空色バレット
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やりました。
やってしまいました!
とうとう私はお酒(とルパン)の力を借りて次元のことを…!
「呼び捨てに出来るぅぅぅ!/////」
喜びのあまり、今日も朝からベッドでゴロゴロと悶えている状態の私。
こういう性格は一体どっちに似たのだろうか…?
「あーそう言えば、今度お父さんとお母さんの事話してくれるって言ってたっけ」
未だに消息不明な2人。
生きてるのか死んでるのか。
我が親ながら不思議で仕方ない2人。
「いつかきっと、分かる日がくるよね」
私はそう小さく呟くと、部屋にひっそりと置かれた両親が写る写真立てを指先で弾いた。
5日目 会えない日
ベッドで休むのもそこそこに、リビングに行きテレビをつけると私の関心を引くニュースがやっていた。
『次のニュースです。○○美術館にあのルパン三世から予告状が届きました』
「ほう!」
『狙いは現在美術館で目玉となっている宝石≪バレット≫とのことです。ルパン三世が提示した予告日は4日後の夜。今回の予告状を受けて、美術館側は急遽警備態勢の見直しを行い、ICPOに所属しているルパン三世逮捕の専任捜査官、銭形警部にも応援要請を行った模様です』
アナウンサーって凄いな。
よく噛まないよね←
そこまでを朝食のクロワッサンを齧りながら見ていると、映像が美術館前の風景と、館長らしき男の映像に変わった。
そして男の横には、秘書らしき女性も映っている。
凄く綺麗な女性で、まるで峰不二子のような…。
「いやまさかね。あははは」
空笑いをしながら、テレビを凝視。
眼鏡をかけて、変装っぽいことはしてるようだけど…おそらく不二子。
『私の大切なバレットをルパン如きに盗まれたら溜まったもんじゃありません!必ず目にもの見せてやりますよ』
なんか館長が意気揚々とそんな感じでインタビューを受けているようだったけど、私の目線は不二子にしかいってない。
彼女が本当に不二子であれば、潜入とかしてるのかな?とか、まさか館長に取り入って後から宝石を盗む?とか色々思案していた。
そして今度は美術館の中、ルパンが狙っている≪バレット≫が展示してあるスペースが映し出された。
そこには何人もの警官と、指揮を執る男が1人。
昨日公園で見かけた銭形だ。
「わぁお、凄い警官の数だなー。って言うか、昨日あそこに銭形警部がいたのってルパン達が来てるの気づいて…とか?」
恐るべし、ルパンハンター。
…ハント出来てないけどね。
暫くすると、映像はまたニュース画面へ戻り、別の内容が流れた。
それにしても、予告状が出たってことは次元達は今忙しいのかな?
多分下準備?的なものをしなくちゃいけないだろうし…。
そこまで考えてから、自分にとって結構重要な疑問がふと浮かび上がってきた。
今回の盗みが終わったら次元はルパン達と一緒に日本を離れてしまうのか?と…。
盗みが終われば、きっと日本に滞在し続ける理由はない。
折角会えたのに。
折角話が出来たのに。
折角、名前を呼び捨て出来るっていうのに。
折角…両親の事が、少し知れそうだったのに…。
言い出したらキリがなくなりそうだった。
きっと、最近色々と刺激的な事が起こりすぎて、私の気持ちはそれに追いつけていないんだ。
分かっていたつもりでいたのに、いざ現実が近くに見えると自分の足元だけが空っぽに見えた。
「んんーどうしよ…凄くセンチメンタル?って言うのかな?そんな感じだよ」
一瞬真剣に色々考えたが、きっと今考えたって何もならないよなーと思うようにした。
そして暗い考えはぱっぱと手で払って、すぐに今夜のことを考えた。
今夜のこと…もちろんマスターのお店に行くことだ!
もしかしたら今日も次元に会えるかもしれない!
そう思ったら、最近の日課になりつつあるバー通いを止められなくなっていた。
「とりあえず、昼間は買い物に行ってー、夕方はマスターのとこ行こうかなー♪」
さっきの暗い気持ちはどこへやら。
次元に会えるかもしれない、と思うと自然と笑みがこぼれた。
いずれ来る別れなら、今まで通り笑顔でいきたいもんね。
そして時間は流れ、夜。
ちゃんと防寒対策をしつつ出かけ、バーの前に着いた。
いざ!と扉を開けようとしたが…ガチャガチャとなるだけで開かない。
「あれ?…ん?」
よく見ると扉には『Close』の看板がかかっていた。
「今日休みなのかな?マスターのとこって定休日とか決めてないからよく分からん…」
だが、鍵まで掛けているとなると、今日は休みなのだろう。
しょうがない、と諦めて帰ることにした。
「ん?」
そこで不意に視線を感じて振り向いた…が誰もいない。
今確かに誰かがこっちを覗いていたような気がしたけど…。
気のせいだろうか?
夜と言うこともあってか、少し気味が悪くなってぶるっと震えてしまった。
実はバーに来るまでの道のりでも、時々視線を感じていた。
でもまさか…とは思って気にはしていなかったけど…本当にまさかね。
「(変態とかだったら嫌だしさっさと帰ろ…)」
先日も酔っ払いに絡まれて少し怖い思いをしたばかりだ。
あの時みたいに何かあっても、必ず次元が…誰かが助けてくれるなんて偶然はないに等しい。
その日はなるべく人通りの多い道を選んで、足早に家へたどり着いた。
帰った頃には視線を感じることもなくなり、安堵の息をつき暫くすると眠りについていた。