空色バレット
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さっきまでの沈黙も段々となくなり、ランドルの店の近くまで来るとレイは昼間と変わらず笑うようになった。
「次元さん、ホントに好きなお酒飲んでいいんですか?」
「あぁ。あまり度数の高いのはダメだけどな」
「そうやってまた子ども扱いする!」
ここ数日で俺は何度コイツから子供扱いをしてると言われたんだか。
段々と揶揄うのが面白くなってるのもあるのかもしれねぇな。
店の前に着くと、扉には閉店を示す看板がかかっていた。
俺とレイは顔を見合わせて首を傾げたが、ランドルのことだからどうせ中にいるんだろうと思って俺は扉を開けた。
そして扉を開けたことをすぐに後悔した。
4日目 デート?―次元サイド(2)―
「よぉ~次元ちゃ~ん!」
「ルパン…」
すぐにでもこの扉を閉めたかった。
開けてすぐに目についたのがカウンターに座るルパンの笑顔だったなんて、これ以上ない位面倒事の予感しかしねぇ。
「ルパン三世…!本物…!!」
俺が嫌な顔をしてるのをよそに、レイはまた1人で盛り上がっているようだった。
キラキラした目でルパンを見てやがる。
気にくわねぇ…。
「お?おお?なぁーんだ、次元ってばホントにかわい子ちゃんとよろしくやってたのねん。うっらやまし~」
ルパンは俺の隣りに立っていたレイを見て、ニヤニヤと朝と同じ顔を見せてきた。
「茶化すなルパン。てか何でここにいるんだよ。まさか酒飲みながら情報収集とか言わねぇよな」
一応店の中には入ったが、今すぐにでも出ていきたい気分だ。
「んー?いやーここにいるランドル殿はな、裏じゃ一応名の知れた情報屋の1人だったりするんだよなーこれが」
「え、マスターすごっ」
確かにランドルは色々と情報通なのは知ってたが、ルパンがここに来るとは思わなかった。
さり気無くランドルの方を見れば、アイツも面倒臭そうな顔をしていた。
「で?次元と一緒に来たかわい子ちゃん、名前は?よかったら俺と一緒に今晩過ごさない?♡」
「ふぁぃ!?/////」
案の定ルパンはレイに目を付け始めた。
レイもレイで顔を赤く染め始めた。
「もう酔ってんのか、ルパン。それとレイも一々反応するな。ありゃただの女好きだ」
「レイちゃんって言うのか~!次元みたいなおっかない奴ほっといて、俺と飲も~♡」
俺はバカか…レイの名前を言えばルパンが更に反応するのは分かってたはずだ。
レイは隣りで惚けて「パラダイス…」とか言ってやがる。
何がパラダイスだ…コイツ本当に能天気だな。
「俺はお前とは一緒に飲まねえからな」
「次元ちゃんはお呼びじゃな~いの。俺はレイちゃんと一緒に飲みたいから♡なんなら奢っちゃうよ?」
「おごり!!」
ルパンが酒を奢ると言った瞬間、レイの目は別の意味で輝きだした。
このままだとルパンが余計な事をレイに吹き込んだり、レイが余計な事を聞いたりしそうだな。
何よりレイは酒癖が悪いのは、ここ数日でよく分かってる。
酔った勢いで手を付けられでもしたら…そう考えただけで気分が悪ぃ。
「次元さん次元さん!ルパンさんも一緒に飲んだら…だめですか?」
「…。少しだけならな…」
「やった!」
元々店で酒は飲むつもりでいた。
レイに約束もしちまった以上、監視の名目も兼ねて俺も同席することにした。
ルパンは「な~んだ、次元も一緒かよ~」とあからさまにガッカリした態度を取っていたが、俺とだけ視線が合うとニヤニヤとまた笑い出した。
「(コイツ…俺が断らないの分かってて誘いやがったな)」
ルパンと俺の間にレイが座って、はじめは嬉しそうだったレイも徐々にルパン相手に緊張する姿が見えてきた。
そうやって黙ってればまだ可愛いんだけどな。
「レイちゃんお酒は何が好き?」
「か、カシオレ、です!」
「緊張しちゃってかっわい~♡」
どさくさに紛れてルパンがレイに抱き着いた。
なんとも言えない気持ちが出てきそうで、俺は出されたバーボンに口をつけて気持ちを落ち着かせた。
レイにはカシオレが出されて、緊張を消そうとしてるのか、半分位一気に飲み干していた。
「レイちゃんってばぐいぐいいくね~。ねぇ、次元とはいつどこで知り合ったの?どこまでの関係?」
やっぱりルパンは少し酔ってるのか?
レイに対して色々と聞きたがる素振りを見せてくる。
肝心のレイはと言えば、まだ緊張してるのかしどろもどろな答えしか聞こえてこない。
「ど、どこまでって/////」
「あんまりガキをいじめるなルパン」
「こらこら次元ちゃんや。レディに対してガキはないでしょ~」
「レディ/////」
またルパンの台詞に顔を赤く染めるレイ。
本当に面白くねぇ…。
「コイツは…知り合いのガキだ。いくらルパンでも手を出したら…わかるよな」
「おー怖い怖い」
俺は何かが気に入らなくて、ルパンに八つ当たりをするように睨みをきかせた。
今日の今日まで言わないでいた、レイがジンと杏のガキで、俺と2人は知り合いだと言うこと。
それだけ言うとレイは「え」と驚いた様子で俺の方を向いた。
「次元さんってお父さんとお母さんの知り合いだったんですか?」
「あぁ…2人とも古い知り合い、と言うか恩人みたいなもんだ」
そこまで話すとレイはぽかんとした表情をしてきた。
「なぁ~んだ、じゃあ次元は元々レイちゃんのこと知ってたってわけね。知り合いの子をたぶらかすとか、次元ちゃんってばやらし~」
「そんなんじゃねぇ。折を見て話すつもりがルパンのせいでこうなってんだよ」
俺のせいかよ、とルパンは小さく悪態をついてきたが、今はそれよりもレイの反応が気になる。
黙っていたことに対して怒るかと思っていたが、レイは目をぱちくりさせた後、やんわりと笑ってきた。
「なんだ、びっくりしちゃったけど世間って狭いですね。次元さんが両親と知り合いだなんて。今度2人のこと色々教えてくださいね!結婚前の話とか全然してくれなかったんで気になってたんです!」
元気そうにそう答えて、嬉しそうな顔をしてきた。
普通は親の行方が分かってないなら聞いてくるもんだと思ってたが…。
少しレイの態度に疑問は抱いたが、その疑問をぶつけることなくその場は時間が過ぎた。
「そ~だ!レイちゃん、俺のことはルパンって呼び捨てでもいいよ♡」
「呼び捨て!?////」
「なんなら敬語もなーし!次元よりも俺と、もーっと仲良くなろうよ♡」
時間が過ぎる程にルパンの絡みはヒートアップしていた。
それは俺に対抗でもしてるつもりなのか?
「る、ルパン…////」
「かっわい~~!♡」
軽く酔い始めたのか、流されるままにルパンを呼び捨てにしてるレイに対して、少し苛立ちを覚えていく。
「もうレイちゃんが可愛すぎて本当にお持ち帰りしたくなっちゃうな~♡」
レイにまた抱き着いたルパンは、俺の方をチラチラと見てきた。
それが一体どういう目配せなのかは分からねぇが、どうにも苛立ちの治まらない俺はレイをルパンから引き離していた。
もちろんレイは驚いた様子で俺を呼んだが、気にせずカウンターに2人分の金を置いて立ち上がった。
「もう遅い、送っていく」
「あ、ありがとうございます」
「送り狼にならないようにな~次元~。またね~レイちゃ~ん」
「ま、またね!ルパン!」
店を出る時に、後ろからまたルパンが茶化してきたが、俺はそれに返事をすることなく、そのままレイを引き連れて店を出た。
「あ、あの、次元さん?なんか怒ってます?」
夜道を暫く歩いた所でレイにそう声を掛けられ、俺は少しハッとなって手を離して立ち止まった。
「いや、悪かったな」
「いやいや!私は大丈夫ですよ!むしろ私が酔ってまた何かいらぬことでもしたんじゃないかと思って…」
苦笑いを浮かべて申し訳なさそうにするレイを見て、俺は煙草に火をつけて「別にお前が悪いわけじゃねぇ」と返しておいた。
実際、レイが悪いわけじゃねぇ。
どういう訳か、ルパンに苛立っていた俺の勝手であの場を抜け出してきたんだ。
「次元さんってルパンと仲いいのかと思ったら悪いんですか?」
「別にそんなじゃねぇよ」
「ほうほう…。それにしてもルパンって面白い人ですね!どこか可愛い一面もあって!」
「…」
レイを家に送る間ルパンの話ばかりを聞かされる。
アイツの話をするレイの顔が、妙に嬉しそうで俺は逆に機嫌を悪くしていった。
そんな俺の様子にレイが気づくことなく、家の前まで無事に到着する。
これ以上長く話をしてると俺がいらぬ事をコイツに言いそうで、早々にその場を去ろうとした。
「じゃあな」
「あ、あの!次元さん!」
俺が背を向けた途端、レイに呼び止められて反射的に立ち止まってしまう。
後ろを向くことはなかったが、声のトーンからレイがまた顔を赤くしてそうなのは感じ取れた。
「お、お願いがありまして…」
「なんだ」
「な、名前…。次元さんの名前も…呼び捨て、したいなぁ…って/////」
そこまで言うとレイは顔を手で覆ったのか、こもった感じの変な声を上げていた。
ルパンにいつの間にか何か吹き込まれたのか?
それとも、単に俺のことも呼び捨てにしたくなったのか。
どちらにしてもルパンが影響してることに変わりはねぇが…。
「(まぁ悪くねぇな)…いいぜ」
「ふぇ!?/////」
「ただし、あんまりルパンとは深く関わるな。いいな」
「はいっ!」
ホントに分かってるのか、コイツ。
チラリとレイの方を振り向くと、やっぱり顔を赤くして嬉しそうにニヤけていやがった。
そんな姿も見慣れたのか、ふいに頭を撫でてやるとニヤけた顔を一瞬フリーズさせて更に顔を赤くしてきた。
「機会があったら、今度お前の両親の話でもしてやる。それまでいい子にしていろよ」
「こ、子ども扱いしないでくださいよ/////」
覇気のない震えた声で俺に必死の抵抗するレイ。
面白くなって更に頭をぐしゃぐしゃに撫でると「髪の毛!抜けちゃうから!」とレイがいつもの調子に戻りつつあった。
俺の苛立ちもいつの間にか治まっており、その後は髪の毛を押さえて唸るレイの見送りでその場を去った。
帰ったらルパンにまた何か言われそうだが、気にしないでおいてやるか。
_____
あとがき
ちょいちょい次元の心の声洩れてきてます。
子ども扱いしてくる次元が好きです←