「千咒」


「ん？」


笹に短冊をつけながら、たけみっちが千咒を見る。



「俺もさ、なんかあったらお前を守るよ。」



そう言ったたけみっちに千咒は少し恥ずかしそうに頬を染める。




「ば、バーカ…いらねぇ約束だ！」



「はは！たしかに！」



「……でも…」



千咒はたけみっちに手をだす。




「ありがとう」



「おお」



その手をたけみっちが握り返す。




「！！！」



その瞬間、たけみっちの体が一瞬震えたように見えた。



「？」



「あ…雨だな」



千咒の言葉に空を見上げるとポツリと頬に雫が落ちてくる。



「………」




たけみっち？



「雨だー！」



濡れるのが嫌いな千咒は一目散に屋根の下に走っていく。




「……六花ちゃん」



「？どうかした？たけみっち」




「俺……未来が見えてる」





「え？」




未来が…見える？




「なんか、うまく言えないんだけどさ、ちょっと先にある未来を断片的にみれるっていうか…」



「……今も何かみたってこと？」




「…うん…千咒が、」



「おーい！六花！花垣！早く来いよー！」




千咒が屋根の下で手を振って呼んでいる。




千咒の未来を見たって事？





「あ〜お腹すいた！なんか食べたい！六花！」



「あ、うん。そうだね」



私は考えこむたけみっちを見つつ、千咒と一緒にお店に並びに向かった。










「いや〜今日は楽しかった！友達と遊園地！最高！」



「うん、楽しかったね」



「また来ような！」



「うん。先に外出てるね」


「わかった」



千咒を残して先にトイレから出る。



「たけみっち！おまた…」



「花垣武道！！！」



え…



私の声を遮るように聞こえた声にそちらを見ると全身黒い服と黒いマスクをした4.5人の集団がたけみっちの方に近づいていくのが見えた。



「おい、本当にこいつか？」



「間違いない。さっき瓦城千咒と一緒にいた」


あの人達……



「本当にやんのか？」



「ああ、俺らみたいな小者が上に上がるためにはこれぐれぇしねぇと！」



「でも！」



「大丈夫だ！この為に…命懸けでこれを手にいれたんだからな」



「！」



1人の男が取りだしたのは、キラリと光る黒い銃。

その先は…たけみっちに向けられている。



「サウスさんなら…分かってくれる」



サウスって……六破羅単代の！




「花垣っ！！！！」



声を聞きつけた千咒がたけみっちの方に突っ込んでいく。



「千咒！！来ちゃダメだ！！！」



「動くな！！花垣！」



「たけみっち！」


「やめろぉぉ！」



「来るな！千咒！！」



たけみっちは叫ぶと千咒めがけて走っていくと、その小さな体を抱きしめてその場に倒れ込む。



どんっ！と銃声音が鳴り響く…



「ったけみっち！千咒！」



むくりとゆっくり起き上がるたけみっち…



「花垣！」



「大丈夫か！千咒！」


「え…」


「お前は死んじゃだめだ！」



まさかたけみっちの見た未来って……



「何避けてんだよ！てめぇ！」


再び銃口がたけみっちに向けられる。




「たけみっち！！！！！」



私が叫んだのと同時…


ドンドンドン！と続けざまに銃声音がし、私の横をさっ、と何かが通り過ぎた。



え………



揺れた金の三つ編みに……



瞳を開く。



どがっ！と音がして、銃が地面を転がって行った…



そこにいたのは…



「！けんちゃん！」


「ドラケン君！？」



「大丈夫か？たけみっち」



けんちゃんの姿…



え…


今…



「く、くっそ！」



作戦が失敗したのと、周りが銃声に気づき騒ぎ出したので、黒ずくめの男たちは慌てて逃げ出す。