空色バレット
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「さぁて!そろそろ本格的に仕事に取り掛かりますか~!」
ルパンのその一言で俺と五ェ門はやれやれといった感じに苦笑いをした。
不二子の為にそこまでやる気になれるコイツの思考が心底羨ましくなる。
そもそも、予告の日までそんなにないって言うのに、ルパンの顔には余裕の表情さえ見える。
…どうせまた裏で不二子と何か連絡でも取りあってたんだろうよ。
コイツのそういう余裕も、時々羨ましくなるな。
5日目 会えない日 ―次元サイド―
外の明かりが暗くなり、街灯や店なんかの明かりが道を照らし始めた時間。
俺とルパン、五ェ門の3人はランドルの店を貸し切って、次の仕事の作戦を練っていた。
なんでランドルの店かと思えば、ルパンの「あそこの酒がうまかったから」なんて、呆れる程勝手な話からだった。
てっきりランドルの奴は断るかと思えば「たまには店を休みたいからいいよ?」なんてあっさりと承諾してきた。
「俺の周りは能天気な奴しかいねぇのか」
「ん?なんか言ったか?次元」
「なんでもねーよ」
ぼそっと悪態をついたが、どうやら隣りに座るルパンには聞こえていなかったようだ。
俺はカウンターに片肘をついて、下手な誤魔化しで言葉を流した。
「んじゃ、4日後はさっき言った時間に作戦スタート、ってことで!」
「あいよ」
「うむ」
作戦を練るっつったって、ものの30分と掛からずに終わった。
それ位今回の作戦もあっさりと終わるってことか。
「今回の盗みは随分と早く終わりそうなのではないか、ルパン」
どうやら五ェ門も同じような考えらしい。
だが、ルパンの話が終わり一服する俺とは違って、五ェ門は眉を顰めていた。
「そうか~?赤外線とか監視カメラだの色々設置してあって面倒事はあるし、何より今回も銭形のとっつぁんがすでにいるんだぜ?俺的にはけっこー面倒だったりするのよね~」
なら不二子なんぞのおねだりは聞かねぇで、ほっときゃいいだろうが。
まぁ、それをルパンに言ったところで聞くことはねぇだろうけどな。
「それならば不二子の頼みなど捨て置けばよいものの」
今日の五ェ門は、とことん俺と同じ意見のようだ。
そこまで言われて、俺が微かに笑うとルパンはむすっとした様子で「なんだいなんだい!次元も五ェ門も揃いも揃って、俺と不二子ちゃんの仲に嫉妬しちゃってさー!」と子どもっぽく怒り出した。
別に嫉妬をしてるわけじゃねぇが、俺も五ェ門と同じ意見なのを感じ取ったみたいだ。
いきなりルパンが声を張ったからか、奥にいたランドルは何事かと覗いてきたが、俺たちが笑ってる姿を見て「なんだ」と言った様子で笑ってまた奥へ戻っていった。
「ったく…俺なんかの話より、今はどっちかってーと次元ちゃんの話がしたいけどな~」
「あ?」
俺と五ェ門がひとしきり笑うと、ルパンは鼻を鳴らして腕を組んで不意にそんなことを言いだした。
いきなり何のことだ、と言おうとしたところで、ルパンがニヤニヤとした顔で俺を見ていることに気づいた。
「五ェ門ちゃん聞いてくれよ~次元ちゃんってばさ、もー日本での彼女を作っちゃってるのよ~」
「な!?」
「なんと…」
五ェ門の肩を組んだルパンが酒を片手にそう話すと、五ェ門は驚いた顔を見せた後顔を軽く赤らめた。
「破廉恥な…」
「でしょでしょ~!俺も昨日知ったばかりなんだけどさ、それがまた可愛い子でさ~」
「アイツは彼女でもなんでもねぇ。昨日知り合いのガキだって言っただろうが」
俺が訂正を入れるが、ルパンはわざとらしく「きゃーこわいー」とか笑い出した。
それを見て俺の言い分が正しいと気づいた五ェ門だが、それでも女を連れていたことに変わりはないと思ったのか「ふしだらな…」とちびちび酒を飲みだした。
「それでそれで?レイちゃんとはどこまで進んでるのかな?キッスはもう済ませた?}
「だから違ぇって言ってんだろう」
俺の方へ顔を向けたルパンは「ちゅっちゅー」とか気持ち悪いキス顔をしながら茶化してくる。
そんなルパンの頭を掴んで、その顔で迫ってくるのを阻止する。
「またまたぁ~、昨日俺がレイちゃんと話をしてた時の次元ちゃんの顔、それはもう怖かったぜ」
すっと姿勢と顔を戻したルパンは、またニヤニヤと笑い出した。
「はっ、俺の顔がこえーのは元からじゃねぇのかよ」
「いや~明らかに嫉妬してますーって顔だったぜ~」
そこまで言うと、ルパンも酒を飲み始めた。
俺が嫉妬…?
んな訳はねぇ…レイはあの2人のガキなわけで…。
そう思ったが、何故か口には出せずにいた。
酒と一緒に言葉まで飲み込んじまったみたいだ。
その後、少しの間静かになったと思ったら、ガチャガチャと店の扉を開けようとする音が聞こえた。
何かと思って、俺たち3人は扉の方に意識を集中させたが聞こえてきたのは「あれ?ん?」という聞き覚えのある声だった。
「なんだ、アイツか」
扉の外側に、今日は看板を掛けて誰も入らないようにはしてあったはずなんだがな。
出会った日もそうだったが、アイツは扉の看板を無視する癖でもあるのか?
「お、次元ちゃんの現地妻登場かな?」
「誰が現地妻だっ」
隣りで揶揄ってきたルパンは「鍵開けるか?」と聞いてきたが、俺は首を横に振り返事をした。
「鍵かけて店仕舞いの看板まで掛けてんのに入ろうとするアイツが悪い。どうせまた明日も来んだろ」
「次元ちゃん手厳しい~。けど明日も会うつもりなのねん♪」
そう言われてから俺は肯定も否定も出来ずに言葉を詰まらせた。
俺が言い返さないのを見て、ルパンは「ふーん」と何か思うところのある、少し真剣な顔をした。
「なんだ」
「いやね、こんなに次元が入れ込むのが珍しくってさ」
「そんなんじゃねぇって言ってんだろう」
またルパンの揶揄いが始まった、と思ったがルパンは「仕事に支障のないように頼むぜ」と静かに忠告だけして終わった。
ちらりとルパンの方に視線をやるが、今度は五ェ門に絡んでいて、さっきまでの真剣な表情は消えていた。
俺がレイに入れ込んでる…か。
少なからず当たってるかもしれねぇな。
そう思うと、フッと少し笑えてきた。
その夜は結局レイと会わずに終わり、俺たちは作戦会議と称した酒飲みで日を跨いだ。
アイツがまた怖い思いをするなんて、これっぽっちも感じ取れずに、それこそのん気に。
どうせ明日も会える。
何より日本にいる間なんだ。
そう自分に言い聞かせて。
_____
あとがき
ヒロイン、何者かにつけられてます。
こわいこわい。
そして五ェ門はほぼ空気←
すまんすまん。