恋を知る②
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恋を知る②
「悠二」
「なにー?脹相」
「・・・・抹茶パフェは、美味いのか?」
脹相の唐突さには、とっくに慣れていた悠二。
しかし、今日は今まででの中でも一位を争う意外な名詞だった。
「うまいよ!白玉とかあんこが乗ってるのが好きかな~!釘崎は抹茶ケーキが乗ってるの食ってたよ。」
兄の変化を直感的に感じた悠二は、あえて何も聞かなかった。
すぐに「食いたいの?」「なんで?」などと聞くのは、なんだか違う気がした。
「そうか。悠二たちも好きなのか。」
(・・・「も」?)
一瞬、悠二は瞬きをした。
脹相にも気づかれない程度の瞬き。
悠二は、さらに聞きたくなる衝動をこらえた。
「王道のいちごパフェとかチョコも良いけど、抹茶も外せないよな~。」
「そういうものなのか。」
悠二はまだ尻尾を見せない脹相のそれが見たくてたまらなくなった。
でも、急ぐな急ぐな・・・と、自身を制す。
「駅前にパフェ専門のカフェがあるよ。」
「・・・・・・。」
「今度一緒に行く?」
「・・・・・いや、いい。ありがとう。」
「そ?また行きたくなったら誘ってよ。」
悠二は、あえて詳しい場所を言わなかった。
もしも脹相から場所を聞いてきたら、悠二の直感がますます現実的になる予感がした。
・・・・・・・・・・・・。
脹相は夕食の片づけを終えて、ひとり考えていた。
抹茶パフェには、白玉やあんこ、ケーキも乗っているのか。
甘そうだ。
いや、そこではない。
はるの顔が、頭の中にチラついている。
はる抹茶パフェー駅前
この一本線をどうするというのだろうか。
「・・・・・・分からない。」
抹茶パフェなら、悠二も釘崎も好きらしい。
・・・なら、特別なものではない。
「…………。」
それなのに、なぜ俺は気になるのだろう。
「脹相さん、今日はよろしくお願いします。」
「・・・あぁ、よろしく頼む。」
はるの顔を見た瞬間、
先日のことが頭をよぎった。
抹茶パフェ。
駅前。
「…………。」
なぜ、今それを思い出したのだろう。
今日は高専一年の引率を頼まれた。
二組に分かれているようで、俺の方は伏黒とはるのペアだ。
ぺこ、と二人は脹相に一礼をした。
伏黒の角度は浅めだった。
伏黒がいるなら引率なんか必要ないのではと思ったが、念のためだそうだ。
呪いの王との決戦後は、何かと生徒には過保護なようだった。
「高専には慣れたのか?」
車の移動中に、俺ははるに聞いてみた。
「あ、はい。おかげさまで。ありがとうございます。」
「そうか・・・よかった。」
はるはよくありがとうと言うのだな。
「正直、釘崎と仲良くなれて安心した。」
伏黒が言った。
「野薔薇ちゃんがここにいたら、今すごい剣幕してるよね。」
はるは悠二たちと仲良くやっているようだ。
・・・俺は保護者か?
任務が一件終わったあと、休憩のためにコンビニに寄った。
はるは甘いものが陳列されている棚を眺めていた。
伏黒は、プロテイン飲料を片手に、はるに声をかけた。
「限定の宇治抹茶チョコエクレア?一緒に買うか?」
・・・抹茶だと?
そして何が主役のスイーツなんだ、それは?
俺は気づくとはるを見ていた。
「え、いいの?」
「午後はもうちょっと頑張ってほしいからな。」
「う・・・。じゃあ、お言葉に甘えて、頑張ります!」
午前の任務では、伏黒がはるをフォローした。
はるの実力が足りないわけではない。
まだ呪霊の多様な種類に慣れていないだけだ。
だが、伏黒なりの優しさを、はるはちゃんと解っているようだ。
車の中で、はるは抹茶のエクレアを頬張った。
「・・・パフェには、それが乗っているのか?」
「パフェ??」
いかにも「なぜいきなりパフェなんだ?」と言いたそうな伏黒だった。
「これが乗ってたら、罪悪感と幸せが増し増しですね~。」
はるの目が急に明るく見えたのは、気のせいだろうか。
伏黒は何かを感じていたようだが、すぐに自分の世界に戻った。
午後の任務では、はるは宣言通り一歩踏み出し、呪霊を祓った。
転入してまだ数ヵ月。
他の生徒と差があって当然だが、はるはその差が大きいことを気にしているようだ。
だが、確実に成長している。
皆もそれを認めている。
「脹相さん、今日はありがとうございました。これ、この間のお礼です。」
解散したあと、はるは俺を追いかけてきた。
これは、バームクーヘンだ。この間、悠二が買ってきたのを食べたばかりだ。
はるがくれたのは、抹茶味と、限定のほうじ茶味。
抹茶に限らず、和風が好きなのか?
「こういうの、食べないですか?」
「・・・・・・いや、食べる。わざわざ買っておいてくれたんだな。ありがとう。」
小さなビニール袋ごと、それは手渡された。
・・・・・・・・・。
パフェ、という単語は、二人とも言わなかった。
言えなかった。
言って、どうする?
駅前の、パフェ専門店に、行くのか?一緒に?
行って、どうする?
楽しい時間を過ごす。はると。それで?
・・・・俺は、何を、望んでいる?
「おぉ!ほうじ茶味!レアじゃん!」
悠二の目も、パフェにエクレアを乗せたものを想像したはるのように明るくなった。
「あぁ。もらったんだ。ほうじ茶味は悠二が食べろ。」
「やった!・・・って、脹相は抹茶が好きなん?」
「・・・・・いや・・・・まぁ、そうだな・・・・。」
ふ~ん?と何かを含んだような顔をしながら、悠二は五秒で食べた。
また、悠二は誰から?とは聞かなかった。
兄の変化を、大事に見守りたかったからだ。
「うまっ!!ゴチ!!」
「よかったな。」
気持ちの良い感想に、脹相はふっと伏し目で笑い、抹茶味のそれを平らげた。
「・・・・・これは・・・。」
「飲み物が必須だ。」
脹相は、パフェ越しにはるが笑っているイメージを浮かべて、また静かに笑った。
つづく
「悠二」
「なにー?脹相」
「・・・・抹茶パフェは、美味いのか?」
脹相の唐突さには、とっくに慣れていた悠二。
しかし、今日は今まででの中でも一位を争う意外な名詞だった。
「うまいよ!白玉とかあんこが乗ってるのが好きかな~!釘崎は抹茶ケーキが乗ってるの食ってたよ。」
兄の変化を直感的に感じた悠二は、あえて何も聞かなかった。
すぐに「食いたいの?」「なんで?」などと聞くのは、なんだか違う気がした。
「そうか。悠二たちも好きなのか。」
(・・・「も」?)
一瞬、悠二は瞬きをした。
脹相にも気づかれない程度の瞬き。
悠二は、さらに聞きたくなる衝動をこらえた。
「王道のいちごパフェとかチョコも良いけど、抹茶も外せないよな~。」
「そういうものなのか。」
悠二はまだ尻尾を見せない脹相のそれが見たくてたまらなくなった。
でも、急ぐな急ぐな・・・と、自身を制す。
「駅前にパフェ専門のカフェがあるよ。」
「・・・・・・。」
「今度一緒に行く?」
「・・・・・いや、いい。ありがとう。」
「そ?また行きたくなったら誘ってよ。」
悠二は、あえて詳しい場所を言わなかった。
もしも脹相から場所を聞いてきたら、悠二の直感がますます現実的になる予感がした。
・・・・・・・・・・・・。
脹相は夕食の片づけを終えて、ひとり考えていた。
抹茶パフェには、白玉やあんこ、ケーキも乗っているのか。
甘そうだ。
いや、そこではない。
はるの顔が、頭の中にチラついている。
はる抹茶パフェー駅前
この一本線をどうするというのだろうか。
「・・・・・・分からない。」
抹茶パフェなら、悠二も釘崎も好きらしい。
・・・なら、特別なものではない。
「…………。」
それなのに、なぜ俺は気になるのだろう。
「脹相さん、今日はよろしくお願いします。」
「・・・あぁ、よろしく頼む。」
はるの顔を見た瞬間、
先日のことが頭をよぎった。
抹茶パフェ。
駅前。
「…………。」
なぜ、今それを思い出したのだろう。
今日は高専一年の引率を頼まれた。
二組に分かれているようで、俺の方は伏黒とはるのペアだ。
ぺこ、と二人は脹相に一礼をした。
伏黒の角度は浅めだった。
伏黒がいるなら引率なんか必要ないのではと思ったが、念のためだそうだ。
呪いの王との決戦後は、何かと生徒には過保護なようだった。
「高専には慣れたのか?」
車の移動中に、俺ははるに聞いてみた。
「あ、はい。おかげさまで。ありがとうございます。」
「そうか・・・よかった。」
はるはよくありがとうと言うのだな。
「正直、釘崎と仲良くなれて安心した。」
伏黒が言った。
「野薔薇ちゃんがここにいたら、今すごい剣幕してるよね。」
はるは悠二たちと仲良くやっているようだ。
・・・俺は保護者か?
任務が一件終わったあと、休憩のためにコンビニに寄った。
はるは甘いものが陳列されている棚を眺めていた。
伏黒は、プロテイン飲料を片手に、はるに声をかけた。
「限定の宇治抹茶チョコエクレア?一緒に買うか?」
・・・抹茶だと?
そして何が主役のスイーツなんだ、それは?
俺は気づくとはるを見ていた。
「え、いいの?」
「午後はもうちょっと頑張ってほしいからな。」
「う・・・。じゃあ、お言葉に甘えて、頑張ります!」
午前の任務では、伏黒がはるをフォローした。
はるの実力が足りないわけではない。
まだ呪霊の多様な種類に慣れていないだけだ。
だが、伏黒なりの優しさを、はるはちゃんと解っているようだ。
車の中で、はるは抹茶のエクレアを頬張った。
「・・・パフェには、それが乗っているのか?」
「パフェ??」
いかにも「なぜいきなりパフェなんだ?」と言いたそうな伏黒だった。
「これが乗ってたら、罪悪感と幸せが増し増しですね~。」
はるの目が急に明るく見えたのは、気のせいだろうか。
伏黒は何かを感じていたようだが、すぐに自分の世界に戻った。
午後の任務では、はるは宣言通り一歩踏み出し、呪霊を祓った。
転入してまだ数ヵ月。
他の生徒と差があって当然だが、はるはその差が大きいことを気にしているようだ。
だが、確実に成長している。
皆もそれを認めている。
「脹相さん、今日はありがとうございました。これ、この間のお礼です。」
解散したあと、はるは俺を追いかけてきた。
これは、バームクーヘンだ。この間、悠二が買ってきたのを食べたばかりだ。
はるがくれたのは、抹茶味と、限定のほうじ茶味。
抹茶に限らず、和風が好きなのか?
「こういうの、食べないですか?」
「・・・・・・いや、食べる。わざわざ買っておいてくれたんだな。ありがとう。」
小さなビニール袋ごと、それは手渡された。
・・・・・・・・・。
パフェ、という単語は、二人とも言わなかった。
言えなかった。
言って、どうする?
駅前の、パフェ専門店に、行くのか?一緒に?
行って、どうする?
楽しい時間を過ごす。はると。それで?
・・・・俺は、何を、望んでいる?
「おぉ!ほうじ茶味!レアじゃん!」
悠二の目も、パフェにエクレアを乗せたものを想像したはるのように明るくなった。
「あぁ。もらったんだ。ほうじ茶味は悠二が食べろ。」
「やった!・・・って、脹相は抹茶が好きなん?」
「・・・・・いや・・・・まぁ、そうだな・・・・。」
ふ~ん?と何かを含んだような顔をしながら、悠二は五秒で食べた。
また、悠二は誰から?とは聞かなかった。
兄の変化を、大事に見守りたかったからだ。
「うまっ!!ゴチ!!」
「よかったな。」
気持ちの良い感想に、脹相はふっと伏し目で笑い、抹茶味のそれを平らげた。
「・・・・・これは・・・。」
「飲み物が必須だ。」
脹相は、パフェ越しにはるが笑っているイメージを浮かべて、また静かに笑った。
つづく
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