【とうらぶ】短編小説
○男審神者が出張るので注意
○一期は三日月の傍じゃないと安心して休めないんだよ的なネタになるはずだった何か
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「一期、働きすぎだ。休め」
「え…」
審神者の気遣いの言葉に対して、一期が漏らした言葉は何故か絶望に満ちていた。最近出陣続きの彼を気遣ったはずだというのに、意外な反応を返された審神者もまた驚くしかなかった。
「え、じゃなくてだな…。休め。えーと…そう、主命だ」
長谷部ならこの言葉で渋々従ってくれたのだろうが、審神者の目の前にいる刀は長谷部でなく一期である。眉をキリッと吊り上げて一期は「大丈夫です」と審神者の主命を跳ねのけた。
言うことを聞かない刀に審神者は弟たちが心配してるからと告げると、今度は弟たちを盾に使うとは!と激昂されてしまう。
何をそんなに頑なになっているんだと審神者は痛む頭を押さえこむしかなかった。
「…主殿が探している三日月殿をこの間演練の場で拝見しまして…」
この本丸には三日月宗近だけがいない。だからこそ審神者はまだ見ぬ彼を求めて厚樫山や京都へ刀を派遣することが多い。太刀である一期は厚樫山へと向かう部隊に所属していた。
そして一期の所属する部隊は演練へ足を運ぶことも多い。その場に偶然にも、所有している人間が少ないという三日月宗近の姿があった。その場に居た審神者たちは、その三日月の姿に思わず見惚れていたものである。
「…そうだったな。それで?」
「彼と話してみたいと思いまして…出来れば私が見つけて差し上げたい」
一期の言葉と眼差しには情熱が灯っており、審神者は一目惚れしたのか…と遠い目をした。神なのだから性別云々言うのは野暮というものだろうが、しかし、疲労状態で出撃はさせられないと反抗する一期を説得するのに苦労したものだった。
…しかし、今の一期はどうだろうか。
頑なに休まなかった以前の姿が嘘のようだ。
その日も働きすぎの一期に休息を言い渡そうと審神者が彼の部屋へ行くと、そこにはすでに先客が居た。
黄金の房を鳴らしながらその刀が審神者の方へ振り向くと、不揃いの揉み上げが静かに揺れる。
「…主か。一期に何か用だろうか?」
声を潜めて微笑む三日月の姿を認めた審神者は頭をかいた。
厚樫山で一期が見つけて来た三日月は、まるで刷り込みのように一期に頼り、一期もまた一目惚れしていた相手に頼られ、とても張り切って三日月の世話係りを買って出た。それからというもの、この二振りはよく一緒にいる。
今日も三日月は一期の部屋に居る。その膝に一期が頭を乗せて横になっていた。
「…寝ているのか…?」
「ようやく寝てくれた。だから今日は一期に休息をくれてやってくれ」
「それを言いに来たから問題はないが、」
あんなに休息嫌がっていたというのに、こんなにあっさりと休んでいる一期の姿を初めて見た。それを三日月に言うと、三日月は目を丸くしてそれから頬を染めて微笑んだ。
「俺の傍ならば休めると…」
三日月は小さい声でそれだけ言うと長い裾で顔を隠してしまう。その初初しい反応に思わず審神者まで顔を赤くして、「お、おめでとう…?」と祝いの言葉をいうことしか出来なかった。
一期の部屋からの自室へと戻りながら審神者はぼんやりと考えた。…三日月の傍の方が落ち着くなら部屋を同じにしてやるべきだろうか、と。
(しかし、あいつらいつの間にくっついたんだ…)
子供が親離れしたような複雑な気分になる審神者だった。
*
「…主は行ってしまったが…良かったのか」
三日月の言葉に一期が静かに目を開いた。覗きこむ三日月の頬に手を伸ばすとスルリと撫ぜた。
「休息を言い渡されるだけですからね。長居されては三日月との時間が好くなってくなってしまう。…ただでさえ私の妻はよく他人に好かれますから」
「俺にはお前様だけだと何度言えば…」
口を尖らせて拗ねて見せる三日月の唇に指を押し付け、一期は目を細めて笑う。
「存じあげておりますとも」
○一期は三日月の傍じゃないと安心して休めないんだよ的なネタになるはずだった何か
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「一期、働きすぎだ。休め」
「え…」
審神者の気遣いの言葉に対して、一期が漏らした言葉は何故か絶望に満ちていた。最近出陣続きの彼を気遣ったはずだというのに、意外な反応を返された審神者もまた驚くしかなかった。
「え、じゃなくてだな…。休め。えーと…そう、主命だ」
長谷部ならこの言葉で渋々従ってくれたのだろうが、審神者の目の前にいる刀は長谷部でなく一期である。眉をキリッと吊り上げて一期は「大丈夫です」と審神者の主命を跳ねのけた。
言うことを聞かない刀に審神者は弟たちが心配してるからと告げると、今度は弟たちを盾に使うとは!と激昂されてしまう。
何をそんなに頑なになっているんだと審神者は痛む頭を押さえこむしかなかった。
「…主殿が探している三日月殿をこの間演練の場で拝見しまして…」
この本丸には三日月宗近だけがいない。だからこそ審神者はまだ見ぬ彼を求めて厚樫山や京都へ刀を派遣することが多い。太刀である一期は厚樫山へと向かう部隊に所属していた。
そして一期の所属する部隊は演練へ足を運ぶことも多い。その場に偶然にも、所有している人間が少ないという三日月宗近の姿があった。その場に居た審神者たちは、その三日月の姿に思わず見惚れていたものである。
「…そうだったな。それで?」
「彼と話してみたいと思いまして…出来れば私が見つけて差し上げたい」
一期の言葉と眼差しには情熱が灯っており、審神者は一目惚れしたのか…と遠い目をした。神なのだから性別云々言うのは野暮というものだろうが、しかし、疲労状態で出撃はさせられないと反抗する一期を説得するのに苦労したものだった。
…しかし、今の一期はどうだろうか。
頑なに休まなかった以前の姿が嘘のようだ。
その日も働きすぎの一期に休息を言い渡そうと審神者が彼の部屋へ行くと、そこにはすでに先客が居た。
黄金の房を鳴らしながらその刀が審神者の方へ振り向くと、不揃いの揉み上げが静かに揺れる。
「…主か。一期に何か用だろうか?」
声を潜めて微笑む三日月の姿を認めた審神者は頭をかいた。
厚樫山で一期が見つけて来た三日月は、まるで刷り込みのように一期に頼り、一期もまた一目惚れしていた相手に頼られ、とても張り切って三日月の世話係りを買って出た。それからというもの、この二振りはよく一緒にいる。
今日も三日月は一期の部屋に居る。その膝に一期が頭を乗せて横になっていた。
「…寝ているのか…?」
「ようやく寝てくれた。だから今日は一期に休息をくれてやってくれ」
「それを言いに来たから問題はないが、」
あんなに休息嫌がっていたというのに、こんなにあっさりと休んでいる一期の姿を初めて見た。それを三日月に言うと、三日月は目を丸くしてそれから頬を染めて微笑んだ。
「俺の傍ならば休めると…」
三日月は小さい声でそれだけ言うと長い裾で顔を隠してしまう。その初初しい反応に思わず審神者まで顔を赤くして、「お、おめでとう…?」と祝いの言葉をいうことしか出来なかった。
一期の部屋からの自室へと戻りながら審神者はぼんやりと考えた。…三日月の傍の方が落ち着くなら部屋を同じにしてやるべきだろうか、と。
(しかし、あいつらいつの間にくっついたんだ…)
子供が親離れしたような複雑な気分になる審神者だった。
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「…主は行ってしまったが…良かったのか」
三日月の言葉に一期が静かに目を開いた。覗きこむ三日月の頬に手を伸ばすとスルリと撫ぜた。
「休息を言い渡されるだけですからね。長居されては三日月との時間が好くなってくなってしまう。…ただでさえ私の妻はよく他人に好かれますから」
「俺にはお前様だけだと何度言えば…」
口を尖らせて拗ねて見せる三日月の唇に指を押し付け、一期は目を細めて笑う。
「存じあげておりますとも」
