【いちみか】壁ドンから再開する恋模様【完結】

鶴丸視点寄り三人称文/鶴丸は三日月を兄として慕っている設定

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 一期が出撃していたため、暇を持て余した三日月は弟分の鶴丸を部屋に呼んで共にお茶を楽しんでいた。
「…ふう…お前とこうして茶を飲むのも何だか久しぶりだなぁ」
「そりゃあ久しぶりだろうな。なんせここ最近の君は夫に夢中だったからな」
「俺が夢中というのも間違いではないが、一期が俺を離さないのだ。仕方ないだろう」
 揶揄い半分で言ったつもりが、惚れ気で返された鶴丸は半眼で「はいはい」と流した。
 三日月には自我を持ち始めたころに随分可愛がられた。一期とは御物として随分長い間一緒に居た。夫婦のそれぞれと関係があったが、この二振りが夫婦だったとは知らなかったため驚かされたものだ。
 夫婦が寄りを戻してからは三日月とは出自の関係で近しい縁だったためか、一期に異様に警戒された鶴丸は三日月と話す機会が中々持てなかった。三日月に恋愛感情を抱いておらずとも、兄のように慕っていた彼と話すことが出来ないことは、あまり認めたくないが寂しかったことは事実だった。
 一期に三日月に対して恋愛感情はないと主張し続けてようやく誤解は解けて、こうして茶を飲めるようになったが。
「ま、まぁ、君が一期みたいな好青年な刀と夫婦になって良かった。一期になら君を任せられる」
「好青年?一期が…?」
 鶴丸の言葉に三日月が眉を顰めたて首を傾けた。何故三日月がそのような反応をするのか鶴丸にはまるで理解出来ない。
「一期は好青年からほど遠いはずだが…それは一期違いではないか?」
「一期違いって何だ…」
 三日月の意味の分からない言葉に鶴丸は思わずツッコミを入れる。
「確かに、昔に比べれば丸くなったと俺も思うが、意地が悪いところなどまるで変っていないぞ」
「意地悪…?」
 三日月の一期観を聞くと、鶴丸も一期違いではないかと思うくらい鶴丸が抱く一期像と異なる。
「だって一期だぞ?あの紳士を絵に描いたような一期一振だぞ?今朝だって三日月の相手をしてくれるのですか?よろしくお願いしますねって笑顔で頼まれたぞ」
「お前にはそんなことを言ったのか?俺にはくれぐれも浮気をしないように、妻は夫以外と通じてはいけなのですからと言い切ったぞあいつは」
 鶴丸が一期を真似て言うと、三日月も一期を真似て言われた言葉を鶴丸に教える。三日月の物真似は長年連れ添っていたためかかなり似ていて、鶴丸は思わず感心してしまった。
(って、ちょっと待て。誤解解けたんじゃなかったのか…?)
 本日三日月と茶を飲む約束をしていたのは鶴丸だけだ。それが顔に出ていたのだろうか、三日月はやれやれと言わんばかりに溜息を吐いた。
「どうやら嫉妬深いのも相変わらずのようですな。全く俺の旦那は変わらない」
「ぶっ」
 三日月の表情、言葉が全て一期を連想出来てしまい鶴丸は思わず茶を噴き出した。まさかこんなところで三日月の意外な特技を見ることが出来るとは思っていなかった。
「どうだ似ているだろう」
「似てるな確かに…」
「そうだろうそうだろう。日々練習した甲斐があったな」
「そんなことやっていたのか君は…こいつは驚きだな」
 一期の真似をして楽しんでいるところで、非情に聞き覚えのある声がふたりを現実に引き戻した。
「おふた方、随分と楽しそうですな」
 三日月と鶴丸の口から「ヒエッ!?」と声が漏れる。いつも余裕のあるふたりから洩れたとは思えない情けない声音だった。恐る恐る振り向くと、静かに開けられた障子の向こうに笑顔の一期が立っているではないか。
「お、お前様戻ったのか。お疲れ様だな」
「ええ、ただいま戻りました三日月。…それで?今のは私の真似ですか?」
 三日月は目線を泳がせながら鶴丸に助けを求める視線をやるが、鶴丸は静かに、そして勢いよく首を横に振ることしか出来なかった。
「夫の真似をして遊ぶ妻には仕置きが必要だと思いませんか?」
「んん…俺は、そうは思わないがなぁ…」
「そんなこと言わずに。さあ、奥の部屋へ参りましょうか」
 腕をガシッと掴まれた三日月は必死の思いで「まだ鶴丸が居るから」と叫ぶが、肝心の鶴丸は一期に一睨みされて三日月に悪いと思いつつ退散と決め込むことにした。
「それじゃあ俺は部屋へと戻るとしよう。二人ともまた来るぜ!」
「ああ!鶴丸!!兄を見捨てるな薄情者…!」
 部屋から急いで出ると中から恨めしそうな三日月の声が聞こえてきたが、鶴丸は静かに合掌した。
(…奥の部屋って寝室だよな…)
 いや、これ以上は考えるのはよそう。兄貴分のと親友の床事情など知りたくはないのだからと鶴丸は颯爽と立ち去って行くのであった。
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