空色バレット
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朝から次元の機嫌がひっじょ~に悪い。
いつも以上にむっつりとした顔をさせて、俺が声を掛けても「おう」だの「あぁ」だのってやたらと返事が短し、心ここにあらずって感じ。
なんつーのかねーこういうの。
素直じゃないって言うか、優柔不断っても言うのかね。
どうせ次元が悶々と悩んでるのはレイちゃんのことデショ。
まぁ、昨日の夜の反応を見る限りそんな感じなのは分かってたけど。
「次元~、ちょーっと俺お出掛けするから留守番よろしく頼むぜー」
「おう」
だからこそ俺は朝からある場所へ出掛けた。
可愛い子ちゃんに会いたい為でもあるけど、誰が嬉しくてこんなむさいおっさんといるかってーの!
7日目 赤の訪問―ルパンサイド―
「たーしーかーこの辺のはずなんだけっともな~」
とある優秀な情報屋にもらった情報を元に、次元が気になっているあの子の家を訪ねるべく、俺は朝から住宅街をうろついていた。
本来なら次元ちゃんが直接会いに来て、ケリをつけるべきなのにね~?
まったく…部下のフォローする俺の身にもなってもらいたいもんだよ。
そんな文句を心の中で思いながら、軽く口笛を吹き歩いているとお目当ての家を見つけた。
女の子1人で暮らすのには十分すぎる程の大きさな家。
一応家の周りは手入れをしているようだし、生活に困ってる様子なんかはパッと見た感じ、ないようだった。
「確か両親は行方不明、だっけ?レイちゃんも苦労してんのね~」
少しの同情と、1人で暮らしてることに関心してから、俺は玄関のチャイムを鳴らした。
が、反応がない…。
ありゃ?いないのかな?
一応もう2、3回鳴らしてみると、家の中で物音が聞こえた。
『ルパン…?』
応答してきた声は、少し元気がないが俺が来た事に対して驚いたような声だった。
インターホンにカメラがついているのに気付いた俺は、家の中にいるであろう相手に笑顔で手を振って応えた。
「よぉ~レイちゃん。元気しってかな~と思って来ちゃった♪」
そう声を掛けると、レイちゃんはまた少し動揺した声でお礼を言ってきた。
その後すぐにバタついた声で『ちょ、ちょっと待ってください!』と言って、家の中から慌ただしい音が聞こえだした。
寝起きだったのかな?
むふふ~次元の知らないレイちゃんを知ったとなっちゃ~後で自慢が出来ちゃうね~。
5分程してから出て来た彼女は、眼の下にしっかりと隈を作っていて、誰がどう見ても寝不足なのが分かる顔をしていた。
ありゃー…これは2人とも重症、かな?
「それにしても、次元といいレイちゃんといいひっどい顔してるもんだね~」
「酷い顔って…それこそ酷いなー私はただの寝不足なんですが」
挨拶をそこそこに、レイちゃんの顔色が悪い事を指摘すると、あからさまに不機嫌そうな顔をして言い返してきた。
「寝不足ねー…」
それは本当にただの寝不足なのかな?
「昨日さ、次元ちゃんと何かあったのかい?」
俺がそう質問すると、レイちゃんは一瞬肩を揺らして動揺した。
分かりやすい子だなー…。
「いやさー次元ちゃんに何があったか聞いても教えてくれないのよ、これが。俺としては心配で心配で夜しか眠れなくってさ~。そんで、レイちゃんなら何か知ってんじゃな~いのかなー、って思ってさ。こうして来たわけなんだけど…何か知ってっかな~?」
同情を誘うようにがっくりと肩を落として話したつもりだったけど、途中で何故かレイちゃんが肩を震わせて、笑いを堪えていた。
んん?なんか思ってた反応と違うけど…まぁ最終的には何か言いたそうにもごもごしてるからよしとしましょ!
そして、もごもごとしたレイちゃんの考えている事はなんとなく読めていた。
「つーまーり、次元に告白したけど恥ずかしくて逃げてきちゃったーと」
「なんでわかるの!?ルパンは超能力でもあるの!?」
「しっー!レディがそんなおっきな声出して叫ぶもんじゃなーいの」
言葉になってない真実をついた為か、俺の一言にレイちゃんは随分と大きな声を出して驚いていた。
すぐにお口チャックの意味を込めて制止すると、彼女は可愛い位に小さくなって恥ずかしそうに下を向いた。
「次元もレイちゃん位素直になればいいのにね~。まったく、いい年したおじさんがな~に悩んでるんだか」
自然と次元への愚痴をこぼした俺は、レイちゃんの頭を撫でていた。
ほんと、次元には勿体ない位の子だってーのに、当の本人同士がこれじゃあねぇー…。
そこで俺はちょっとした悪戯を思いついて実行することにした。
「レイちゃんもさ、次元なんか止めて俺にしない?」
いつまでも下を向いている目の前の彼女に対して、ちょーっと大人な俺が誘惑するっていう話。
俺になびかないのは分かってるけんど、いつまでもお互い背中向け合ってもじもじしてちゃ~恋も何も始まらないからね~。
「次元みたいな男よりもさ、俺の方がよーっぽどレイちゃんを大事にしちゃうよ?それこそ、泣かせたり寝不足になんてさせない。いつだって愛して大切にするよ?…どう?」
両手でレイちゃんのほっぺたを挟んで俺の方に顔を向けさせて、そう誘惑する。
ちょーっとばっかしレイちゃんが面白い顔をするもんだから、不覚にも笑いそうになっちまったけど、なんとか堪えて言い切った。
一瞬レイちゃんは俺の言葉に女の顔を見せたが、すぐに「ごめんね」と俺の誘いを断った。
「私はルパンじゃなくて次元が好きなの。次元じゃなきゃ、ダメだから」
少し恥ずかしそうに発したその言葉は、まるでレイちゃんが自分自身に言い聞かせるみたいな感じだった。
ほっぺたから俺の手をほどいて軽く笑ってみせたレイちゃんの顔を見たら、俺も同じように笑っていた。
「そうそう!レイちゃんはそうやって笑ってると可愛いんだから~。次元ちゃんもこの位素直になればいいのにね~」
やれやれ…なんでこんな素直でいい子が次元に惚れちまうかね。
内心、ここで次元じゃなく俺に対して心揺らいでたらどうしようかと本気で思っちゃったよ。
その後ちょっとばっかし冗談めいた話をしてから、そろそろ帰ろうと言う時に俺はまたちょっとした悪戯で、レイちゃんのほっぺたにキスをしてあげた。
その時のレイちゃんの顔ときたら…むふふ~♡
ま、2人のキューピットとして動いてあげたんだから、これ位の報酬はもらっておかないとね~。
帰り際にチラッと彼女の方を見ると、恥ずかしそうな顔をして、嬉しそうな顔をして、それからすっきりした顔をして家の中に戻って行った。
なんともまぁ、忙しい子だなーとは思ったけど、こっちは何とかなりそうで一安心ってとこかね?
問題はあちらさん…次元の方なんだけっどもな~。
どうしたもんかね。
_____
あとがき
優秀な情報屋=バーのマスターこと、ランドルさんです。
ルパンのしゃべり方、むずかしい。