深く



深く




落ちていく





深く




暗い




闇の中……






《アメリカ航空N265便はまもなく出国ゲートが開きます。
ご搭乗のお客さまは…》




飛び立つ飛行機を窓から見つめる。




これで……



いいんだよね。




手にしたパスポートとチケット。




結局私は……



父の敷いたレールの上を歩くしかないのかな。




情けないな。



自分に失笑する。



胸元で、揺れる指輪を手にして見つめた。






『昔、約束しただろ。六花……


俺の嫁になって』




マイキー…




『これから先も……ずっと俺の傍にいるって誓い。

俺も…変わらずお前の傍にいる。約束だ。』




約束……したじゃない。




ずっと変わらず




私の傍にいてくれるって



私も



貴方の傍にいると…





『六花…約束して。ずっと…

俺のそばにいるって、離れないって…



六花……俺…』





優しく笑うマイキーの顔が浮かぶ。





『六花が好きだ』





私も大好き




愛してる…







『……約束…忘れんなよ…どんな事があっても……
六花は…六花のままでいろ。

変わらず……マイキーの傍に…いてやってくれよ……』






『万次郎を頼むな。六花…』




『マイキーの傍にずっといてあげてね…六花』




ぎゅっ…とチケットを握りしめる。


私は…



マイキーをもう1人にはさせない



寂しい思いはさせない



そう誓って…



ずっと…走ってきた。




もう二度と……




「…私…何してるんだろう」




私は近くにあったゴミ箱にチケットを破ると捨てた。





今までも何度だって向き合ってきた



こんな事で…



マイキーを失いたくない



絶対に。