これが恋なのかは分からない(大野×知念)

知念side



久しぶりに大野くんと連絡が取れた。


ご飯に連れて行ってくれると言われて胸が高鳴る。


山田「そんな嬉しそうにしてどうしたんだよ?」


知念「大野くんとご飯なんだーっ♪」


自慢げに話す。


山田「そっか、楽しんでっ。」


どこか不満そうな涼介の表情も、今日は気にならない。




待ち合わせより早く待ち合わせ場所に着いた。


ドキドキしながら大野くんを目で探す。


大野「お待たせ。」


緩く笑っている大野くん。


知念「お疲れさまです!」


大野「お疲れさま。」


最近暖かくなってきたからか、緊張しているからか分からないけどボクの体温は上昇していく。


大野「元気にしてた?」


知念「はい!大野くんも元気にしてましたか?」


大野「うん、元気だったよ。」


こんな浅い会話ですら覚えていたいと思うのは、話してる相手が大野くんだから。


大野「何食べたい?」


先に大野くんは何を食べたいか考えてしまう。


迷っていると大野くんが先に口を開いた。


大野「寿司でも行く?」


知念「はいっ!」


2人でお寿司屋さんに行く。


カウンターに座って、泳いでいる魚を眺める。


ほんとはもっと話したいけど、頭が上手く回らない。


横目でちらちら大野くんを見てしまう。


大野「ゼウスとか出てたね。」


話題を振ってくれる。


知念「出ました!笑」


大野「あれすごいよね~。」


知念「あんなにジャニーズが集まる機会ってあんまりないですもんね(笑)」


大野「カウントダウンくらい?」


知念「そうですよね!」


年越しのカウントダウンは、単独コンサートで大野くんとは会えなかった。


でも、きっと大野くんはこんなどうでもいいこと覚えてないんだろうな。


大野「たしか、今年京セラだったよね?」


知念「…え?あ、はい!」


覚えててくれたって、ただそれだけのことが嬉しい。


知念「でも、大野くんと年越したかったです(笑)」


こう思ってしまうのは普通じゃないんだろうか…?


大野「でも、今年は一緒に越せるんじゃない?」


たぶん大野くんは軽くしか考えない。


お寿司が出てくる。


知念「いただきますっ」


大野くんと一緒に食べるお寿司は最高だ。


知念「おいしいっ!」


大野「良かった(笑)」


こんなに近くで大野くんの笑顔が見られて幸せだった。


できるだけゆっくり食べる。


もっと同じ時間を過ごしたいから。


知念「最近は釣り行ってるんですか?」


大野「釣りは時間がある時は行くよ。笑」


一緒に行きたい。


楽しむ大野くんを見たい。


でも、ここは我慢。


大野くんの趣味に、ボクは必要ないから。


…あれ?


この感情ってなんなんだろう…?


大野「もしかしてお腹いっぱい?」


知念「いや、まだ食べます!」


気付くとお箸が止まっていた。


ずっと疑問だった。


ボクの大野くんに対するこの気持ちに名前があるのかどうか。


そして、その名前が知りたい。


お寿司を食べ終わってお店を出る。


知念「ごちそうさまでした!」


大野「うん。じゃあ、また。」


手を振る大野くんに軽くお辞儀をする。


大野くんが見えなくなるまで背中を見つめる。


“振り向けっ”


心の中で強く思った。


大野くんが振り向く。


焦ってまたお辞儀をする。


またボクに手を振って歩き出す。


心の声、聞こえちゃったかな…?


角を曲がって、大野くんが見えなくなった。


ボクはようやく歩き出す。


家に帰るまでの道のりで、また大野くんのことを考える。


会ったときの表情から、今日話したこと。


自然と笑顔になってしまう。


家に帰って、携帯を開く。


お礼のメールを入れる。


携帯を握りしめて、楽しみに返信を待つ。


返信が来たのはだいぶ遅かった。


簡素な文章。


それでも嬉しくて、メールに保護を掛ける。


今日は良い気分で眠れそう。


そのまま携帯を握りしめて、ボクは眠りに就いた。


次の日、仕事に行く。


山田「おはよう。」


知念「おはよう!」


山田「昨日どうだった?」


知念「大野くんと?お寿司行ったよ♪」


山田「そっか。」


ここから長々と大野くんとの昨日の話をする。


久々に会えたんだとか、相変わらず優しかったんだとか。


もう、気持ちが止まらなかった。


山田「ゆうてぃ、知念が止まんない(笑)」


涼介がゆうてぃに助けを求める。


裕翔「あぁ、昨日って大野くんとご飯に行ったんだっけ?」


知念「うん!そう!」


また1から昨日のエピソードを話す。


みんな聞いてくれて満足する。


山田「ほんとに大野くんのこと好きだよな(笑)」


知念「うん、好き!笑」


はっきり“好き”って言える。


もちろん心から。


まだ昨日の嬉しさを引きずりながら家に帰る。


そしてテレビをつけた。


今日も大野くんが出ている。


忙しいのに時間を作ってくれた。


やっぱり優しくて、大好きだ。


客席から歓声を浴びる大野くん。


人気だなぁ。


いつか、大野くんも1人の子を好きになってしまうんじゃないかと急に心が痛くなる。


あ、この気持ちって…。


でも違うんだ。


大野くんがボクを選ばないことを最初から知っている。


それに、初めから期待してない。


なのに…


よく分からない感情に最近ずっと苦しめられている。


でも、画面越しの大野くんの笑顔を見るとほっとする。


今度はいつ会えるかな?


そんなことを考えながらメールを打つ。


ただの今日の番組の感想メール。


でも、送れずに保存する。


こうして何通も保存boxに溜まったメール。


いつか全部笑って大野くんに話せる日が来ますようにっ。








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