名前変更のない場合、主人公名は長良(ながれ)になります。
理解
長良
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「確たる証拠は無い。思い過ごしかもしれん。が、
こちらが調べ出す前に姿を眩まされた以上、長良の力を狙い、早々に手を打ったと思わざるを得ん。」
「ッだけどイキナリすぎんじゃん!!誰かに攫われたとか…!!」
「あの最高僧が手がかりの1つも残さず攫われるとは思えねえんだよ。
そもそも攫われたとして…争った形跡はおろか、寺そのものが消滅する理由は何だ。」
「…ッ」
八戒が長良に目をやると、
三蔵の言葉を整理しているのか
時々パチ、パチと目を細めながら一点を見つめ、考えを巡らせていて。やがて
『…根拠…』
ぽろりと、そう言葉を漏らした。
…は…
『…あの方は』
「」
『…わたしのチカラを
確かに“アイシテ”いらっしゃった。』
まるで恋しているかのように龍神の話を聞かせてくれた。
自分が知る以外の能力を興味本位に探ることは、決して許さなかった。
時にぞっとする程のあれを
執着と言っていいのであれば。
『…わたしを、取り戻そうと…?』
「…
いずれにせよその疑いが晴れない限り、お前を1人には出来ん。
甘えろと言っておいて早々に悪いが、今夜からしばらくは我々と同室で過ごしてもらう。
今すぐ荷物を纏めて移れるか。」
『…お願いします。』
その了承を聞いて
三蔵はくるりと向きを変え、自室へ戻る。あまりに淡々としたやり取りに、悟空は納得できない様子で後を追った。
長良は
よ、っとベッドから立ち上がり、少ない荷物をまとめ、肩にかける。
抵抗なく従うその仕草を、傍で悟浄が不満げに眺めていたが
彼女がドアを抜ける直前に。
「ちょーーっと待った。」
『!』
肩をくいっとひく。
後ろにのけぞる長良の額に、
その大きな手のひらで、何かを当てがった。
『っわ"、』
「ーー…肩で息してっから、サ。」
『…??』
長良の額にピッタリと、冷感シートが貼られていて。
気づかなかった。
そういえばさっきから明らかに体温が上がっている気が…
(…動揺、してたのか。)
「…」
悟浄はひょいと長良の荷物を自分の肩へ貰う。
『…!』
「、もちょっと素直になんねぇと。カラダ、だいぶしんどそーよ。」
『』
…それは不意打ちで。
“素直になる”。
…いま?必要あった…?
だって
三蔵さんの言う通りだと思うもの。
あの方がわたしを、
わたしを手に入れようと、していたとしても。
…理解できてしまうのに。
「長良さん、」
『』
あ
「…
辛い、で大丈夫なんですよ。今。」
八戒がぽんと、頭に手を置いた瞬間、
(…重た、い 。)
ぼろっと涙がこぼれた。
なぜ、
悟浄さんの言葉が、こんなに腹立だしいのか。
なぜ、
八戒さんの優しさを、こんなに申し訳なく思うのか。
なぜ、
(…そんな自分の気持ちは理解できないのか。)
『…歩いてい"い"ですか。』
ーーーー…今の長良に言えるのは、これが精一杯で。
悟浄・八戒を両脇に
思い出せないくらい久しぶりに、長良は嗚咽を漏らしながら廊下を歩いた。