空色バレット
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昨日に下見も終わり次の日…つまりは今日はルパンも五ェ門も俺も自由に過ごしていた。
久々の日本だからだったか、五ェ門は嬉しそうにスキップしながら日本食屋を探して出て行ったな…珍しいもん見たぜ…。
俺はと言うと、日本にいる旧友…と呼んでいいのか分からん奴だが、そいつから「自分のやっている店にこないか」と誘われていた。
用心棒やら殺し屋、果ては泥棒の片棒を担いでいる俺だが、そんな中で日本に店を構える知り合いが出てくるとはな…世も末だ。
2日目 バーにて 次元サイド
寒くなってきた夕方。
俺は例の知り合いのやってるとかいうバーにやってきた。
店の扉には「Close」と店仕舞いを示す看板がかかっていた。
一応約束はしてんだ、入ったって構いやしねぇ。
そう思って俺は扉を開けた。
店内はそれなりに広く、ジャズが流れていた。
クラッシックじゃねぇのが残念だな。
「よぉ、久しぶりだな、ランドル」
「あぁ、よく来てくれたな、次元」
この男、ランドルは見た目こそ若いようだが、実際の年齢は俺でさえも分からねぇ。
ルパンと同じようにくえない男、と言ってもいい位のやつだ。
ランドルは俺にカウンターに座るように勧めながらも、酒の準備をし出した。
「ありゃなんだ、ランドル。店仕舞いの看板がかかってたぞ」
俺が親指でくいっと扉を指さすと、ランドルは
「あぁ、あれはお前が来るから一応な。顔が売れてるんだ、これ位はしといてやるさ」
と、恩着せがましく言ってきた。
まぁ、今日は静かに飲みたかったからありがたいがな。
「いやー今日はほんと嬉しいな。次元が本当に来てくれるとは」
「ハッ…どうだかな」
コイツは昔からのらりくらりとしてて、ほんとに読めないやつだった。
ランドルはバーボンを入れ、俺の前に出してきた。
「あー、そう言えば店にCloseの看板はかけたけど…もしかしたら1人入ってくるかもしれないな。悪い子じゃないんだけど…お前がいるのを知ったら発狂しそうだ」
「発狂って…」
ふとそんな事を話し始めたランドルは、苦笑いをしつつも目が本気だった。
俺もつられて笑っておいたが…。
その数分後、ランドルの予感が当たっちまった。
カランカラン。
店の鈴が音を鳴らし、ちらっと扉の方を見ると1人の女がいた。
昨日美術館にいた、あの変な女だ。
「あ、やっぱりきた」
ランドルが小さく呟いた。
お前が言ってた「悪い子じゃない」ってあの女のことかよ。
「マスターお久しぶりー。カシオレくーださい」
能天気そうな声を出すそいつ。
ランドルは平然と返事をしてカシオレを作っていた。
女は店内を見渡すと、こちらを見て驚いていた。
そう言えばランドルが、俺を見たら発狂する、とか言ってたな…。
まさか、と思って視線をそらすと、女はキラキラとした笑顔をしてすぐに俺の隣りに寄ってきた。
「あ、あの!次元大介さん…ですよね?!」
「・・・」
声を裏返しながらも俺のことを聞いてきたが、とりあえず黙っておくと女は小さくため息を吐いて俺の隣りに座ってきやがった。
なんで隣りに座るんだよ。
と言うか、コロコロ表情が変わるな、こいつ。
「はい、レイちゃん。カシオレだよ」
ランドルがそう言って女にカシスオレンジを出した。
レイって言うのか、こいつの名前は。
女は酒を1杯飲み干し、ランドルがすぐに2杯目を出した。
まさか毎回こんな感じなのか?
いや、それに適応するランドルもどうかと思うけどな。
女は2杯で酔い始めたのか、テーブルに身体を預けてへらへらしながら俺のファンだの色々言い始めた。
「おいランドル、こいつどうにかしろ」
「まぁ…“悪い子”じゃないから」
またそれか。
そんな会話をすると俺とランドルはため息をついた。
「次元さんもマスターも酷いぃ…。私はただ一緒に飲みたいだけなのにぃ…」
「俺は許可した覚えはねぇ」
別に女に返事をするつもりはなかったが、何故か返事をしてしまった。
女は喜んだりする様子はなかったが、なんか身体で隠して小さくガッツポーズをしていた。
ほんとに変な女だ。
いや、コロコロ表情が変わるし、子どもみたいなもんだな。
「そもそもここは子どもが来るところじゃねぇ」
思ったら口に出していた。
咄嗟にバーボンを口にして、女が聞いていないのを期待したが、そんな期待は外れ、女は「子どもじゃない」とキャンキャン叫び出す。
子どもじゃなく犬だったか。
暫く騒いだ後、女は落ち着いたのか3杯目の酒に手を伸ばしていた。
ランドル、お前涼しい顔して何勧めてんだ。
女は更に酔ったようで、半分寝たような口調で色々と話し始めた。
「じげんしゃんだいすき~えへ~」
「きのーびじゅちゅかんでみましたー!」
「へんそーしたじげんしゃんもかっくいー!!」
大分酒には弱いみてぇなだ。
「・・・。ランドル、ほんとにこの女どうにかしたらどうだ」
「んー?可愛いだろ?」
「いや、話を逸らすんじゃねぇよ」
呆れた様子で俺がそう女を指を指すととランドルは続けて「ジンと杏の子だからな、素直でいい子だろ?」とサラッと言ってきた。
俺は一瞬沈黙し、すぐにバーボンを飲み切る。
ジンと杏。
懐かしい名前だった。
随分昔、ルパン達と組む前のことになる。
確か…アメリカで初めてジンと会ったんだ。
俺が雇われ用心棒をしてた時に、少しヘマをして逃げ回ってた時だ。
『困ってるなら俺の家にくるか?』
ジンは随分なお人好しで、俺なんかを家に招いた。
家にはへらへらしたジンとは正反対とも言えるクールな女、杏がいた。
結婚したばかりだと言っていたが、元軍人と元スパイがどうやって出会ったんだが、今でも謎だ。
暫くは匿ってもらい、その後仕事の始末はつけて2人と別れたんだったな…。
たった数日の間だったが、所謂恩人みたいな2人だ。
あの後も、偶然にも何度か色んな国で2人に会ったこともある。
偶然ってのは恐ろしいもんだな…。
「この女があの2人のガキってのは…ほんとか?」
いつの間にか、隣りでだらしなくヨダレを垂らして眠っている女を見て俺がそう聞くと、ランドルは黙って頷いた。
まぁ…似てると言えば似てるな…。
新しく入れられたバーボンを飲み始め、俺は一息つく。
「偶然って凄いよな次元。あの2人の子どもがお前とも会うなんてな」
「…あぁ」
返事をしながらも俺は少なからず、この女に同情した。
何故なら、風の噂でジンと杏が死んでいる、と聞いていたからだ。
もちろん確かな情報じゃねぇ。
だが、それと同時に少し、この女に抱いていた不信感が消えていた。
ジンと杏のガキだからか、それともここまで警戒心もなく寝てるバカ面を見てるからか…。
そんなことを考えながら、俺はバーボンを飲み干した。
「今日はもう帰るぜ」
「なんだ、もう帰るのか?もう少し話をしていってもいいじゃないか」
「はっ!流石にこの状況で話せる程、俺も能天気じゃねぇよ」
俺は女の頭をつんつんと突きながら笑った。
「それもそうか」とランドルも笑っていやがった。
女…レイとやらは相変わらずヨダレを垂らして眠っていた。
「時間があればまた明日にでも来てやるよ」
「あぁ。まぁ、流石にその時は普通に開店しているだろうし、無理はするなよ」
「あぁ」
ついでに、と付け加え「この子は俺が家まで送っておくし、心配しなくていいよ」とランドルは言ってきたが、別に俺は女の心配は一切しちゃいねぇ。
俺はまた少し笑って、代金をカウンターに置きその場を後にした。
外に出ると空気が冷たく、俺は煙草に手を伸ばしアジトへと向かう。
明日、もしあの女が俺に会ったらどういう反応をするのか、少し楽しみだ。
____
あとがき
100%妄想です。
段々と容赦のなくなる次元書きたいので後悔ばかりしてます←
ヒロインちゃんも壊れとりますな。キャラ安定しなくて私が困る←