恋のクロスロード
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僅かな時間で意のままに周りを動かしてみせた大和さんに舌を巻きつつ、改めて今の状況を把握した。
無数に並んだ夜店の間を、俺は浴衣姿の鈴谷と肩を並べて歩いている。
行き交う人々は誰も自分たちのことなど気にも留めていない。
中央に設けられた櫓から響く太鼓や笛の音がどこか遠く聞こえる。
俺たち二人の周りだけ、切り離された別世界のようだ。
祭りに誘ったあの日から、俺は何度もシュミレーションを重ねた。
ちょうど今、この状況の、である。
沈黙をつくって彼女を退屈させるようなことがあってはならないと、話題もたくさん用意した。
だが何だ。いざその時が来てみれば、ひとつとして浮かんでこない。
頭の中は真っ白だ。
例えるなら、鈴谷が今手にしている綿菓子みたいに。
いや、それでも何か話さなければ。
「‥‥それ、美味いのか?」
やっと口を開いた俺に鈴谷が反応した。
「ん?甘くて美味しいよ。なんだか懐かしい味がする‥‥。 えっと、食べる?」
鈴谷は俺の目の前に、持っている綿菓子を差し出した。
無理矢理引き出した会話の糸口だったのだが、どうやら俺がそれを欲していると勘違いさせてしまったらしい。
「そういうつもりじゃなかったんだが‥‥。本当にいいのか?」
実は先ほどから気になってはいた。
雲を頬張る妖精のように、嬉しそうに綿菓子を口に運ぶ彼女を見て自分も買おうかと思ったぐらいである。
──あくまで、菓子への興味だ。
「気にしないで! 私、そんなけちんぼじゃないよ?」
そう言って首を傾げた彼女の頭で、髪飾りに付いている小さな鈴がちりんと音を立てた。
「じゃあ、ありがたくもらっておく」
俺は控えめに、なるべく端の方を口にした。柔らかな欠片は舌の上で瞬時に溶け、ふわっと甘い味がいっぱいに広がった。
「‥‥綿菓子、初めて食べた。なんか新感覚だ」
「えっ!初めて?本当に今まで食べたことないの?」
「ああ、ないな。小学生の時わがままを言って一度だけ祭りに連れて行ってもらったことがあるが、屋台の食べ物は不衛生だと言って買ってもらえなかった」
「へぇ〜そうなんだぁ。今泉くんはしっかりとしたお家で育ったんだね」
鈴谷は丸くしていたくりくりと大きな目をすっと細めて、天使のように優しく微笑んだ。可愛い。
うっかり俺がこの手の話をするといつも周りの人間は、やれ「お坊ちゃまは」だの「金持ちは違う」だの皮肉めいた言葉を返してくる。
だが彼女に言わせてみれば、それも他意のない賞賛の言葉に受け取れる。
まあ実際、彼女には悪意など微塵もないのだろうが。
「悪い、余計なこと言った」
「なにが?」
「不衛生、とか今それを食べてるやつの前で言うべきじゃなかった」
ポカンと口を開けた後、彼女は声を出して笑った。
「あははっ、今泉くんは真面目だなぁ」
そう言って彼女は綿菓子の最後の一口を食べ終えると、手元に残った割り箸を顔の横にピンと立ててみせた。
「大丈夫! 私、きっと菌に強いと思うよ?身体もあんまり壊したことないし」
「いや、ついこの間風邪引いて何日も休んでたやつが何を‥‥」
言いかけて俺は自分の失言に気づいた。
これは彼女にとって嫌な記憶を呼び起こしてしまうかもしれない。
俺のしまった、という表情を見た彼女は悲しい目をした。
まるであの日のように。
が、次の瞬間には悪戯っぽく笑っていた。
「もうひとつ何か食べようよ!今度は今泉くんのやつを一口貰おうかなー?」
鈴谷は一歩前に出ると、少し大袈裟に辺りを見渡した。
‥‥もっと発言には気をつけなければ、貴重なチャンスを棒に振るうことになってしまう。
そしてなにより鈴谷を傷つけたくはない。
きっと大事にするから、だから…...
少し前を歩く彼女の後ろ姿に向かって呟いた俺の声は、虚しくも祭りの喧騒の中に掻き消された。
俺たちはその後たこ焼きとベビーカステラを一つずつ買って分け合った。
どちらも今まで食べた中で断トツに美味しく感じた。
食べたねー、と満足そうに鈴谷が浴衣の帯を撫でる仕草を横目に、俺は幸せを噛み締めていた。
気付けば辺りはもう夜の闇に覆われていた。来てすぐの頃より提灯が明るい光を放っている。
「なんか、人が減ったような気がするな」
「そう言えばそうだね。帰るにしてはまだ早いし‥‥。あ、みんな河原の方に向かってるのかも」
彼女が指さす方向を見てみると、確かに人の流れができている。いったい川で何が──
「灯篭流し」
「え?」
「きっとみんな灯篭流しを見に行ってるんだよ。今日のメインイベント!」
思い出した。そういえば街中に貼ってあった今日の祭りのポスターには、でかでかと灯篭流しの写真が載っていた。
灯篭流しというとお盆の行事である送り火の一種だが、参加者が多いこの祭りでは毎年その幻想的な景色を目当てに訪れる観光客も多い。
「俺たちも、行ってみるか?」
まだまだこの幸せな時間が続いてほしい。そんなことを考えていた俺は知らず知らずのうちにそう口に出していた。
彼女の方はもう帰りたがっていたらどうしよう。
欲張りすぎたか、俺。
恐る恐る鈴谷の顔を確認する。
「‥‥行きたい」
心底嬉しそうにはにかむ彼女を見て俺は、あぁもうどこにだって連れて行ってやるよ、と頭の中で叫ぶのだった。
灯篭流しをしばらく眺めていると、隣にいたカップルが、小規模だがこの後花火が打ち上がるらしいなどと話しているのが聞こえてきた。
鈴谷に、せっかくだから花火を見てから帰らないかと提案してみると、快く承諾してくれた。
夜店に灯篭流しに花火。まさに夏祭りフルコースだ。
浮き足立ち、今にも舞い上がりそうな俺だったが、あくまでも平静を装って彼女を花火がよく見えそうな高台へと誘い出した。
着いてみると既にそこは人で溢れていた。さすがにドラマのワンシーンのような穴場スポットなど、そう簡単には巡り会えない。
俺たちは、人波を縫ってなんとか二人で落ち着ける芝生の上に腰を下ろした。
すると間もなく一発目の花火が打ち上がった。
俺はその時、ずっと言い逸れていたことを思い出した。
「なぁ」
伝えようと彼女に話しかけるも、反応がない。
どうやら周りの音のせいで俺の声は届かなかったようだ。
仕方ない。
俺はぐっと彼女の耳元に顔を寄せた。
「言い忘れてたけど、浴衣、すごく似合ってる」
「え‥‥」
女性の身なりの変化には必ず感想を述べろ、男としての最低限のマナーだ、とは東堂さんがいつも言っている言葉である。
言いたかったことを言ってすっきりとした俺は、彼女の顔を見て微笑んだ。
「あの、え、い、今泉くん?」
花火の光に照らされた彼女の顔は、みるみる赤らんでいっているように見えた。
すると鈴谷はいきなり深呼吸をし始めた。
不思議に思いながらその様子を眺めていると、彼女が独り言のように言った。
「あーもーやだ、今私、すごく顔ニヤけてる‥‥。
嬉しい時にすぐ顔に出ちゃうの、何とかならないかな‥‥」
そう言って恥ずかしそうに頬を抑えた。
鈴谷の嬉しそうな顔‥‥。
ふと、あの時図書室で見た彼女の顔が頭に浮かんだ。
どうしても今確認しておきたい、と思った。
「鈴谷は、その‥‥荒北さんのこと好きだったりするのか」
どうか勘違いであってほしい。
祈るような気持ちで空を仰ぎながら、彼女におずおずと尋ねてみた。
「どうして‥‥」
隣で小さく息を飲む音が聞こえた。
「今泉くんはさ‥‥一度告白を断った相手にもう一度好きだって言われたら、どう思う?」
あまりに唐突な質問だったので、俺は思わず鈴谷の顔を見た。
真っ直ぐにこちらを見つめる彼女の目は真剣だった。
一度振った相手にもう一度告白される。今までに何度か経験したことはある。
どうして俺に執着するのか?どこにそんな魅力を感じているのか?大して会話も交わしたことのない人間にそこまで夢中になれる理由が、到底理解できなかった。
「好意を抱いてくれるのは悪くないが‥‥少し、重いと感じるかもしれないな」
その熱心な眼差しから逃れるように、俺は少々俯きがちに答えた。
一瞬の静寂ののち、鈴谷は消え入りそうな小さな声で呟いた。
「そっか‥‥。うん、わかった」
彼女がゆっくりと立ち上がった。
「今日は」
鈴谷の声が花火の音に重なった。
聞こえなくとも、その口が「ありがとう」と告げているのがわかる。
来た道へと歩き出す彼女に、俺は思わず手を伸ばした。
しかしまるで俺を拒むかのような背中に、その手は虚空を掴むことしか出来なかった。
どんどん小さくなる彼女の姿を見つめながら、俺は呆然とその場に立ち尽くしていた。
彼女は俺にどんな答えを望んでいたのだろう。
空を見上げる人々の一際大きな歓声とともに、最後の花火が打ち上がった。
それは夢のように儚く、一瞬の花を開いて、夜の闇へと溶けていった。
無数に並んだ夜店の間を、俺は浴衣姿の鈴谷と肩を並べて歩いている。
行き交う人々は誰も自分たちのことなど気にも留めていない。
中央に設けられた櫓から響く太鼓や笛の音がどこか遠く聞こえる。
俺たち二人の周りだけ、切り離された別世界のようだ。
祭りに誘ったあの日から、俺は何度もシュミレーションを重ねた。
ちょうど今、この状況の、である。
沈黙をつくって彼女を退屈させるようなことがあってはならないと、話題もたくさん用意した。
だが何だ。いざその時が来てみれば、ひとつとして浮かんでこない。
頭の中は真っ白だ。
例えるなら、鈴谷が今手にしている綿菓子みたいに。
いや、それでも何か話さなければ。
「‥‥それ、美味いのか?」
やっと口を開いた俺に鈴谷が反応した。
「ん?甘くて美味しいよ。なんだか懐かしい味がする‥‥。 えっと、食べる?」
鈴谷は俺の目の前に、持っている綿菓子を差し出した。
無理矢理引き出した会話の糸口だったのだが、どうやら俺がそれを欲していると勘違いさせてしまったらしい。
「そういうつもりじゃなかったんだが‥‥。本当にいいのか?」
実は先ほどから気になってはいた。
雲を頬張る妖精のように、嬉しそうに綿菓子を口に運ぶ彼女を見て自分も買おうかと思ったぐらいである。
──あくまで、菓子への興味だ。
「気にしないで! 私、そんなけちんぼじゃないよ?」
そう言って首を傾げた彼女の頭で、髪飾りに付いている小さな鈴がちりんと音を立てた。
「じゃあ、ありがたくもらっておく」
俺は控えめに、なるべく端の方を口にした。柔らかな欠片は舌の上で瞬時に溶け、ふわっと甘い味がいっぱいに広がった。
「‥‥綿菓子、初めて食べた。なんか新感覚だ」
「えっ!初めて?本当に今まで食べたことないの?」
「ああ、ないな。小学生の時わがままを言って一度だけ祭りに連れて行ってもらったことがあるが、屋台の食べ物は不衛生だと言って買ってもらえなかった」
「へぇ〜そうなんだぁ。今泉くんはしっかりとしたお家で育ったんだね」
鈴谷は丸くしていたくりくりと大きな目をすっと細めて、天使のように優しく微笑んだ。可愛い。
うっかり俺がこの手の話をするといつも周りの人間は、やれ「お坊ちゃまは」だの「金持ちは違う」だの皮肉めいた言葉を返してくる。
だが彼女に言わせてみれば、それも他意のない賞賛の言葉に受け取れる。
まあ実際、彼女には悪意など微塵もないのだろうが。
「悪い、余計なこと言った」
「なにが?」
「不衛生、とか今それを食べてるやつの前で言うべきじゃなかった」
ポカンと口を開けた後、彼女は声を出して笑った。
「あははっ、今泉くんは真面目だなぁ」
そう言って彼女は綿菓子の最後の一口を食べ終えると、手元に残った割り箸を顔の横にピンと立ててみせた。
「大丈夫! 私、きっと菌に強いと思うよ?身体もあんまり壊したことないし」
「いや、ついこの間風邪引いて何日も休んでたやつが何を‥‥」
言いかけて俺は自分の失言に気づいた。
これは彼女にとって嫌な記憶を呼び起こしてしまうかもしれない。
俺のしまった、という表情を見た彼女は悲しい目をした。
まるであの日のように。
が、次の瞬間には悪戯っぽく笑っていた。
「もうひとつ何か食べようよ!今度は今泉くんのやつを一口貰おうかなー?」
鈴谷は一歩前に出ると、少し大袈裟に辺りを見渡した。
‥‥もっと発言には気をつけなければ、貴重なチャンスを棒に振るうことになってしまう。
そしてなにより鈴谷を傷つけたくはない。
きっと大事にするから、だから…...
少し前を歩く彼女の後ろ姿に向かって呟いた俺の声は、虚しくも祭りの喧騒の中に掻き消された。
俺たちはその後たこ焼きとベビーカステラを一つずつ買って分け合った。
どちらも今まで食べた中で断トツに美味しく感じた。
食べたねー、と満足そうに鈴谷が浴衣の帯を撫でる仕草を横目に、俺は幸せを噛み締めていた。
気付けば辺りはもう夜の闇に覆われていた。来てすぐの頃より提灯が明るい光を放っている。
「なんか、人が減ったような気がするな」
「そう言えばそうだね。帰るにしてはまだ早いし‥‥。あ、みんな河原の方に向かってるのかも」
彼女が指さす方向を見てみると、確かに人の流れができている。いったい川で何が──
「灯篭流し」
「え?」
「きっとみんな灯篭流しを見に行ってるんだよ。今日のメインイベント!」
思い出した。そういえば街中に貼ってあった今日の祭りのポスターには、でかでかと灯篭流しの写真が載っていた。
灯篭流しというとお盆の行事である送り火の一種だが、参加者が多いこの祭りでは毎年その幻想的な景色を目当てに訪れる観光客も多い。
「俺たちも、行ってみるか?」
まだまだこの幸せな時間が続いてほしい。そんなことを考えていた俺は知らず知らずのうちにそう口に出していた。
彼女の方はもう帰りたがっていたらどうしよう。
欲張りすぎたか、俺。
恐る恐る鈴谷の顔を確認する。
「‥‥行きたい」
心底嬉しそうにはにかむ彼女を見て俺は、あぁもうどこにだって連れて行ってやるよ、と頭の中で叫ぶのだった。
灯篭流しをしばらく眺めていると、隣にいたカップルが、小規模だがこの後花火が打ち上がるらしいなどと話しているのが聞こえてきた。
鈴谷に、せっかくだから花火を見てから帰らないかと提案してみると、快く承諾してくれた。
夜店に灯篭流しに花火。まさに夏祭りフルコースだ。
浮き足立ち、今にも舞い上がりそうな俺だったが、あくまでも平静を装って彼女を花火がよく見えそうな高台へと誘い出した。
着いてみると既にそこは人で溢れていた。さすがにドラマのワンシーンのような穴場スポットなど、そう簡単には巡り会えない。
俺たちは、人波を縫ってなんとか二人で落ち着ける芝生の上に腰を下ろした。
すると間もなく一発目の花火が打ち上がった。
俺はその時、ずっと言い逸れていたことを思い出した。
「なぁ」
伝えようと彼女に話しかけるも、反応がない。
どうやら周りの音のせいで俺の声は届かなかったようだ。
仕方ない。
俺はぐっと彼女の耳元に顔を寄せた。
「言い忘れてたけど、浴衣、すごく似合ってる」
「え‥‥」
女性の身なりの変化には必ず感想を述べろ、男としての最低限のマナーだ、とは東堂さんがいつも言っている言葉である。
言いたかったことを言ってすっきりとした俺は、彼女の顔を見て微笑んだ。
「あの、え、い、今泉くん?」
花火の光に照らされた彼女の顔は、みるみる赤らんでいっているように見えた。
すると鈴谷はいきなり深呼吸をし始めた。
不思議に思いながらその様子を眺めていると、彼女が独り言のように言った。
「あーもーやだ、今私、すごく顔ニヤけてる‥‥。
嬉しい時にすぐ顔に出ちゃうの、何とかならないかな‥‥」
そう言って恥ずかしそうに頬を抑えた。
鈴谷の嬉しそうな顔‥‥。
ふと、あの時図書室で見た彼女の顔が頭に浮かんだ。
どうしても今確認しておきたい、と思った。
「鈴谷は、その‥‥荒北さんのこと好きだったりするのか」
どうか勘違いであってほしい。
祈るような気持ちで空を仰ぎながら、彼女におずおずと尋ねてみた。
「どうして‥‥」
隣で小さく息を飲む音が聞こえた。
「今泉くんはさ‥‥一度告白を断った相手にもう一度好きだって言われたら、どう思う?」
あまりに唐突な質問だったので、俺は思わず鈴谷の顔を見た。
真っ直ぐにこちらを見つめる彼女の目は真剣だった。
一度振った相手にもう一度告白される。今までに何度か経験したことはある。
どうして俺に執着するのか?どこにそんな魅力を感じているのか?大して会話も交わしたことのない人間にそこまで夢中になれる理由が、到底理解できなかった。
「好意を抱いてくれるのは悪くないが‥‥少し、重いと感じるかもしれないな」
その熱心な眼差しから逃れるように、俺は少々俯きがちに答えた。
一瞬の静寂ののち、鈴谷は消え入りそうな小さな声で呟いた。
「そっか‥‥。うん、わかった」
彼女がゆっくりと立ち上がった。
「今日は」
鈴谷の声が花火の音に重なった。
聞こえなくとも、その口が「ありがとう」と告げているのがわかる。
来た道へと歩き出す彼女に、俺は思わず手を伸ばした。
しかしまるで俺を拒むかのような背中に、その手は虚空を掴むことしか出来なかった。
どんどん小さくなる彼女の姿を見つめながら、俺は呆然とその場に立ち尽くしていた。
彼女は俺にどんな答えを望んでいたのだろう。
空を見上げる人々の一際大きな歓声とともに、最後の花火が打ち上がった。
それは夢のように儚く、一瞬の花を開いて、夜の闇へと溶けていった。
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