空色バレット
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「あ、頭が重い…」
そして眠たい。
ベッドから起きるのが辛くて、気づけばもうお昼を過ぎていた。
そう言えば昨日は、バーに行って飲んだんだった。
カシオレを2杯…そこまで飲んだのは覚えている。
あと覚えていることと言えば…。
「次元、大介…会っちゃったぁー!うひゃぁー!w……いてて」
思い出して嬉しくてゴロゴロと動いたら頭が痛くなった。
完全に二日酔いですね、ありがとうございます←
2日目 再会
しっかりと起きれたのはもう日が傾きかけてきた頃だった。
時々起きてお茶を飲んだり、パンを食べたりしてたけど、それでも流石にお腹が空いてきた。
「面倒だし今日はマスターのとこで何かご飯作ってもらおうかな…」
昨日はお酒飲んで潰れて、マスターに送ってもらって迷惑かけたし謝りに行かねばなるまいて。
と言うかあれか、昨日は夕飯をまともに食べないで、すきっ腹にお酒飲んだから潰れたのか。
なんてことをぶつぶつ独り言を話し、出かける準備をした。
もしかしたら、また次元に会えるかもしれないし、なんて淡い期待もしていた…。
「寒いし寒いし寒い」
今の時期、そんなに寒くならないだろうと思って上着としてパーカーだけ着たのは間違いだったかもしれない←
そんな事を思いながら、気付けばバー近くの路地まで辿り着いた。
相変わらず薄暗い。
「まぁ飲み屋とかが多いからしょうがないのかなー」
小さく呟きながら、歩いていると向こうから男性の若者2人が歩いてきていた。
狭い路地だからぶつからないように避けたと思ったけど、ここは飲み屋が多くある。
あちらさんはしたたかに酔っていたようで、よろけて私にぶつかってきた。
どちらかと言えば私はぶつかられた方だから、謝ることはないが一応「あ、すみません」と反射的に謝って、その場を去ろうとした。
「おいごらぁ!ぶつかっておいてなんだぁその態度はよぉ!」
去ろうとした…のだが、何故かあちらが絡んできた。
それこそ、どこかのドラマかアニメか?というテンプレ台詞とともに。
人っていきなり怒鳴られるときょとーんとしてしまうようで、私は「え…」と気の抜けた声を出していた。
「はぁー?なんだよ文句あんのか?」
「いってぇー、これぜってぇ折れてるわー」
またまた悪役のテンプレ発言。
初めて聞いた…。
思わずありがとうございますとかお礼を言いそうになった←
何を言われてもぽかーんとしている私が気に入らなかったのか、1人が私の胸倉を掴んできた。
その時ようやく現状を「やばい」と理解して、段々と怖くなってきた。
そんな私が面白かったのか、男達はニヤニヤと気持ち悪く笑い「どうすっかなぁ~」とか言い出した。
怖くなってきた…。
「…次元…助けて…!」
小さな声でそう呟いで目を瞑る。
ただの願望であって、本気で助けに来てくれるとかは思ってなかった。
この後どうしたら、と混乱する頭を整えようと必死になりかけたその時。
「ぐっ…!いでででで!!」
男の1人が悲痛な声を上げた。
恐る恐る目を開けて確認すると、そこには男の腕を後ろに捻り上げている次元がいた。
なにこれ、こんな偶然あっていいの?
怖さと違うドキドキが胸を高鳴らせ、またぽかーんとしている私。
胸倉を掴んでいた男が私から手を離すと、次元も捻り上げていた男の手を離して地面に放り投げた。
「なんだてめぇ、俺のツレに何してくれんだ!」
「悪かったな。通行の邪魔だったんでどけてもらったぜ」
次元はしれっとそう言うと、1本煙草を取り出して火をつけて吸い始めた。
その態度が男は気に入らなかったようで、今度は男の胸倉を掴みだした。
その間に地面の男もゆっくりと上体を起こすが、本当に痛そうで酔いなんて覚めるんじゃなかろうか?
胸倉を掴まれた次元は冷静に「やめとけ。酔ってんならさっさとお家に帰るんだな」と男達に諭す。
「かっこいい…」
恋は盲目ってホントだったんだなと実感した。
ぼそりとそう言うと次元が少し、フッと笑った…気がした。
そして案の定、次元に絡んでる男は気分を害したのか、また私に絡もうと振り返ってきた。
忙しい人だなー、とのん気に思いながらも、これまたどうしようと考える。
「悪ぃな、そいつは俺の連れでな」
カチリと音が聞こえたと思うと、私に絡もうとしていた男はぎょっとして立ち止まっていた。
よく見ると、次元が銃を構えて男の後頭部に突きつけていた。
その光景に私も驚いたし、地面に転げているもう1人の男も驚いて「ひっ」と小さな悲鳴を上げていた。
目の前にいる男は「本物なわけない」とブツブツと呟いている。
いえいえお兄さん、きっと本物ですよ。
「試してみるか?」
なんて次元が挑発めいた事を言うと、男2人は「す、すみませんでしたー!」とダッシュでこの場から逃げて行った。
あれだけ走れるならきっと酔いも覚めただろう。
「あの、次元さん!ありがとうございました!」
男達が去ってすぐに、私は嬉しくて次元に駆け寄った。
まさか今日も彼に会えるとは…!
「ガキがこんなとこウロウロしてんじゃねぇ」
「いてっ」
傍に行くと、次元に頭を軽く小突かれた。
「ガキじゃないです!もう成人してる立派な大人です!」
「ハッ、どう見てもガキじゃねぇか」
なんかデジャブ!
昨日も子ども扱いされた気がする!
鼻で笑いながら、次元は短くなった煙草を片づけた。
そして、そのままどこかへ歩き出す。
どこに行くのかと疑問に思いながらその背中を見ていると、くるりと私の方へ振り向いた。
「ランドルんとこ行くんじゃねぇのか」
「え、あ、そうですけど」
ランドルの所、つまりマスターのやっているあのバーのことだ。
私の返事を聞いた次元は「ついでだ」とだけ言うと、また路地の奥へと身体を向ける。
…これは、一緒に行ってくれる、ってことだろうか…?
いつまで動かないでぽかんとしている私に気づいているのか、次元は背を向けたまま「行かねぇなら置いてくぞ」と歩き出してしまう。
「まっ、行きます行きます!一緒に行かせてください!」
そこまで言われてから、ようやく我に返った私は急いで次元の後を追いかけた。
お母さん、これは自惚れてもいいですか?
次元の横に追いつくと、少し恥ずかしくなったけど本当に嬉しくて、また顔がにやけてきた。
もう少しだけ、この時間が続いてくれればいいな…。