空色バレット
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「ったく…なんなんだアイツは」
「そういうお年頃なんだよ」
レイはいきなり「好きだ」と叫んだと思ったら、すぐに店を出て行った。
俺は何度か待つように声を掛けたが、それでもアイツの足は止まることなく外へ行ってしまった。
俺は少し複雑な気持ちになりつつも酒を飲み続けていた。
ランドルが言う「お年頃」にレイが当てはまるかどうかはさて置いて、だ。
多少酒の力を借りてきてはいたが、それでもアイツは俺に好きだと言ってきた。
不思議と嫌な気持ちじゃねぇ…。
だがレイはあの2人の子どもなわけであって、それ以上でもない…そう思っていた。
いや、そう思おうとしてただけなのか…?
「…酒、もう1杯貰えるか」
「うん、次もバーボンかい?」
「いや、ウィスキーで頼む」
空になったコップで氷がカランと音を立てる。
そのウィスキー1杯を最後に俺は店を出た。
俺が店を出る頃には、少しずつ店内に客が入り始めていた。
アイツがいる時に客がいなくて本当に良かったと心底思う。
そんなことを考えながらも、俺はレイが発した告白とやらの返事をどうするか、考えながらアジトへ戻った。
6日目 聞けなかったこと、言えなかったこと ―次元サイド―
アジトへ戻ると、リビングでルパンが何かこじんまりしたモノを作っていた。
まぁ、今回の仕事で使う何かに違いはねぇだろうけどな。
「お、次元ちゃんおっかえり~。今夜もレイちゃんとヨロシクやってきたのかな~?」
「うっせーよ」
俺を帰ったのに気付いたルパンは、案の定ニヤニヤとした笑みを浮かべて揶揄ってきた。
別に答える義理もねぇと思った俺は、ルパンを適当にあしらって向かい側のソファに座り、煙草に火をつけた。
煙草を咥えてソファの背もたれに身体を預ける。
一息煙を吐くと、店での出来事を思い出し少し複雑な気持ちがこみ上げてきた。
レイに好きだと言われた。
あれはライクの方じゃ…ねぇだろうな。
以前にも言われたが、あれは完全に酔っていた時で今回は違う。
同じように酒の勢いで言ってはいたが、赤い顔をして震えていた姿は真剣そのもの。
ソファに預けていた身体を起こして、両膝に肘を置いて盛大なため息をついた。
大量の煙草の煙が出たところでルパンが「どうしたよ」と怪訝そうな顔で訊ねてきた。
「いや、まぁ…な」
「んだよ~歯切れが悪ぃな」
「お前に話すと絶対茶化してくるのが分かってんだよ」
「ひっでーの!俺様を何だと思ってんだかね~」
細かい作業をしているからか、特殊な眼鏡を掛けていたルパン。
眼鏡をくいっとあげて、俺にキーキーと文句を言ってくる。
俺はそんなルパンに悪びれもせずに、両耳を指で塞いだ。
ついでに舌をべっと出してそっぽを向くと、更にルパンが騒いだ。
誰がコイツに言うか。
言えば確実に何か言ってくるだろう。
煙草を吸い終えると、俺は自室へ戻るべく席を立った。
それとほぼ同時にルパンも作業を終えたようで、一息ついていた。
「じゃあ俺は先に寝るぜ」
「おう」
それだけを言って部屋の扉に手を掛けた瞬間、後ろの方からルパンが「あーそうだ」と更に声を掛けてきた。
何かと思って軽く振り向いて「なんだ」と答えると、ルパンは両手を頭の後ろに組みソファに背を預けて話し始めた。
「レイちゃんと何があったか知らないけどよ、今のおめーの顔酷いもんだぞ。苦虫でも噛み潰したみたいな、なんなら人1人今から殺しそうな顔してるぜ」
「…余計なお世話だ」
ルパンはこちらに顔を向けずにそう言うと「ま、どっちにしても早めに解決するこったな」と少し呆れつつも真剣な表情で答えてきた。
「言われなくても…分かってるさ」
そう一言だけ返事をして、帽子を目深に被りなおした俺は自室へ戻った。
分かってる、つもりだ。
部屋に入ると、また煙草に火をつけ一息つく。
いつかはこうなるかもしれねぇ、そう思ってはいた。
ガキだガキだと思ってたが、今回の件で変に意識がいっちまう。
返事は…するべきなんだろうな。
だが、俺の気持ちはどうにも定まらず、どう応えるすべきか決まらないでいた。
煙草は徐々に短くなり、俺は後ろ髪をがしがしと掻いた。
「分かってるつもり、なだけだったのかもしれねぇな」
そう呟いて短くなった煙草を消し潰して、俺はベッドへ寝転がった。
明日、いや明後日にもなれば、俺もアイツも気持ち的に落ち着くだろう。
そう思ってうやむやになりつつある返事を、俺は考えて目を閉じた。
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あとがき
書いてる私が一番混乱してる←ぇ
次元は何が聞けなかったのだろうか、言えなかったのだろうか。
男心って複雑(((