「俺が……殺したのと同じだ」



「……え？」



「俺は……六花を守るって決めた。


あいつが俺を守ってくれたように。


でも結局俺は


六花を傷つけて、泣かせて、悲しませる事しか…出来なかった。」







『ごめんねっ……マイキー…』




あんな顔をさせたかったわけじゃないのに



幸せに



したかったのに……




「俺の黒い衝動は…日に日に濃くなっていく。

危険だと…いつか…

闇に覆われてしまう」




ビデオテープで言っていた事だ…




「六花すらも……


飲み込んでしまう。


それが怖くて………あいつを遠ざけようとした。


でも…」










『大好き、マイキー。ただそれだけ…


この気持ちだけなの…



私が守りたいものは…



私の夢も幸せも



全部全部



マイキーなんだよ』






離せなかった……




離れたくないと…





「六花が隣にいない事が…怖かった。

ただの俺のワガママだった…


分かってる。分かってたんだ…」





『私は……ずっとマイキーの傍にいる。


何があっても……



傍にいるから』




そう




約束したよね？




俺が…



東卍の皆を遠ざけるために…



皆を傷つけた。




『マイキー！やめろ！』




血で滲んだ拳が……痛くて……



涙を見せたくなくて…



雨の中たたずんでいた…




『風邪…ひいちゃうよ、マイキー』



そっ、と差し出された傘と…



悲しげに揺れた瞳……




『…辛かったね…』




抱きしめられた温もり…




『私は…ずっとマイキーの傍にいる』



1人にはさせない…




そう言ってたった1人…



着いてきてくれた六花を……




俺は傷つけた。





日に日に強くなる黒いものに…



俺の心は蝕まれそうだった。



不安定な日が多くて…



六花に優しくできない日もあった。



でも




六花は……





ずっと笑っていた。





「……そんな日がずっと続いていた中で…

……六花は……俺の子供を妊娠した」



「え……」





『マイキー……あのね……』





「本当なら嬉しい事なのに…ずっと望んでた事だったのに…」



六花と家族になれる日を……




「……怖くなったんだ。

俺が父親になる事も、黒い衝動を抑えきれなくなってきている自分の血を繋ぐ者が産まれる事も……」






『3ヶ月にはいった所だって…マイキー、私ね、』



『……産む気、なのか？』



『え………』




言ってはいけない言葉を……



言ってしまった。