「……………はぁ………」


「何回目のため息だよ。いい加減うぜぇ…」


携帯片手にまたため息をついている男に彼の仲間はみんな呆れ顔。



「今度は何？」



「…さぁな。まぁ六花関係な事はたしかだな」



「ああ、なるほどな…」



ドラケンの言葉に三ツ谷は苦笑い。



「六花の事んなると、無敵のマイキーもダメダメだな」



「まったくな。…喧嘩相手にゃ見せらんね」




「お疲れ様っす！」



ドラケンがため息をついたのと同時、1人の男の子が階段を駆け上がってきた。


松野千冬。それが彼の名前だ。
場地率いる壱番隊副隊長でもある。



「あれ？場地さん来てないっすか？」



「いんや、今日は見てねぇよ」



三ツ谷の言葉に千冬はおかしいな、と髪をかく。



「また学校の図書室か…分かりました！じゃあまた！」



「おお」



また階段を降りようとして、千冬があ、そういや…と思い出したように振り返る。



「六花さんって…たしか総長達の幼なじみさんっすよね？」


六花の名前に1番に反応したのはもちろん言うまでもなくマイキーだ。


そんなマイキーを横目にドラケンが口を開く。



「おお、それがどうした？」



「さっき、渋谷で見かけて…その…男と歩いてたんすけど…」



言っていいのかどうか迷いながらも千冬はつづける。




「しばらく見てたら廃墟ビルが多いとこに入って行ったんで…いや、なんでかな…って…えっと…」




千冬の言葉に一気にその場の空気が変わる。



「…おい、マイキー…場地が言ってた事覚えてるか？」






『今日、あいつといたら変な視線を感じた。
』



「どこだ？それ」



マイキーの雰囲気に千冬が息を飲む。


「あ、えっと…」