名前変更のない場合、主人公名は長良(ながれ)になります。
風上へ
長良
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心地よい風。
それに合わせて煌めく美しい庭園を
ふたりはぼんやりと、縁側から眺めていた。
いやーーー………。
「飛ぶというか もう…
…
長良さん アレは、」
『ね。なんだか』
紙飛行機は勢いよく長良の手を離れ、
着地どころか
減速すら見せずに突風の中を切り進んで
まるで、
『…流れ星みたいでしたね。』
「、」
ーーーーー…彼方へ消えてしまった。
あの様子じゃきっと今も何処かを穏やかに旅してる。
そう思ったら
なんだか可笑しくて。
…ちなみに八戒の放ったものは、
大きく空を舞ったものの、途中で強風に煽られ、
やがて、
ーーーー…枯山水のある方角へ落ちた。
「…あ。」
『あ…
あそこ、名所の枯山水があるんですよ…!』
拾いに行きますか?と尋ねたら
表情が強張って
「…足のサイズを確認されたら、逃げきれないので…」
とよく分からないことを、真顔で言うものだから。
後のことは長良にも分からない。
「…流れ星ですか。」
『?』
…叶いました?
“出来るようになりたかった事”。
『…はい、
得意分野になりました。』
そう言えたことが嬉しくて、
長良は笑った。
八戒の“みぞおち”は、
もう、痛まなかった。
ーーーーー…長良。
『!!!おばあ…様』
最高僧と、数人の男性が入ってくる。
たぶん彼らが、
話に聞いていた“三蔵御一行”。
「あ〜〜八戒ここにいたあ!!!
トイレ長えなーって心配してたんだかんなー!!」
先ず長良と同じ年くらいの青年が、叫ぶ。
続けて、紅い長髪の男性もニヤリと
「俺より先に手ェだしてんじゃねーーーよ八戒!!って…
どんだけ紙ヒコーキ折ってんの!!(笑)」
と嬉しそうに煽った。
“八戒”。
そう呼ばれた彼は、相変わらずにこやかに。
「すみません、ジープを探して迷子になっちゃいまして…ここで休ませていただいてました。
…お話は、無事に?」
「恙無(つつがな)くな。
お前ら2人を引き取ったら直ぐに出発だ。
ーーー…長良、だな。」
眩しいほどの金髪に法衣姿の男が
スイと屈み、
“玄奘三蔵”と名乗った。
「我々は本日付で、お前を水鏡殿(すいきょうでん)まで移送する任務を仕った。
なにも案ずるな、とは言わん。
手荒な環境に身を置くことも茶飯事になる。が…
任務遂行の為、常に最善を尽くすと約束する。
ま…、
死なねえ程度に着いてこい。」