空色バレット
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気付けばカーテンの隙間から朝日が差し込んでいた。
「あさ…」
眠たい気もするけど、眠れない。
と言うか眠れなかった。
お酒の勢いを借りたと言えど、よくもまぁあそこまで言えたなぁ…とつくづく思う。
眠気とともに段々と恥ずかしさも思い出されて、ベッドで横になりながら「あーもー…」と声が漏れた。
言わなきゃって思ったら、言ってた。
どうにかしてでも、って言ってた。
好きだから…言ってしまっていた。
「なんかもう恥ずかしさが半端ないから、ずっと引きニートして言い逃げしちゃおうかな」
スンッと遠い目をして独り言を呟いていると、早朝にも関わらずインターホンが鳴った。
今わたしゃー酷い顔なんだけどなぁ、と出たくない一心でいたのだが玄関からの音は鳴りやまない。
仕方なしに玄関のモニターを起動せさると、そこには見覚えのある赤がいた。
「ルパン…?」
7日目 赤の訪問
『よぉ~レイちゃん。元気しってかな~と思って来ちゃった♪』
「え、あ、ありがとう…?」
インターホン越しにルパンはにこやかに手を振っていた。
あちらからこちらの様子は見えない事が分かっているからか、私は少し驚いたように目をぱちくりさせていた。
…私、家教えたっけ?
寝ぼけた頭でそう考えた。
が、それでもやはり寝ぼけていたであろう私は、やべぇ!ルパン来た!とか嬉しくなって「ちょ、ちょっと待ってください!今開けますんで!」と言って慌てて洗面所へ向かい髪の毛整え、顔を洗い出した。
鏡を見ると酷い顔してたけど…いつもの事か、なんてまた遠い目をした。
きっと眠いんだな、私。
何せ自分の蒔いた種が芽どころか花咲かせて、それのせいで眠れなかったんだから。
一通り身だしなみを整え、恐る恐る玄関の扉を開けると、そこには笑顔で手を振るルパンの姿があった。
「えっと…おはようございます?」
「おはよ~レイちゃ~ん」
目の前にルパンがいることに対してまだ疑問に思ってる私は、挨拶に?マークを付けていた。
それに気づいてるのか気づいてないのか、ルパンは気にせず挨拶を返してきた。
いや、本当になんでルパンがいるんだろ?
いざ目の前で対面して、ようやく頭の回転が追いついてきた。
本当にようやくである。
「えっと…ルパン、どうしたの…?と言うか私の家、なんで知って…」
「ヌフフフ!このルパン様に不可能はないのであ~る、なんつって」
悪戯小僧のような笑みを浮かべて、冗談を交えてきたルパン。
おそらくルパンのことだから、何かしらの方法で私の家調べたんだろうな。
その「何かしらの方法」がめちゃくちゃ気になるけど、突っ込まないでおこう…。
ひとまず家に上がるか聞くが「誘ってるのかな~?」とか冗談を言ってきたから、誘ってないと断ってそのまま玄関で話すことになった。
近所の人に見られたら、なんて思われるか知らないけど…まぁいいよね(諦め)
「それにしても、次元といいレイちゃんといいひっどい顔してるもんだね~」
「酷い顔って…それこそ酷いなー私はただの寝不足なんですが」
ルパンに眉間をツンツンと小突かれつつも、私が反論すると「寝不足ねー…」とルパンはニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべていた。
「昨日さ、次元ちゃんと何かあったのかい?」
「え…」
ルパンの直球な質問に、一瞬ぎくっとしてしまい息を飲む私。
そんな私の様子をルパンが見逃すはずもなく、今度は傍から見ても明らかに落ち込んでいますといったような表情をして、がっくしと両肩と顔を下げた。
「いやさー次元ちゃんに何があったか聞いても教えてくれないのよ、これが。俺としては心配で心配で夜しか眠れなくってさ~」
いや、夜寝れればいいじゃないか。
なんてツッコミは言わずに笑いと共に飲み込んだ。
「そんで、レイちゃんなら何か知ってんじゃな~いのかなー、って思ってさ。こうして来たわけなんだけど」
何か知ってっかな~?とにっこりと笑って顔を上げてきたルパン。
私は昨日の事をなんて言えばいいのか、むしろ言わない方がいいのではないのかと思ってしまい、口ごもった。
「あーいやー…」
「ふむふむ?なるほどねぇー」
私が何も言っていないのに、ルパンは両腕を組んで目を瞑ったかと思うと、うんうんと頷きだした。
私の方はと言えば、自然とルパンから視線が逸れて明後日の方向を見ている状態。
「つーまーり、次元に告白したけど恥ずかしくて逃げてきちゃったーと」
「なんでわかるの!?ルパンは超能力でもあるの!?」
ある程度口ごもった後、ルパンが確信をついてきた。
その時は本当に驚いて少し大きな声を出してしまった。
だがすぐに、ルパンは自分の口元に人差し指を当てて「しっー」と言ってきたので、私もハッとなって自分の口元を抑えた。
「レディがそんなおっきな声出して叫ぶもんじゃなーいの」
間延びして気の抜けたセリフ、だけどその声は落ち着いていて大人を匂われるそれで、私はちょっと恥ずかしくなって小さくごめんと呟いていた。
私が少し恥ずかしそうに縮こまって下を向いていると、ルパンは軽く頭を撫でてきた。
かの有名なルパン三世に頭を撫でられて嬉しいはずなのに何故か、次元と違うなー、と彼の事を考えてしまっていた。
「次元もレイちゃん位素直になればいいのにね~。まったく、いい年したおじさんがな~に悩んでるんだか」
ルパンは他人事のようにやれやれと言ったように呟いた。
やっぱりいきなり好きだなんて言われて次元は困っていたのだろうか?
そんなことを頭の片隅へ追いやっていると、いつまでも下を向いている私の両頬をルパンは両手でむぎゅっと挟んで、強制的にルパンの方を向くように顔を上向きにさせられた。
お陰様で変な顔をしてるであろう、私の顔。
「レイちゃんもさ、次元なんか止めて俺にしない?」
私の顔をむにむにと挟みながらもルパンは唐突にそう言ってきた。
そんな状態で私は言葉を発したものだから「ふぇ?」と間の抜けた声が漏れ出た。
それでもルパンは言葉を続けて
「次元みたいな男よりもさ、俺の方がよーっぽどレイちゃんを大事にしちゃうよ?それこそ、泣かせたり寝不足になんてさせない。いつだって愛して大切にするよ?」
どう?とにこやかに聞いてくるルパン。
一瞬、ルパンがかっこよく見えたけど、違う…。
私が好きなのはルパンじゃなくて…。
「ごめんね、私はルパンじゃなくて次元が好きなの。次元じゃなきゃ、ダメだから」
私はそう言うと、両頬に置かれたルパンの手をそっと自分の手で外した。
自分で言ってて少し恥ずかしかったけど、自分の気持ちが正直に話せて、少しほっとした。
そう思えたら自然と口元が上がって笑っていた。
それを見たルパンもニッと笑った。
「そうそう!レイちゃんはそうやって笑ってると可愛いよん。次元ちゃんもこの位素直になればいいのにね~」
ルパンはそう言うと、肩を一度上下させてやれやれと言った様子を見せた。
どうやら、ルパンは色々分かった上で私に声を掛けたみたいだった。
「レイちゃんにフラれたのはショックだけど…、次元に飽きたらいつでも俺の胸に飛び込んできていいからね」
今度はハンカチまで取り出して「ぐすんっ」と泣き真似をするルパンはどこか楽しそうで、それを見た私は少しおかしくてまた笑っていた。
「ありがとうルパン。ちょっと色々落ち込んでたけど…これなら今からでも寝れそう!」
「それなら俺が今から添い寝でもしよっか~?」
ヌフフフ~とニヤけながら手をわさわささせるルパンを見て、この人は表情がコロコロ変わって本当に面白い人だな、って思ってしまった。
添い寝は丁重にお断りすると、ルパンはまた泣き真似をしてから「まぁ、でも本当に次元に飽きたり泣かされたりしたら俺を頼っていいからねん♪」と私の頬にキスをしてきた。
「次元にはもったいない位の女なのは確かだからさ」
と最後に耳元で囁いて…。
一瞬で顔が熱くなるのを感じたが、突然のこと過ぎてルパンに見とれてしまった。
その間にルパンは私の頭をぽんぽんと撫でて「まったね~♪」とその場をスキップして去って行った。
まるで嵐のような人だったけど、流石ルパンと言ったとこか。
女性を落とす台詞に迷いがない…。
一瞬ルパンにまで惚れてしまうとこだった。
…って!いやいやいや!違うでしょ自分!
好きなのは次元であってルパンじゃないの!
首をブンブンと横に振って、熱くなった顔を少し冷ます。
次元に告白して後悔しかけていたけど、ルパンのお陰で気分が晴れた。
今日はのんびり寝て、明日にでもマスターに相談しに行こう。
…ついでにツケを払いにいかねばなるまいて←
ちょっと朝から笑顔になれば私は、家の中へ戻るといそいそと眠る準備をした。
今日は、ルパンに会えてちょっと幸せな日になった。
明日は、きっともっと幸せになれる。
そう願って、ベッドに横になって瞼を閉じた。
ルパン達の予告日まで、あと2日―…。