「って…子供の頃の話しとったのに、なんか話ずれたな。
まぁ……僕はとりあえず、出来損ないやったって話」



あんまり自分の過去とか、やってきた事を人には話さんのやけど……



なんとなく



花音には話したくなった。



自分という人間を



知って欲しかったから。




「……保科さんは、出来損ないなんかじゃない」



「え？」



「保科さんがどれだけ努力してきたか…私には計り知れない。

きっと……辛いことも、あったよね…。


だから…頑張ってきたんだね、なんて言葉なんて簡単にかけることはできない。


ただ……」



花音が僕を見て、優しく笑う。




「貴方は、出来損ないなんかじゃないし…

必死に1つの信念を貫いて生きてきた貴方を…


私は尊敬する」



「！」




頑張ったね



偉いね



凄いね



そんな簡単な言葉が欲しかったんじゃない。


自分が貫いてきた道を…



ただ



認めてほしかったんや。




胸にじわりと広がる熱い気持ち…



「…花音は…本当に………」



少し…泣きそうになって、僕は眉を寄せて笑う。


そして、そっと彼女の手を握る。



前は振り払われた手……



でも今は…振り払われない。



僕は少し驚いたように瞳を開いた彼女を見つめて、吸い寄せられるように顔を近づけた。











「きゃー！きたー！！」



「ちょっ！それ話す必要ある！？」



大興奮MAXの水無瀬さんに私は赤面する。



「いや、話の流れで…」



さ、最悪……