【いちみか】壁ドンから再開する恋模様【完結】
冒頭に厚の登場あり
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「…おや、厚、それは何かな?」
厚が嬉しそうに抱えている袋を目撃した一期はその抱えられているものが気になり、弟を呼び止めた。すれ違い様に呼び止められた厚は律儀に一期に向き直って「花火だぜ!」と元気いっぱいに答える。
「花火…?」
最近顕現したばかりの一期には花火とやらに心当たりがなく、ただ首を傾げるだけだった。花というからには植物の一種なのだろうが、袋の中には色とりどりの棒が入っているだけで、どの辺りが花なのか一期には理解出来ない。
一期が首を捻っていることに気が付いた厚は花火の説明をし始める。筒の部分に火を付けると聞いた一期は一瞬ギョッと驚いた顔をするが、火薬の量は爆弾に比べるまでもなくほんの少ししか入ってないと聞いてあからさまに安心したような顔した。
「それで火薬に色が付いてるから、色んな色の炎が出て綺麗なんだぜ!」
「それは危なくないのかい?」
「大丈夫だぜいちにい!人に向けなければ良いし、水を用意すれば火事になることはない量だからな」
説明が終わった厚は審神者に貰ったこれを短刀たちで遊ぶんだと笑顔を見せる。一期もつられて笑顔を見せた。
「そうだ!いち兄にもこれやるよ!三日月結構花火好きなんだぜ」
そう言って厚は花火が入った袋をひとつ三日月に手渡した。更に「三日月の奴いち兄最近出陣が多くて寂しそうにしてたからさ…。さっきもいちにいが意地が悪いって拗ねてた」と言葉を続けて嵐のように走り去って行った。
「…意地が、悪い…」
残された一期の顔は腑に落ちないと語っていた。
*
三日月と相部屋の部屋へ戻ると、一期の愛しい妻は一瞬嬉しそうな顔をしたが、すぐにつーんとしたすまし顔をしてそっぽを向いた。どうやら厚の言う通り出陣で構ってやれなかったことに対して拗ねているようである。
そんな妻も愛おしいが、先ほど厚から聞き捨てならないことを聞いた一期は苦笑を浮かべてそっと弟からもらった花火を差し出した。
「それは!花火か!」
それを認めた瞬間、三日月のすまし顔は簡単に解かれて目をか輝かせた。花火が好きというのは本当らしい。三日月の手が花火の袋に触れるか触れないかというところで一期は手を引っ込めた。
三日月が意地悪をされたと想いながら頬を膨らませて夫の顔を見やり、そしてそのまま固まった。一期の顔は笑顔だが、夫婦として共に過ごすことで夫の内面をよく知っている三日月には、彼が若干怒っていることが手に取るように分かってしまったのだ。
「お、お前様…?」
「三日月。どうやら私が留守の間に好き勝手言っていたようですな」
一期の言葉に三日月の顔は青ざめ、「それは…」と言葉に詰まらせた。
「それは?言わないとこれは渡せません」
ひらひらと袋を揺らして三日月を煽る一期は確かに妻の言う通り意地が悪かった。一期としても別にそこまで怒っているわけではなく、ただ三日月を揶揄うネタが手に入って少し楽しくなっていることは事実だった。
三日月もそれに気付いていないわけではないが、ここで素直に言わないと本当に花火で遊ぶことが出来なくなってしまう。更にはまた何時ものように素直に言うまで離さないと布団の住人にされるだけであるため、それは避けたかった。
「お前様が居てくれなくて寂しくて…つい悪態を吐いてしまったのだ…すまん」
裾で顔を隠しながら三日月がようやくその言葉を言うと、一期は机の上に花火を置いて三日月をそっと抱きしめた。
「三日月…早くお前の錬度に追いつきたくて主殿に出陣を多くしてくれるよう頼んだのです…。妻より錬度が低いということに我慢ならない私の自尊心のために…」
「お前様…」
「だから」
三日月は抱き締める一期の腕の力が強くなったことにしまったと思うが既に遅かった。
「今夜は寝かしません」
一期の微笑みに三日月は駆け引きに失敗したことを悟った。三日月が抵抗する前に一期が彼を横抱きに抱えると、そのまま寝具のある奥の部屋へと歩み出す。
「ま、待ってくれお前様!花火は…!?」
花火で遊びたいと主張する三日月に一期は「明日でも良いでしょう」と足で器用に襖を開けた。三日月は有無を言わせない一期の態度に思わず「共寝も花火の後でも良いだろう!」と主張しようとしたが、その声が三日月の口から発せられる前に一期の唇によって塞がれ、紡がれることはなかった。
余談であるが翌日は一日中雨が降り、花火の袋を片手にその日一日しょぼくれる三日月の姿があったという。
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「…おや、厚、それは何かな?」
厚が嬉しそうに抱えている袋を目撃した一期はその抱えられているものが気になり、弟を呼び止めた。すれ違い様に呼び止められた厚は律儀に一期に向き直って「花火だぜ!」と元気いっぱいに答える。
「花火…?」
最近顕現したばかりの一期には花火とやらに心当たりがなく、ただ首を傾げるだけだった。花というからには植物の一種なのだろうが、袋の中には色とりどりの棒が入っているだけで、どの辺りが花なのか一期には理解出来ない。
一期が首を捻っていることに気が付いた厚は花火の説明をし始める。筒の部分に火を付けると聞いた一期は一瞬ギョッと驚いた顔をするが、火薬の量は爆弾に比べるまでもなくほんの少ししか入ってないと聞いてあからさまに安心したような顔した。
「それで火薬に色が付いてるから、色んな色の炎が出て綺麗なんだぜ!」
「それは危なくないのかい?」
「大丈夫だぜいちにい!人に向けなければ良いし、水を用意すれば火事になることはない量だからな」
説明が終わった厚は審神者に貰ったこれを短刀たちで遊ぶんだと笑顔を見せる。一期もつられて笑顔を見せた。
「そうだ!いち兄にもこれやるよ!三日月結構花火好きなんだぜ」
そう言って厚は花火が入った袋をひとつ三日月に手渡した。更に「三日月の奴いち兄最近出陣が多くて寂しそうにしてたからさ…。さっきもいちにいが意地が悪いって拗ねてた」と言葉を続けて嵐のように走り去って行った。
「…意地が、悪い…」
残された一期の顔は腑に落ちないと語っていた。
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三日月と相部屋の部屋へ戻ると、一期の愛しい妻は一瞬嬉しそうな顔をしたが、すぐにつーんとしたすまし顔をしてそっぽを向いた。どうやら厚の言う通り出陣で構ってやれなかったことに対して拗ねているようである。
そんな妻も愛おしいが、先ほど厚から聞き捨てならないことを聞いた一期は苦笑を浮かべてそっと弟からもらった花火を差し出した。
「それは!花火か!」
それを認めた瞬間、三日月のすまし顔は簡単に解かれて目をか輝かせた。花火が好きというのは本当らしい。三日月の手が花火の袋に触れるか触れないかというところで一期は手を引っ込めた。
三日月が意地悪をされたと想いながら頬を膨らませて夫の顔を見やり、そしてそのまま固まった。一期の顔は笑顔だが、夫婦として共に過ごすことで夫の内面をよく知っている三日月には、彼が若干怒っていることが手に取るように分かってしまったのだ。
「お、お前様…?」
「三日月。どうやら私が留守の間に好き勝手言っていたようですな」
一期の言葉に三日月の顔は青ざめ、「それは…」と言葉に詰まらせた。
「それは?言わないとこれは渡せません」
ひらひらと袋を揺らして三日月を煽る一期は確かに妻の言う通り意地が悪かった。一期としても別にそこまで怒っているわけではなく、ただ三日月を揶揄うネタが手に入って少し楽しくなっていることは事実だった。
三日月もそれに気付いていないわけではないが、ここで素直に言わないと本当に花火で遊ぶことが出来なくなってしまう。更にはまた何時ものように素直に言うまで離さないと布団の住人にされるだけであるため、それは避けたかった。
「お前様が居てくれなくて寂しくて…つい悪態を吐いてしまったのだ…すまん」
裾で顔を隠しながら三日月がようやくその言葉を言うと、一期は机の上に花火を置いて三日月をそっと抱きしめた。
「三日月…早くお前の錬度に追いつきたくて主殿に出陣を多くしてくれるよう頼んだのです…。妻より錬度が低いということに我慢ならない私の自尊心のために…」
「お前様…」
「だから」
三日月は抱き締める一期の腕の力が強くなったことにしまったと思うが既に遅かった。
「今夜は寝かしません」
一期の微笑みに三日月は駆け引きに失敗したことを悟った。三日月が抵抗する前に一期が彼を横抱きに抱えると、そのまま寝具のある奥の部屋へと歩み出す。
「ま、待ってくれお前様!花火は…!?」
花火で遊びたいと主張する三日月に一期は「明日でも良いでしょう」と足で器用に襖を開けた。三日月は有無を言わせない一期の態度に思わず「共寝も花火の後でも良いだろう!」と主張しようとしたが、その声が三日月の口から発せられる前に一期の唇によって塞がれ、紡がれることはなかった。
余談であるが翌日は一日中雨が降り、花火の袋を片手にその日一日しょぼくれる三日月の姿があったという。
