空色バレット
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時計が夜の7時を回った頃。
次元とレイの2人は一緒に店へ来た。
一緒に、と言うか…レイが次元について来ていたようにも見えたけど…。
まぁあの次元が嫌がってないようだし、連れてきたの方が正しいのかもしれない。
「ランドル、ここいいか」
「あぁ。レイちゃんも次元の隣りに座るといいよ」
「やった!」
店内に入ると、次元は空いてるカウンター席に座り、俺はその隣りの空いてる席をレイへ勧めた。
もちろん次元になんでって顔はされたけど、笑顔でバーボン出しておこうかな。
3日目 閑話休題
今日の客入りはまずまず。
でもまぁ、今日のお客達もあまり人の事を詮索するような人達じゃない。
数名はここの常連だし大丈夫か。
次元もそれに気付いてか、あまり周りを警戒はしていなかった。
「マスターカシオレ―。あと今日は夕ご飯にグラタンも欲しいかなー」
こっちはのん気な子だし、次元以外には問題ないかな、うん。
「おいガキ、昨日はすぐに酔い潰れただろうが。ちったぁ飲み方考えろよ」
「え、次元さん、私のこと心配してくれてるんですか…!」
昨日の事を気にしてる…というか根に持ってる?次元はレイにそう忠告していた。
斜め上に捉えたであろうレイはなんか面白い顔してるけど、本人的にはきっと嬉しいっていう顔なんだろうなぁ。
いや、まぁ心配してるのは…当たってるかもしれないね。
次元は認めないだろうけど。
「と言うか、子どもじゃないですってば」
ワンテンポ遅れてレイがそう言うと、次元は「成人してるようには見えねぇ」と酒を一口。
確かに見えないかな。
日本人は幼く見えるって言うけど…レイは日本人寄りのハーフだね。
「これでも23なんですよ。23歳!」
「やっぱりガキじゃねぇか」
「え、海外では23って子どもなんですか…!?」
年齢を言ってドヤ顔をしていたレイだけど、次元のセリフですぐに驚いた顔になっていた。
次元、やめたげて、その子すぐ信じちゃう時あるから。
次元もレイが信じかけてるのに気付いて笑いを堪えていた。
何やかんや次元も楽しそうじゃないか。
次元に騙されかけて形だけ怒ったレイだったけど、俺が夕ご飯にグラタンを出してあげると子どものように喜んだ。
お酒は…後ででいいかな。
また悪酔いされたら面倒だし。
「そう言えば、今日は2人一緒に来たけど偶然?」
俺がそう聞くとレイは嬉しそうに顔をきらめかせて「そう!聞いて聞いてマスター!」と路地であったことを話し始めた。
次元は「たまたまだ」ってそっぽを向いていたけど、実際はどうなんだろうなぁ…。
「次元さん…かっこよかったなぁ…えへへ」
「よかったね。でもレイちゃんならそんなチンピラもどき、どうにか出来たんじゃないの?」
「まさか!お父さんやお母さんじゃあるまいし、精々出来て金蹴りするか顔面か顎か側頭部に頑張って拳入れるくらいだよ!」
「それだけ出来りゃ十分だろ…」
しゅっしゅっと拳を振るフリを見せるレイに対して次元は少し呆れた口調で話していた。
まぁー…急所は痛いからなぁ…。
レイがグラタンを食べ終わり、次元もバーボンがそろそろ空になる頃。
2人より先に入っていた客達はぽつぽつと帰っていき、夜の9時になる前には昨日と同じメンバーになっていた。
「ふぅーお腹いっぱいでお酒飲めないかも。マスターのグラタンってお母さんのより美味しいんだよね」
あー…杏ってどっちかと言うと料理下手だったもんなぁ。
俺がお礼を言うと、次元は杏やジンの話が気になったのかレイをチラリと見ていた。
次元は何を言おうと、何を聞こうとしてるんだろうな。
次元と実は知り合いだってこと?
ここ数十年の2人のこと?
それとも、2人がもうこの世にはいないかもしれない、ってこと?
「ん?どうしたんですか次元さん。私の顔にグラタンついてます?」
「いや、なんでもねぇ」
そう静かに返事をした次元は、残りのバーボンを飲み干した。
きっと、いつか自分と知り合いだったことを次元は話すだろうけど、その後はどうするんだろうなぁ。
一応俺も風の噂で2人のことは知ってるけど、まだこの子には話してないし…。
「んーーーーーーー」
「え、マスターはどうしたの。いきなり唸って」
「うん、いや、なんでもないよ」
ま、いっか!
この2人なら何とかなりそうだし。
俺が深く考えても仕方ないよね、うん。
目の前の2人は少し不思議そうな顔をした。
でも、すぐに2人も「まぁいいか」といった顔になり、お酒を注文してきた。
暫く他愛もない話が続いた。
レイは次元にお酒は1杯までと言われてむくれて、父親かよとか思ったり。
次元は煙草を吸いすぎだとレイに諭され、母親かと思ったり。
俺はそんな2人を見てさっさとくっつけとか少なからず思ったり。
段々と2人を見てて進展するのかしないのか分からなくなって、もどかしくなってきた。
…早く帰らないかなーこの2人。
「さて…俺はそろそろ帰るぜ」
俺の心の声が届いたのか次元が立ち上がり勘定を済ませる。
レイはカシオレ1杯で少し酔ったようで、顔が赤くまだ座っている。
「帰っちゃうんです?もうちょっと一緒にお話したかったのに」
次元と沢山話が出来たのが嬉しかったのか、ため息を1つ吐いたレイはカウンターに寄りかかる。
すると次元は「路地の外までなら送ってやる」とさり気無くイケメンアピール。
無自覚って怖いねぇ。
「帰る!帰ります!私!」
もちろんレイがその申し出を断るはずもなく、すぐに顔をシャキッとさせて勘定を済ませた。
見てて飽きない2人だけど、正直これを延々見せられた俺はたまったもんじゃない。
「はぁ…なんか久しぶりに疲れた」
2人が去った後の店内は凄く静かに感じて、俺はため息をついた。
次にもし来る時があれば、もう少し見てて疲れない関係になっててほしいと心から願った。
____
あとがき
おまけです。
ランドル(マスター)視点で書いてみました。
彼、お店やってる間は始終笑顔だったり。
とりあえず、次とかはもう少し進展させます(目を逸らし)