【いちみか】審神者、夫婦に振り回される【完結】
○いちみかワンライお題「ハロウィン」で書いたもの
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「あるじさま!とりっくおあとりーとです!」
「はいはいっと」
今度は今剣かと思いながら、フルーツ味ののど飴をひとつ渡した。俺はのど飴はフルーツの味がする奴じゃないと舐められないんだ。のど飴ってほら、なんか辛いし。
「あめですかー。おせんべいがよかったです。このあいだあるじさまがせんぱいからもらっといってたあれがたべたいです」
「急だったから飴しかなかったんだよ…っていうかそのせんべいは高級品のやつだから!そうそう食べられないやつだから!」
そう言うと今剣は大きく溜息を吐いてから「じゃあ三条のみんなのぶんください」と更に要求して来た。それくらいならと、俺ののど飴を5つくれてやる。ああ…俺の大切なのど飴が減って行く…。
教えた記憶は全くないのだが、知らないうちに本丸中にハロウィンの知識が広まっていた。情報源は不明だが、その所為短刀たちを中心に俺にお菓子を強請って来たのだ。ハロウィンなんて西洋文化を知らないと高を括っていた俺が、お菓子の類なぞ用意をしているはずが無かった。
(あ、もしかしてテレビか…。昨今の番組は西洋文化にも精通してるよな…)
今の俺にとっては傍迷惑なだけだったが。
わーいと走り去って行く今剣の背中を見送って思わず、「ハロウィンならちゃんと仮装しろよ」と突っ込んでしまった。何でお菓子の部分だけちゃっかりしてるんだ…。
「仮装…ですか?」
直後に真横から聞こえて来た声に思わず仰け反った。近侍の一期が音もなく俺の横に控えていたのだ。音もなく近付くの止めて本当に。心臓に悪い。
「あ、弟たちが飴をいただいたみたいでありがとうございます」
「あ、ああ…」
そうやって真っ直ぐにお礼を言われると、お徳用の喉飴で正直すまんと目線を逸らすしかなかった。
「そういえば三日月を知りませんか?先程から見掛けなくて…」
「三日月?そういえば見ていないな…」
また鶴丸と遊んでいるんじゃね?と続けようとしたところで、視界の端に白いシーツが躍ったのを見た。思わず二度見すると、ズルズルとシーツが這いずってこちらへ向かってくる。何この唐突なホラー。シーツの塊は俺たちの前まで来ると明るい声で「お前様!とりっとおあとりーと!」と叫んだ。
「ってお前三日月かー!!」
「三日月…その恰好は…」
俺のツッコミを無視して一期が三日月に問い掛ける。
「はろうぃんとやらのこすぷれだ!これをしてさっきの言葉を言うと菓子を貰えると鶴丸に教わったのでな」
やっぱり鶴丸か!あの愉快犯め!
三日月の返事に一期は困ったような顔をして菓子の手持ちがないと首を横に振った。
「菓子を持っていない場合は…ええと、悪戯をするぞ!」
バサァッ、とシーツを翻して三日月はシーツの塊の中に一期を引きずり込む。何故か俺の視界も白い海に飲み込まれた。
「って、おい!俺も巻き込んで、る、ぞ…」
シーツから這い出ようと思って、視界を広げるために顔にかかったシーツを上に押し上げると、何と三日月が一期の頬にちゅーをしているのが視界に入った。これ知ってるぞ!ほっぺちゅーだ!俺には縁のないものだけど!
唇を離してからどうだと言わんばかりにドヤ顔を晒した三日月は、目の前の一期がちゅーされた頬を押さえて呆けているのを認識して急に恥ずかしくなったらしい。一気に目元を赤く染めて「い、悪戯をしたからな!」と言いながらシーツをから脱出して走り去ってしまった。
「…天女ですかな…?」
呆けていた一期の小さい呟きは至近距離に居た俺にはよく聞こえた。お前何言ってんだ。三日月は綺麗だが男だぞ。
直後に立ち上がった一期もまたシーツから脱出して三日月の後を追って行ったみたいだった。なお、三日月も一期も俺をシーツから出してくれなかったために、俺の視界はまだ真っ白だ。その状態のまま、思わずしゃがみこんだ俺は目の前で起こった傍迷惑な夫婦のイチャイチャを思い出して、どっと疲れが出てしまった。
「…イチャイチャすんなら俺の視界に入らないところでやれよな!!畜生!!」
俺の叫び声は当人たちには残念ながら届かなかった。
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「あるじさま!とりっくおあとりーとです!」
「はいはいっと」
今度は今剣かと思いながら、フルーツ味ののど飴をひとつ渡した。俺はのど飴はフルーツの味がする奴じゃないと舐められないんだ。のど飴ってほら、なんか辛いし。
「あめですかー。おせんべいがよかったです。このあいだあるじさまがせんぱいからもらっといってたあれがたべたいです」
「急だったから飴しかなかったんだよ…っていうかそのせんべいは高級品のやつだから!そうそう食べられないやつだから!」
そう言うと今剣は大きく溜息を吐いてから「じゃあ三条のみんなのぶんください」と更に要求して来た。それくらいならと、俺ののど飴を5つくれてやる。ああ…俺の大切なのど飴が減って行く…。
教えた記憶は全くないのだが、知らないうちに本丸中にハロウィンの知識が広まっていた。情報源は不明だが、その所為短刀たちを中心に俺にお菓子を強請って来たのだ。ハロウィンなんて西洋文化を知らないと高を括っていた俺が、お菓子の類なぞ用意をしているはずが無かった。
(あ、もしかしてテレビか…。昨今の番組は西洋文化にも精通してるよな…)
今の俺にとっては傍迷惑なだけだったが。
わーいと走り去って行く今剣の背中を見送って思わず、「ハロウィンならちゃんと仮装しろよ」と突っ込んでしまった。何でお菓子の部分だけちゃっかりしてるんだ…。
「仮装…ですか?」
直後に真横から聞こえて来た声に思わず仰け反った。近侍の一期が音もなく俺の横に控えていたのだ。音もなく近付くの止めて本当に。心臓に悪い。
「あ、弟たちが飴をいただいたみたいでありがとうございます」
「あ、ああ…」
そうやって真っ直ぐにお礼を言われると、お徳用の喉飴で正直すまんと目線を逸らすしかなかった。
「そういえば三日月を知りませんか?先程から見掛けなくて…」
「三日月?そういえば見ていないな…」
また鶴丸と遊んでいるんじゃね?と続けようとしたところで、視界の端に白いシーツが躍ったのを見た。思わず二度見すると、ズルズルとシーツが這いずってこちらへ向かってくる。何この唐突なホラー。シーツの塊は俺たちの前まで来ると明るい声で「お前様!とりっとおあとりーと!」と叫んだ。
「ってお前三日月かー!!」
「三日月…その恰好は…」
俺のツッコミを無視して一期が三日月に問い掛ける。
「はろうぃんとやらのこすぷれだ!これをしてさっきの言葉を言うと菓子を貰えると鶴丸に教わったのでな」
やっぱり鶴丸か!あの愉快犯め!
三日月の返事に一期は困ったような顔をして菓子の手持ちがないと首を横に振った。
「菓子を持っていない場合は…ええと、悪戯をするぞ!」
バサァッ、とシーツを翻して三日月はシーツの塊の中に一期を引きずり込む。何故か俺の視界も白い海に飲み込まれた。
「って、おい!俺も巻き込んで、る、ぞ…」
シーツから這い出ようと思って、視界を広げるために顔にかかったシーツを上に押し上げると、何と三日月が一期の頬にちゅーをしているのが視界に入った。これ知ってるぞ!ほっぺちゅーだ!俺には縁のないものだけど!
唇を離してからどうだと言わんばかりにドヤ顔を晒した三日月は、目の前の一期がちゅーされた頬を押さえて呆けているのを認識して急に恥ずかしくなったらしい。一気に目元を赤く染めて「い、悪戯をしたからな!」と言いながらシーツをから脱出して走り去ってしまった。
「…天女ですかな…?」
呆けていた一期の小さい呟きは至近距離に居た俺にはよく聞こえた。お前何言ってんだ。三日月は綺麗だが男だぞ。
直後に立ち上がった一期もまたシーツから脱出して三日月の後を追って行ったみたいだった。なお、三日月も一期も俺をシーツから出してくれなかったために、俺の視界はまだ真っ白だ。その状態のまま、思わずしゃがみこんだ俺は目の前で起こった傍迷惑な夫婦のイチャイチャを思い出して、どっと疲れが出てしまった。
「…イチャイチャすんなら俺の視界に入らないところでやれよな!!畜生!!」
俺の叫び声は当人たちには残念ながら届かなかった。
