翔潤っていう関係(櫻井×松本)

櫻井side



翔「翔潤だって。」


潤「ん?」


ソファーに座ってテレビを見ていた松潤が顔をこっちに向ける。


翔「いや、ファンの子に俺らってそう呼ばれてるらしいよ。」


潤「へぇ(笑)」


翔「何だろう?コンビ推し?そういうやつあるよね(笑)」


潤「うん、あるね(笑)」


BLなんて無縁だと思っていた。


いちゃいちゃするのは営業?


俺らにはよく分からない話だ。


潤「コンビ推しってどういうこと求められてるんだろうね?」


そう聞いてくる松潤の隣に座る。


翔「だから、俗に言う…いちゃいちゃ?」


潤「あぁ(笑)」


俺たちは笑い合う。


翔「無縁だよね(笑)」


潤「んー、昔からずっと一緒にいるけどなかなかないよね(笑)」


ここで会話が止まってしまう。


なんとなく気まずい空気にしてしまったのかもしれない。


翔「みんな帰ってこないね。」


潤「うん。」


こういう時に限って3人はなかなか帰って来ない。


早く来て、このどうしようもない空気を壊してくれたらいいのに。


潤「でもさ、確かに肩組むだけで歓声すごいよね。」


翔「うん、すごい(笑)」


潤「何でだろうね?」


翔「俺らがしそうにないから?」


俺達は疑問に思ってしまう。


潤「肩くらい組むよね(笑)」


翔「うん(笑)でも人前ではあんまりないのかもね。」


潤「人前じゃなかったらキスとかするのにね。」


え…?


心の中でクエッションマークが浮かぶ。


潤「こういう一言を求めてんのかな?笑」


翔「あー、今焦った(笑)」


なんだ、ファンの子達が求めてるって話か。


納得した。


潤「何で焦ってんの?笑」


翔「いや、別に(笑)」


何で焦ったのか、自分でもよく分からない。


キスをした記憶なんて…


記憶を引っ張り出そうとする。


潤「どうした?」


翔「いや、松潤とキスとかしたことあったっけ?」


潤「いやいや、思い出さなくていいよ(笑)」


何?その反応。


まさか、ほんとにあった…?


翔「なんか最近は最新の記憶しか引っ張り出せない(笑)」


潤「まぁね、忙しいしね(笑)」


そして松潤がまたテレビの方を向く。


俺はその横顔を眺めていた。


潤「なんか、家族みたいでそういうのなかなか照れるよね(笑)」


たぶんこれは松潤の本音。


翔「うん、付き合い長いからね。」


いちゃいちゃしたい、したくない、そんなことよりも先に俺らには照れがくる。


意識してるとかしてないとか、きっとそんなんじゃなくて。


近すぎる程に近い存在だから。


翔「…大事に思ってるよ。」


思った言葉がふと出てしまった。


潤「いきなりどうした?笑」


松潤がまた笑いながらこっちを向く。


翔「いや、嵐のこと!笑」


こうしてはぐらかす。


潤「あー(笑)」


軽く頷いてくる。


潤「やっぱ大事だよね。」


妙に真剣なトーンで言ってくる。


潤「大事すぎて壊せない(笑)」


そう言いながら俺から視線を外す。


壊せないって何を?


今さらそんなこと聞けない。


何を壊せないか、きっと意図的に伏せてるから。


そして何となく俺には分かる。


付き合いが長いから。


いや、ちゃんと松潤のことを見てきたから。


大事に思って、この関係は崩せないんだ。


これ以上近付くことも離れることもない。


潤「なんか複雑そうな顔(笑)」


たぶん、松潤も俺が考えてることに気付いてる。


好きとか、そんな感情に変える前に俺は松潤に惹かれてるんだと思う。


翔「さっ、そろそろ戻ってくるかな?」


そう言って立ち上がる。


潤「何考えてた?」


静かな部屋に松潤の言葉が響いて聞こえた。


翔「何って?いや、何も。笑」


おもむろにお茶を取る。


翔「飲む?」


潤「ん?いい。」


断られて、俺だけお茶を持ってまたソファーに腰掛ける。


潤「やっぱちょうだい。」


そう言って俺のコップを手に取る。


そしてお茶を飲む姿を俺は見つめる。


翔「こういうの、ファンの子のキャーポイントじゃないの?笑」


潤「あー、関節キス?笑」


そう、関節キス。


わざとやってる?


俺を試してる?


翔「でも関節キスは意識しないよね?」


質問して松潤の様子を伺ってみる。


潤「でもこんな話してると若干意識するよね(笑)」


さらっと言われた。


意識してたんだ…。


だんだん頭の中が混乱してくる。


わざと、意図的に関節キスをした。


でも、俺らって壊せない関係なんだよね?


潤「また微妙な顔して(笑)」


笑って見せる松潤に、今は頭がいっぱいで笑顔を返す余裕なんて俺にはない。


潤「もう考えるのやめない?」


翔「え?どういうこと?」


潤「ほら、考えてる(笑)」


そう言っていたずらに笑う。


考えるのをやめて、この話を終わるのか。


それとも、考えるのをやめて俺らはもっと近くに行くのか…。


翔「…俺、また複雑そうな顔してる?笑」


答えは分からなかった。


潤「してる(笑)」


翔「ちょっとメンバーの様子でも見てこよっかなっ。」


そう言って立ち上がると、松潤も立った。


松潤「俺もっ。」


そして俺より先にドアの近くまで行って振り返った。


松潤「ほら、行こうっ。」


俺に向かって伸ばされた手。


俺は数秒間悩んでしまう。


翔「うん、行こう。」


俺はしっかりと松潤の手を取った。











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