「ーーーー……」


頬に触れたまま







『…言いたかったのはね、』













ーーー…悟浄は










『大事なものはぜったいに傷つけないでしょ。



だから心配してないよ。』



「」

















大事、



























(ーーーー…あァそうか、)




“見てる”なんて関係はもう









長いこと、余りにも“当たり前”で。

















「…そォね。」



多分







俺の顔もだいぶ綻んだんだと思う。





長良はそれを見て、
やっとわかったかよ、というような
力の抜けた笑顔を見せた。










“掴んでいた手”を解き、長良が体を起こそうとしたところで、











…あ　やっぱちょとタンマ。









「〜のチャンス逃すかっての！！」


『ぅあ！？』








こちょこちょこちょ！！！！！！




！？


『っぅおあははははなにちょ、をぉあははははやめてえーー！』



おわり！おわりおわりぃいいいっひひ無理い！！













ーーーー…


動けなくなるまでひとしきりくすぐられ、



長良は悟浄のベッドに突っ伏している。



そこへ素知らぬ顔で2本目のアイスをくわえた悟浄がドスリと腰掛ける。勝手にゲーム再開。





ピコピコピコ



『…わたしゲームをしていただけなのに…』



「そーそー、コントローラーの使い方なー。


アレいっぺん立場逆転さして体感してもらおーと思ってたのよ。


相手の気持ち分かりましたかネ。」


『もォくすぐられてないのに
ずっと両脇ぎゅぅとしてます…

すみませんでしただいじに使います…』


「てゆーかまずトレーニングモードやれって。」


『アッそこ！クリアしたかったトコ代わって！』


「ヒトのハナシきーてます？？」






モゾモゾと片手で脇を隠しながら(まだ怖い)、
もう片方の手をコントローラーへと伸ばそうとする長良。



その手を素早く見て








…跡ンなんなくてほんッと良かった…


「…ワリ。」


『へぇ？』


「まだ痛い？」


『、』






長良はきょとんとした顔で。
あぁ、とその手をひらひらさせる。



『…んー、悟浄さ』


「？へェ。」


『…なに食べてるの』


「…パルム(二本目)。」


『だよねえ？いいなあ私も食べたいなあ。』


にー、と笑う。

オーイ、そぉいうトコだって。









「…」


ま、


今更抗いようもねーんだけども。








「ハイハイハイ…オレ来るまで一旦セーブな。」


『お願いします〜抹茶のほうで！』













…デデーン(堕)


「おまっ！？オイ待て待てなんで始めた？！んで負けた！？」


慌てて冷蔵庫の扉を閉めて戻る。
無茶苦茶不機嫌な顔の長良が「GAME OVER」の画面を睨んでいた。



『これ不可能よもう』


「だァから待ってろっつーのに…攻略あんのよそこ」


『ごめんねぇ…あ悟浄。3本目じゃんそれ』


「いーーーの俺は。鍛えてっから。」



ほい。




パルムと引き換えに、素直にコントローラーを差し出す長良。

手前のシーンからテンポよくクリアされていくのを、すぐ横で、アイスを頬張りながらじっくり観察している。





多分オイシイとこはまた長良がやりたがって、負けるか運よくクリアするかするんだろう。どっちでもいーんだけど。



アイス食いながらこいつが










『…ふふ…』




楽しそォに見てんならそれで。












(完)