抱きしめていた温もりを思い出しながら帰路につきた
続く