【いちみか】壁ドンから再開する恋模様【完結】

前半鶴丸の登場あり/内容的に若干背後注意かもしれない

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「夏だ!海だ!!」
 そうやって騒ぐ刀剣たちは本日審神者に連れられて現世のビーチにやって来ていた。
 政府が管理しているそこは立ち入り禁止区域になっている場所のため、他の本丸関係者は居ても一般の客は居ない。一部の審神者や刀剣からは女性の少なさにむさくるしいと文句が出たが、政府としては立ち入り禁止区域を解放しただけでも有難いと思えと言わんばかりの態度だった。
 その中で一人、この本丸の三日月は暑い日差しの中で頬を膨らましていた。それに気が付いた鶴丸は三日月に声を掛ける。
「どうしたんだ三日月…って、君、こんな暑いというのに首元まで隠して…暑そうだな」
「…鶴丸は随分涼しそうな格好だな」
 ジロリと三日月が鶴丸を見やると、鶴丸は白い海パンを穿いているだけで、病的と言えるほどの白い肌を惜しげもなく晒している。
 対して三日月も紺色の暗い海パンを穿き、更に一期の内番のジャージで首元まで隠すように着ていた。
「日焼けして泣きを見れば良い…」
「何て恐ろしいこと言うんだ三日月!俺は日に焼けたら真っ赤になるんだぞ!!?」
 三日月の呪詛に鶴丸は恐ろしいと叫ぶが、三日月は気にも留めずに「俺も真っ赤になる」と口を尖らせて膝を抱え込んでシートの上に座った。
 海には様々な本丸から来た刀剣たちが自由に遊んでいるというのに、三日月はパラソルの下で一期のジャージを着て不貞腐れているのだ。
「それは一期のジャージだな…。着せた本人はどこに行ったんだ?」
「知らん。しかし、脱いだらまたお仕置きだからなどうせ」
 ついに三日月がそっぽ向いたところで一期が戻って来た。三日月と話している鶴丸の姿を認めた一期は「浮気ですかな?」と笑顔で首を傾げた。勿論鶴丸は全力で否定をした。
「お前様。これを脱いでも良いか?」
「駄目です。お前の肌を私以外の前で晒すなんて許せるものではない」
 一期の返答を聞いて、鶴丸はこれが三日月から聞いた亭主関白か…と思いながら、そっとその場から離れた。これ以上ここに居ても不毛な争いに巻き込まれるだけだからである。夫婦は鶴丸が居なくなったのは気が付かずに会話を続けていた。
「…これでは泳げないぞ…」
「うーん…。それではあちらの岩陰でなら海に入っても良いですよ。勿論私と一緒ですが」
「本当か!!」
 早速行こうと立ち上がった三日月に一期は優しく微笑んで頷いた。
 岩陰の方は誰もいないようで、安心した三日月はいそいそとジャージを脱ぎ出す。
「三日月、その前に日焼け止めを塗りましょう。また肌を赤くするのは嫌でしょう」
「背中以外は塗っているのだ…お前様背中を塗ってくれないか?」
 一期は日焼け止めを手に取りながら肯定した。日に晒されたれた三日月の背中に日焼け止めを付け始める一期は、そこに散らばる鬱血の後を認めて苦笑いをもらした。
 海に行くというのに、昨夜はそのことを忘れて三日月の背中に痕をたくさん残してしまっていたのだ。三日月はマイペースではあるが、背中がこの状態では海に入ろうととは思わなかっただろう。この妻は意外と貞淑な部分もあるのだ。
 だからこそ、一期の我儘ということにしてこうして人気のない岩陰に連れて来た。ここならば一期しか居ないのだから、情事を伺わせる背中を晒していてもなんの問題も無い。
(…まあ、妻の自尊心を守るのも夫の役目ですな)
 全ては一期が鬱血なんて残さなければ済んだ話であったというのに、この男、それを棚に上げて悦に浸っていた。三日月の肌を自分以外に見せたくないというのも嘘でないのにも関わずだ。
「お前様?塗り終わったのか?」
「はい。大丈夫ですよ」
「ありがとう」
 三日月は一期に向き直ると、一期の手を握った。
「たまには、ふたりで普通に遊ぶというのも楽しそうだなお前様」
 俯き加減で上目遣いで伺ってくる妻に、一期はこれは押し倒して欲しいと言っているのかな?と不穏なことを考える。しかし、一期はそれを笑顔の下に隠して肯定の言葉を返したのだった。
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