「ドラケン君！大丈夫っすからね！



たけみっちが走ってこちらに来る。



私はけんちゃんの横に座り込んで…何もできずにいた。


いまおこっている現実が……


受け入れられないからだ。



なんで…こんな事になったの…




「大丈夫っすよ、すぐ救急車来ますから！
絶対助かります」



たけみっち……手が……



たけみっちは笑ってるけど、ぎゅっと握りしめられた手は震えていた。




「そっか………俺は…」



けんちゃんはたけみっちを見てから、空を見上げる。



激しく降る雨が……3人を打ち付けた。





「死ぬんだな」



「な、何言ってんすか！そんなわけっ……っないじゃない、ですか！」



たけみっちの瞳からぶわっと涙が溢れ出す。



「明日になったら、ケロッとしてますよ！そうでしょ！？だってドラケン君だもん…」



「たけみっち…自分を責めるなよ。お前が、過去に戻ってきたせいじゃねぇかんな。
俺は…俺の意思でここまできた。

お前や、六花が守ってくれた命…

お前らがこれからまだ前に進めるのを守れた事に使えたんだ。

だから……」



けんちゃん………



「わかったな？」



「っ……はいっ…」



「小学生の時はさ…よく喧嘩して…負けてた…」



「え？ドラケン君が？」


「年上ばっかり相手にしてたからな…負けて地面はいつくばって、こうやって空見上げてるとさなんか全部どうでもよくなって…
気持ちが晴れた。」



「…なんか…分かります」



「マイキーは……知らねぇんだ。この空を」



「え…」



「負けたことがないって、やっかいだよな…

俺はさ…あいつが大好きだ。あいつの全部背負いこんじまうとこも…それでもなんとかしちまうとこも、全部…あいつの背中を、見てきた…

だから…どうにかしてやりたかった。」




マイキーを…ずっと傍で見て、支えて、思ってきた…


2人の強い絆。



「六花……」



「けんちゃん、もう喋らないで！息が…」



苦しげに上下する彼の胸。



「聞け…最後だから…」



「！」


ぐっ、とけんちゃんが私の腕を握る。



「前に言ったこと…覚えてるか？」



「え…」




「お前は……マイキーの居場所で、心だ。ガキの頃からずっとな…」




『けんちん、聞けよ！今日六花がさ！』



お前はいつも……



六花の話をする時



本当に嬉しそうだったよな。



それが少し



妬ける事もあった。



自分でも



だせぇ、って思う。






「マイキーにとってお前は何にもかえられねぇ……大事な存在だ。」



「けん、ちゃん…」


けんちゃんは私を見ると、フッと笑う。




「前も死にかけた時……同じ事言ったよな……

でも今度は……無理そうだ」



「っ…」



腕にあった彼の手を握りしめて、涙が溢れ出す。




「マイキーには…お前が必要だ……

だから……」



けんちゃんの瞳から…涙が溢れ出す。




「マイキーを…救ってやってくれ……


六花…」





それができるのは……





お前だけだから……