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不変と微笑

朝日に鳴く鳥の声に、ぼんやりと意識が浮上する。ああ......朝か。早く起きて、アイツの飯、準備しねえと......。
虚ろな頭の中でそう思うものの、なかなか体は動いてくれない。ったく、冬の朝は怠くていけねえ。最近なんか、俺よりアイツの方が起きるのが早いくらいだ。普段の朝は遅いくせに、早く起きれば俺を叩き起してさっさと飯を作れと言う。亭主関白め。俺はお前の奥さんか! ......いや、まあ、似たようなモンだけども。
ああ、もう、寝っ転がったままこんな事ぼんやり考えるから二度寝とかするはめになるんだよ。アイツに起こされる前に飯の準備しよ......。
「って......あれ、しんす、け?」
いつも隣で寝ている恋人の姿がない。通りで肌寒いと思った。一人で寝るのってこんなに寒かったか? 慣れってやつァ怖いねぇ。
「というかこの部屋、もしかして、」
きょろきょろと周囲を見回していると、ガラガラと戸が開く音がした。人の気配だ。それは大きな足音を立ててこちらに向かってきたと思えば、この部屋の襖を思い切り開いた。

「銀さん! 起きてください! 今日は朝早くから依頼入ってんですから、早く準備しないと遅刻ですよ!」
「......新八?」
懐かしい子供の姿に混乱する。えっ、なんでここにいんの? つーか、何で背ぇ縮んでんだ......いや、縮んでるっていうか、若返ってる?
一言も言葉を発しない俺を、怪訝な表情で新八(仮)が見つめてくる。それを俺も見つめ返すが、見れば見るほど自分の知る新八との相違点が現れる。今俺の目の前にいる新八(仮)は、この間会ったばかりの姿から大体五、六年は前の背格好だ。声もまだ高い。そもそも、万事屋はもう随分前に解散している。それが、なんで......。
「銀さん? どうしたんですか?」
「いやいやいや、それはこっちのセリフだかんね。お前どうしちゃったの? つーか俺はなんで万事屋の部屋にいるの?」
「何言ってるんですかアンタ。もしかして昨日お酒飲んだんじゃないでしょうね? 二日酔いとか勘弁してくださいよ、もう」
「えぇー、ほんとにどうなってんの......。......、......あ。」

ちょっと待てよ、酒? 確かに昨日の夜、源外の爺さんから貰った何とかっつう酒を、晋助と一緒に飲んでいた......気がする。この一連の流れの中にこの不可解な現象の原因があるとすれば、間違いなくあのジジイが持ち込んだ酒だ。何か仕込みやがったな、あのクソジジイ......!
「あとでキャベ〇ン持ってきてあげますから、とりあえず起きてくださいよ! 僕は神楽ちゃんを起こしてきますから」
そう言うと新八(仮)は部屋から出ていってしまった。これまた懐かしい名前を口にして。
「神楽......、神楽もいんのか。となるとこれぁジジイお得意のあの発明ってとこか......。」
面倒臭ぇことしやがる、と呟いて小さく舌打ちが思わず出る。ほんとにあのジジイはろくなことしねえ。

「憂いていても仕方ないし、さっさと着替えて状況整理だな。......あいつらと」
のそりと布団から這い出て、近くにあった着流しを身につけた。さて、これからどうするか......。
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