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十二番隊隊長兼技術開発局局長涅マユリ
name change
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【記念日】
涅の体から名無しの背中にぱたりと汗が落ちる。
「……っ……ん」
「……はっ……名無し、快いネ……っ」
後ろから覆いかぶさるように名無しを抱く涅は先程から自身を彼女の中に入れたままだ。名無しは膝をつき、四つん這いの状態を崩さぬよう涅から言われたが、気持ちが良くて力が入らず腕から崩れ落ちてしまっていた。結果的に尻が持ち上がり、まるで誘うような形になっているのを彼女は知らない。
「んんっ……ぁ」
「名無し……汗をかいているネ」
涅の柔い唇が首筋に当てられ、吐息がかかる。やんわりとした刺激が心地良い。名無しは幸福感でいっぱいだった。しかし、少しずつ官能の波が体の奥から押し寄せてくるのが分かり、大きく声が漏れそうになるのを堪えていた。布団に顔を擦り付け快感を逃がそうとしている。清潔な匂いのする宿のシーツをぎゅっと握りしめるが、手には力が入らなかった。握ろうとすればするほど、指先までもが気持ち良く、膣は涅のものをきゅうきゅう締め付けていた。
快楽を受け流そうとシーツを握りしめる名無しの手を見て、涅は彼女の名を呼んだ。
「名無し、」
名無しの手を涅が上からそっと握った。触られたところが甘く痺れるような感じがし、名無しはぎゅっと目を瞑る。
「我慢することは無いヨ」
「……ん…っ」
耳の後ろで涅が囁く。名無しはなんとか甘い疼きに耐えていたが、ぞわりと鼓膜が刺激され、脳から胸を通り足の先まで全身にびりりと電流が流れた気がした。
涅がべろりと首から耳を舐め上げ、耳朶を唇でなぞる。名無しは与えられる快楽の波に少しずつ引き摺り込まれていた。
「あっ……んっはっあ……」
「アァ、名無し、快い声だネ」
涅の腰がゆるりと動きいよいよ確実な快楽を貰える、と名無しの脳は期待感で満たされた。
「隊長、」
名無しは後ろから自身を突き立てている涅を呼ぶ。いつもは頭が甘く痺れるようなあの独特な声ですぐ返事をする涅だが、この日は返事がなかった。
返事がないことに加えて、ぴくりとわずかに涅の指先が動くのを名無しは察知した。涅は名無しの手を離し、彼女の髪の毛をそっと耳にかけた。
「……名無し、悪いが一度離れるヨ」
「……ぅぇ?……っん、はあんっ」
涅が突然ずるりと自身を引き抜いた。膣口を鎌首が通り、突然の大きすぎる快感と喪失感に名無しはなんだか涙が出そうになる。涅は名無しの身体を反転し、布団へと組み敷いた。
「名無し」
「ん、……っ」
シーツに仰向けになる名無しの顔の右側に手をついた涅が、反対の手で彼女の髪を梳く。美しい黄金色の瞳と視線が交差した。
「やはり君の顔を見ている方が面白いネ」
宿の間接照明は和紙でできていて、暖かみのある灯りが涅の横顔を照らしていた。柔らかな表情は局で見せるものとは違っていて、思わず名無しは手を伸ばし、涅の頬を撫でた。
「隊長……好きですー…あーかっこいい……」
「ホウ、随分と余裕がありそうじゃないか。」
名無しが再び涅を呼んだ。
「隊長……」
「……フン。隊長隊長と、休暇だというのに敬称呼びかネ?」
涅はそう言って名無しの唇を親指で撫でた。
名無しが“隊長”と呼ぶのには理由がある。涅は名無しの直属の長であるから当然のことだ。それは涅ももちろん承知していた。よって技術開発局や十二番隊隊舎などでそのように呼ばれても彼女を一度も咎めたことはなかった。
しかし、涅はそれを以前から気にしていた。交際を涅自らが申し出た際、彼が最も重じていたのは彼女の言葉だった。身体反応はもちろん調査済みだったが、気持ちまでは計り知れないため名無しからの直接の言葉を大切にしていたのである。このことは交際を始めてからももちろん変わらない。
涅は名無しから“隊長”と呼ばれる度に、どこか余所余所しく、埋められない一定の距離があると感じていた。
「止め給え。」
「……?」
「プライベートで“隊長”と呼んだら次は新薬の被験体にするヨ。」
理由の説明も無しに条件文で指示をされたと思った名無しはもちろん反発する。
「えっそれは困ります!」
「何が」
そう言って涅は名無しの唇から首へと手を滑らせ、鎖骨へひとつ口付けた。
本当ならば早く名無しを愛したい。困った顔をして涙目で見上げる名無しを見ると、彼女の無意識の甘い誘惑に流されてしまいそうになる。
しかし今日はいつものように敬称で呼ぶことを許してしまう己を律し些か乱暴な条件を出した。無論試してみたい新薬は山ほどあるがそれは名無しに投与する必要のないものばかりだ。
涅は名無しの鎖骨をちゅうと柔く吸った。口づけが少しずつ首元から胸、そして腹部へと下っていったが肝心な部分は避ける。
実質名無しには涅を名で呼ぶことしか選択肢としては残されていない。それ故早く彼女に観念して欲しいと願いながら、焦らすように愛撫をしていった。
名無しはというと、上司への敬称呼びを禁止されたら困るということ、それができなければ実験体にならざるを得ないということの2点について咄嗟に拒否をする。
「ん……どっちもですよ……!どっちも困ります!」
「では被験体になるしか道は残されてはいないネ。私としては早くひとつになり君を愛したくて仕方がなかったのだが、今日は新薬を投与して様子を見ることとしようかネ。」
そう言いながら涅は名無しの脈をとろうと手首に指を当て始めた。トクトクと血液が押し出されるのが感じられた。被験体のヘルスチェックは実験において基本中の基本だ。本当に薬を投与するわけではないためあくまでもポーズであるが。
実験前の脈拍数のチェックが始まり焦った名無しは、早々に観念した。
「ま、待ってください!言いますから……あの、隊長を隊長以外で呼んだことがないのでとにかく恥ずかしいんです……うう」
手首を振り解きながら名無しは覆いかぶさる涅の身体からすり抜けた。ふかふかな布団の上に正座をし、一矢纏わぬ白い肌に足元へ畳んであった掛け布団を纏った。涅も身を起こした。
名無しは涅の方へと身を寄せ互いの体を布団で包んだ。そして男の首へ腕を絡め顔を埋めた。涅は擦り寄る名無しの柔らかな体を正面から抱き、熱を帯びた掌を背中へ滑らせた。
暖色の灯りは涅の表情までをも照らしているため名無しは顔を隠すように男に抱きついていた。
ここまで来て涅のリクエストに答えないわけにもいかない名無しは動悸に震えながら名を呼ぶ。
「マユリさん、……」
しん、と静かな畳の部屋で布ずれの微かな音と名無しの声だけが涅の耳に流れ込んだ。
涅は息を飲み、どきりと高鳴る心臓の鼓動を感じながら必死で平静を装った。
「……フム、合格だネ、口答えせず初めから言っていればよかったんだヨ」
名無しは涅の名を呼んだ途端、身体が熱くなるのを感じ、目をぎゅっと瞑った。涅もまた名無しと同じように体温の上昇を感じていた。
「名無し、今日は記念すべき日だヨ」
涅にぐいと体を持ち上げられあぐらの上にそっと下された名無しは羞恥に頬を染めている。
「……こちらを向き給え。」
彼女の視線が自分へと向けられるのを確認した涅は、彼女の唇をやさしく塞ぎ、何度も口付ける。涅が薄らと目を開けると、必死に口づけに応える名無しのまつ毛が震えるのが見えた。涅は半開きになった彼女の赤い唇の中へ自身の舌を挿入する。彼女の体温を感じると、理性が脳の奥深くに遠のき、やがて涅自身では引き出せないところまで仕舞われた。
「名無し、アァ」
熱に浮かされたかのように何度も名を呼ぶ涅の声が、名無しの理性を解きほぐす。
「あっ…ま、……ん、好き、好きです」
涅の甘い舌が名無しのそれに絡みつき、名無しは口付けに夢中になっていった。
「名無し、此処を見給え」
涅が名無しの胸のラインをすっと指でなぞり、掌で少し冷たい乳房を包む。淡いオレンジ色の灯りが涅の艶かしい動きを照らし出し名無しは思わず自分の手の甲で口を塞いだ。ツンと尖った先端に涅が親指を近づける。名無しは見ているだけで卒倒しそうだった。
「……っ」
「何度も言わせるんじゃないヨ。我慢することは無い。」
淫らな光景に目背けた名無しだったが、同時に早く触れて欲しいという思いがじわりじわりと彼女を追い詰め、瞳は涙で潤んでいた。先程から所謂“お預け”状態で散々の焦らしを受けているため、名無しの脳は甘く疼いて仕方がなかった。浅くなった呼吸と上気した頬はひどく情欲的に涅を誘う。
【プライベートにおける“隊長”呼びの禁止と名前呼びの遂行】が果たされた今、涅が名無しを抱くのを躊躇する理由は皆無だ。
「実に可愛らしいヨ、名無し」
「んあっあっ……ん、ん」
彼女の双丘の頂を、涅がくりくりと転がし、名無しは与えられる甘美な刺激に声が漏れ出てしまう。白く細い指は快楽を与え続け、次第に名無しの体からは力が抜けていった。
それを確認した涅が突如名無しの身体を持ち上げ、ストンと自身の脚の間に下ろすと彼女のすでに濡れ濡っている恥部を愛おしそうに掌で撫でた。
「今度は途中で止められることがないと良いんだがネ……」
涅は陰核に愛液を塗りながら、声が届いているかどうか怪しい名無しの耳に唇を寄せた。
「名無し、愛しているヨ」
「んっ……ぁあっ」
ずぶりと涅の性器が挿入され、悲鳴にも似た高い声がひとつ部屋に響いた。名無しの恥部は長いこと焦らされたおかげで敏感になっていたようだ。
涅は名無しの首筋に柔く口づけを落としながら、自身をきゅうきゅうと締め付ける熱く柔らかい肉感に酔いしれている。
時折溢れる吐息が、涅の余裕のなさを伺わせた。
いつも何事にも動じない涅をここまで追い詰めているという事実と、周囲から無慈悲な変態科学者と言われている男から与えられているものとは思えぬほど甘美で柔らかい刺激とが名無しの理性を陥落させた。
いつの間にやら取り出し装着されていたふたつ目の避妊具の殻を視界の端に入れながらも、殻が見えているだけでそれ以上のことを考える思考は名無しに残されていないようだ。
涅の腰がゆるゆると前後に動き、名無しは幾度となく繰り返される甘い刺激に恐怖を感じるほどだった。
「あ、変に、っああ」
「心配無用だヨ、ン…ハァ……名無し、っ気持ちが良いネ」
「や…ん、んんん!」
涅は名無しを揺さぶりながら唇を塞いだ。膣の中で涅の性器が硬度を増し、名無しはあまりの快楽に涙を流した。
「ま……マユ…さん」
「!」
「……すき……っん」
「っ名無し……困ったことだヨ」
涅が名無しの身体を先程より少し湿気を含んだ布団へ再び倒した。彼女の鼻にかかる甘い声が涅を快楽の沼へと引き摺り込む。
「これでは…」
「んっ…」
名無しは目を閉じ涅の首の後ろへ腕を回すと口付けを強請った。眉間にシワを寄せた涅の髪からぽたりと汗が落ち、名無しの唇へ噛み付くようにキスをした。
「名無し、あまり持ちそうに無い…っン」
涅は名無しの手を絡めとり、彼女の瞳をじっと見つめながら呟いた。
「ん…あ、あ、ぁっ」
「名無し、名無しっ……」
「んんっあ、も、きもちいっあん」
「ハァ……まったくっ…ン、調子が狂うネ…ハァ」
名無しは涅の首の後ろへ腕を回し、涅は名無しの表情を堪能していた。ぎゅうぎゅうと生き物のようにうねる膣内は涅を追い詰め、早々に吐精へと誘った。
「ン……アァ、名無し、可愛らしいヨ」
「あぁっあ、あ、んっマユリさ…んあぁっ」
「ハァ…ハァッ……ン、!」
名無しが名を呼んだ途端、びゅるりと避妊具の中に精が解き放たれ、中で広がる精液の感覚を感じながら名無しもまた絶頂を迎えた。パクパクと開閉を繰り返す膣の動きを感じながら涅がひとつ息を吐いた。
「ハァ……」
「あ……マユリさ……すきれす、ん」
舌足らずな言葉を遮るように涅が口づけをし、名無しは重くなる目蓋に抗おうとせずそっと意識を手放した。
「……名無し」
涅が名無しの頬を手の甲で撫で、彼女の額に口づけを落とした。
瞳を閉じた彼女の顔の凹凸をまじまじと見つめていると、涅の心臓にきゅっと再び電流が流れ、我にかえった彼は
「……少し頭を冷やしてくるとしようかネ……」
そう呟いて部屋の外へ備え付けられている露天風呂へ向かった。
「……暫し休み給え、
起きたら身体を洗ってやるヨ」
Fin.