【とうらぶ】短編小説
○くっついてるいちみか
○三日月が来てから初めての雪
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一期寒い、とひっついて来た三日月に一期は体を蝕む寒さを実感して深い眠りから覚醒した。一期の布団に潜り込んで来た三日月の体は冷えており、何事だと一期はその体を温めるように抱きしめたとろこで三日月の手が酷く濡れていることに気が付いた。
「三日月、これはどうしたのですか?」
こんな寒い時期に冷水にでも手を付けたというのか、まさかそんなと思いながら一期は三日月の手を握りしめる。一期の手の体温が奪われていくが構うことはなかった。
「朝目を覚ましたら外が白いものに覆われていたんだ。気になって触ってみたら冷たくてなぁ…寒くなってきてしまった」
「白い冷たいもの…?」
三日月の説明が理解出来なかった一期は、見た方が早いかと布団から出る。途端に冷気が体を蝕む。これはもしかしてと襖を開けると、一期の目に飛び込んで来たのは一面銀世界となった庭だった。
道理で寒いわけだし、これに触れた三日月の手足も濡れるわけだと一期は納得した。冬を感じたくなった審神者が庭を雪景色に変えたのだろう。
「これは何なんだ?」
「雪ですよ。…三日月は初めて見るのでしょうか?」
刀剣男子として三日月が顕現した時は審神者の気紛れで春の庭だった。その後は夏の庭、夜の庭、秋の庭…確かに三日月は雪を見ていない。三日月自身も無言で頷いて、濡れた手を見て「雪かぁ…」とその言葉を口の中で転がした。
「言葉は知っていたが見たのも触れたのも初めてだ。思っていたより冷たいなぁ…」
「もう少し暖かい恰好をして外を歩いてみましょうか?それとも寒いから部屋で暖まりますか?」
一期からの提案に三日月は目を瞬かせて、冷たくなった手をもう一度見る。それから一期と目を合わせ、口を開いた。
「…歩いてみたい」
それからの一期の行動は早かった。三日月を着替えさせると彼にカイロを持たせて冷えた手を温めるように言い、押入れの奥から審神者から支給されていた防寒具を取り出す。自分と三日月の防寒具で圧迫されていた押入れには、その分だけ隙間が生まれた。三日月にコートを着させてマフラー、ニット帽、耳当て、手袋と完全防具させていく。「もこもこだなぁ」と微笑む三日月に癒されながら一期自身も防寒具を身に着けた。
先にブーツを履いて庭に降り立った一期は、雪に沈む感覚に審神者に対してどれだけ雪を降らしたんだと文句を言いたくなった。これだと背の低い弟たちは足をとられて転んでしまいそうだ。縁側まで出てきて戸惑っていた三日月の名前を呼んで、縁側に座らせてブーツを履かせた。
「さぁ、お手をどうぞ」
「うむ。ありがとう」
差し出された一期の手を取って庭に降りた三日月も、自分の体重で雪に沈む感覚に驚いたようだった。「おお?」と首を傾げながら真新しい雪に足跡を付けていく姿は子供のように純粋で、一期は初めて雪を見た弟たちを思い出した。
楽しそうな三日月を見ているのも一期としては楽しいが、雪景色はいつもと違って見えるはずだから、三日月に雪景色の本丸を見せようと一期ははしゃぐ彼に声をかけた。
「少し散歩をしましょうか。冷えますからすぐに帰りますが」
「あい分かった」
はしゃいでた三日月がゆっくりと一期に近寄る。もう一期
三日月の手を取って、一期は「転んだら全身ずぶ濡れなってしまいますからね」とやんわり忠告をした。三日月もずぶ濡れは流石に嫌だったのか勢いよく首を縦に振った。
ふたり並んで歩き出してから、ふと後ろを振り向いた三日月が
「一期、一期」と一期の名を呼んだ。
「俺とお前の足跡が付いて居るぞ。一期の歩幅は大きいなぁ」
そんな可愛らしいことを嬉しそうに報告するものだから、一期はそんな三日月を抱きしめたくて仕方なくなってしまった。
○三日月が来てから初めての雪
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一期寒い、とひっついて来た三日月に一期は体を蝕む寒さを実感して深い眠りから覚醒した。一期の布団に潜り込んで来た三日月の体は冷えており、何事だと一期はその体を温めるように抱きしめたとろこで三日月の手が酷く濡れていることに気が付いた。
「三日月、これはどうしたのですか?」
こんな寒い時期に冷水にでも手を付けたというのか、まさかそんなと思いながら一期は三日月の手を握りしめる。一期の手の体温が奪われていくが構うことはなかった。
「朝目を覚ましたら外が白いものに覆われていたんだ。気になって触ってみたら冷たくてなぁ…寒くなってきてしまった」
「白い冷たいもの…?」
三日月の説明が理解出来なかった一期は、見た方が早いかと布団から出る。途端に冷気が体を蝕む。これはもしかしてと襖を開けると、一期の目に飛び込んで来たのは一面銀世界となった庭だった。
道理で寒いわけだし、これに触れた三日月の手足も濡れるわけだと一期は納得した。冬を感じたくなった審神者が庭を雪景色に変えたのだろう。
「これは何なんだ?」
「雪ですよ。…三日月は初めて見るのでしょうか?」
刀剣男子として三日月が顕現した時は審神者の気紛れで春の庭だった。その後は夏の庭、夜の庭、秋の庭…確かに三日月は雪を見ていない。三日月自身も無言で頷いて、濡れた手を見て「雪かぁ…」とその言葉を口の中で転がした。
「言葉は知っていたが見たのも触れたのも初めてだ。思っていたより冷たいなぁ…」
「もう少し暖かい恰好をして外を歩いてみましょうか?それとも寒いから部屋で暖まりますか?」
一期からの提案に三日月は目を瞬かせて、冷たくなった手をもう一度見る。それから一期と目を合わせ、口を開いた。
「…歩いてみたい」
それからの一期の行動は早かった。三日月を着替えさせると彼にカイロを持たせて冷えた手を温めるように言い、押入れの奥から審神者から支給されていた防寒具を取り出す。自分と三日月の防寒具で圧迫されていた押入れには、その分だけ隙間が生まれた。三日月にコートを着させてマフラー、ニット帽、耳当て、手袋と完全防具させていく。「もこもこだなぁ」と微笑む三日月に癒されながら一期自身も防寒具を身に着けた。
先にブーツを履いて庭に降り立った一期は、雪に沈む感覚に審神者に対してどれだけ雪を降らしたんだと文句を言いたくなった。これだと背の低い弟たちは足をとられて転んでしまいそうだ。縁側まで出てきて戸惑っていた三日月の名前を呼んで、縁側に座らせてブーツを履かせた。
「さぁ、お手をどうぞ」
「うむ。ありがとう」
差し出された一期の手を取って庭に降りた三日月も、自分の体重で雪に沈む感覚に驚いたようだった。「おお?」と首を傾げながら真新しい雪に足跡を付けていく姿は子供のように純粋で、一期は初めて雪を見た弟たちを思い出した。
楽しそうな三日月を見ているのも一期としては楽しいが、雪景色はいつもと違って見えるはずだから、三日月に雪景色の本丸を見せようと一期ははしゃぐ彼に声をかけた。
「少し散歩をしましょうか。冷えますからすぐに帰りますが」
「あい分かった」
はしゃいでた三日月がゆっくりと一期に近寄る。もう一期
三日月の手を取って、一期は「転んだら全身ずぶ濡れなってしまいますからね」とやんわり忠告をした。三日月もずぶ濡れは流石に嫌だったのか勢いよく首を縦に振った。
ふたり並んで歩き出してから、ふと後ろを振り向いた三日月が
「一期、一期」と一期の名を呼んだ。
「俺とお前の足跡が付いて居るぞ。一期の歩幅は大きいなぁ」
そんな可愛らしいことを嬉しそうに報告するものだから、一期はそんな三日月を抱きしめたくて仕方なくなってしまった。
