名前変更のない場合、主人公名は長良(ながれ)になります。
雨
長良
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勿論、安全面において心配が無かったわけじゃない。
守る点でも、
…“止める”点でも。
ーーー…彼女は最高僧によって、
無自覚に“憑依術”を身につけてしまっている。
それは一見戦力のようで、
…見方によって“どの様にも”利用でき、
ーーーーーー“利用されてしまう”。
今回は別室の条件としてジープが付き添うこと、
原則外を出歩かないこと を提示し
長良はかえって申し訳なさそうにそれを承諾した。
「…ソレ、長良に持ってくの?」
お盆に移された1人分の湯呑みを見ながら悟空が尋ねる。
「…緑縁寺を出発してから数時間
憑依術を維持したまま、ずっと僕らを先導してくれましたからね…」
ーーーー…あれから、街に到着したのは日暮れ時、
雨の降り出したタイミングだった。
紙飛行機は小雨にギリギリ耐え、人目のつかない外壁の角へ入り込んだ。
しばらく経つと、
そこから壁づたいに、ひょっこりと長良が姿を現した。
車内からずっと心配の声を漏らしていた悟空
ジープから降りるなり、すぐに全速力で長良のもとへとダッシュする。
『…ぉ、ゎ』
「っぶね!!」
よた、と長良がバランスを崩したところ、
ギリギリで悟空がキャッチ。
『ぁぁぁごめん…!』
「いーって!!歩けなくね!?抱えよっか!?」
『いや歩きたい!あ、ありがとうね…!』
ーーー…ひとまず肩組みで、合流。
(悟空、)
なんか…すげぇ兄貴みがあるんだが…?
感心する他3名
妹が出来たような感覚なんだろうか。
「ごめんな!休憩とか考えたんだけど…
長良の紙ヒコーキすっげ遠かったから…!
てか、あーいうときって声かけて届くもんなの??」
八戒は
あえて今回、目で追えるギリギリの距離まで紙飛行機と距離をとって走行した。
情報の共有や最高僧の件など、彼女にとって憚(はばか)られるような会話が車内で出そうな気がしたのと、
…万一、
途中で長良の術が解け、車の前に着地してしまう場合に備えてのことだった。
『ーーーー…ええと、声は
憑依してるモノが、音を感知しない場合は届かない、のかも…。思えば全く聴覚を感じませんでした。
…というか!!すみません!わたしの方こそすごい集中してしまって』
「いえ、こちらは心配ないですよ。
でも長良さんは、一先ず休んだ方が良いですね…
まさか憑依ができるとは、僕ら全然知らなくて
…初めての実践、でしたよね。
体調は…?」
『っむしろ とても』
「?」
ーーーーーー…楽しかったと、いうか、
『…自由な感じで…』
どうしよう、の顔のまま、
噛み締めているような、
楽しかった!のような…
…何とも言えぬ“良い表情”をするので。
…(こういう顔、するんだ。)
面食らってしまう。
意外と長良、
実践に関しては、悟空タイプなのかも知れない。
「…術の発動後、意識を保っていたのか」
三蔵が問う。
『…半分、てところですね、
ほぼ夢を見てる時に近いというか…
こうしたい!こうだなあ…みたいな
“感情”は、むしろ湧きやすかったです
あとは…そうだな、回数を重ねれば…もっ、
と、
…ぁ、れ…
…っ…??』
「キたな。悟空、おぶってやんな。」
悟浄の冷静な指示とほぼ同時、長良の膝が、ぐらりと力を失う。
崩れ落ちる前に、悟空がひょいと背中でキャッチした。
「ごめんな…!宿まで運ばせてな!」
『…み、ませ…』
「こいつ力有り余ってっから。気にせず寝てダイジョブよ
よォくできました。」
『…は…、』
悟浄の“にっ。”に、
長良も少しでも笑顔を返そうとして、
そのまま力尽き
ーー…夕食時まで目を覚まさなかった。