第1章
夢小説設定
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「は、はい」
振り返ると、深い闇の瞳と絡まる。
「…たい焼き、食う?」
「はい?」
た、たい焼き?
頭に一気に?マークが浮かぶ。
そんな私におかまいなしに彼は立ち上がり自分のデスクに行くと紙袋を片手に戻ってきた。
たまにドラマとかであんな紙袋に銃が入ってて…とか想像してしまう。
そこでハッとした。
もしかして…本当に銃、とか?
たい焼きって、この業界用語で、死ぬ、とかじゃないよね?
よく見ると、たい焼きのわりに袋の膨らみがデカい気がする、ような…
ち、違うよね?
私、何もヘマしてない…はず。
心臓が変にドクドクなり始めた。
そんな私を知って知らずかガサガサ袋に手を入れる彼。
「ここの、「すみません!!」
「は?」
身構えた私に佐野万次郎は怪訝な顔をした。
その手には可愛い魚の形をした…
「た、たい焼き…」
「だからたい焼きっつたじゃん。」
何言ってんだ?という顔の彼に、穴があったら入りたい気分になる。
「ん、やるよ。」
そこ、座って食べたら、という彼にちょっとビックリしすぎて目を見開く。
「…いらねぇの?」
「い、いただきます」
眉間のシワをこくした彼に私に断る勇気はない。
彼の手からたい焼きを受け取ると、静かに彼の正面、さっきまで稀咲が座ってたソファーに腰かける。
相変わらず据わり心地がいい。
目の前では頭からたい焼きにかぶりつく彼。
な、なんか…似合わないなぁ…
「ここのたい焼き、ガキの頃から好きでさ。よく下のやつに買いに行かせてる」
「へ、へぇ…ってか、でか!」
このたい焼き、普通のよりなんかデカくない?
ああ、どうりで銃と間違うわけだ。と納得。
「だろ?ここのは餡がつまってて、最高なんだよ」
そう言って少し笑った彼に私はびっくりした。
わ、笑うんだ。この人。
まぁ、人間なんだしそりゃそうだけどさ。
でも、彼のこんな弛んだ顔を、初めてみた。
たい焼き、本当に好きなんだなぁ。
「い、いただきます」
緊張で喉を通るかナゾだったが、1口食べてその心配はなくなった。
「ん!美味しい!」
かなり美味しかったからだ。
「だろ?」
「私、冷めたたい焼きって少し苦手だったんですけど、これは全然いける!美味しい!」
パクパク食べる私にフッと前から笑い声がする。
みると少し口角をあげて私を見る彼と目があう。
「疲れてる時には甘いもの…だろ」
「え?」
「…昔、妹がそう言ってた」
妹…
彼には妹がいるんだ。
初めて知った。
というか、私は彼の事は何も知らない。
ただの雇用主と弁護士。
それ以上でもそれ以下でもないし、彼の家族構成もしらない。
彼が…どんな人生を歩んできたのか。
聞く必要もないし、聞いていいのかも分からないからだ。
でも今の口ぶりだときっと
彼の妹はもうこの世にはいない。
そんな気がした。
彼だって、最初からこんな極悪組織のトップになろうと思っていた訳ではないだろう。
何かがあって、今の彼がいる。
だから、その妹さんの事も…彼をこんな道に向かわせた事の1つなのだろうか?
そう考えた。
「最近、疲れた顔してた」
「え?わ、私が、ですか」
「まぁ、こんな仕事してて疲れねぇわけないよな」
「ま、まぁ…」
ここは犯罪組織、しかも男ばっかりで、私は紅一点…
舐め回すように嫌な視線をおくってくる人達がいるのも事実。
気を抜いたら犯されてしまうのではとすら思う日もあり
常に神経をはっていた。
「稀咲の奴がいつもすまない」
「え?」
「あいつは自分が思った通りにしか動かない。だからお前の苦労なんてなんとも思っちゃいねぇんだ。それを止めきれない俺も…悪いと思ってる」
そう言って下に視線を落とした彼に瞳をひらいた。
なんだか今日はやたらと驚く日だ。
もしかして…彼は今のこの東京卍會のあり方をよく思っていないのだろうか?
たしかに、いつも会議の時もどこか興味なさげで他人事のように聞いていて、発言らしい発言はしていないように感じた。
指示も、どちかかといえば稀咲にされる事の方が多い。
彼は…最初に何を思い、この東京卍會をつくったんだろう。
「なぁ」
ぼーっとそんな事を考えていたらふと彼の視線が私をとらえた。
「あんこ…ついてるぞ」
「へ…?えっ!あー!」
そう言われてふと自分の足をみると、白いパンツスーツにべったり餡子がついていた。
「さ、最悪!この後警察行かなきゃなのに!」
最悪!と慌てて立ち上がったところで胸元にも餡子がついている事に気づく。
どんだけぼーっとしてたんだ私っ!
「…フハッ」
慌てまくっていた私に、目の前にいた彼が急に吹き出した。
彼をみると、クックッと笑いを堪えるように肩を震わせている。
「おまっ…口にもついてる」
「え!?」
彼の言葉に私は慌てて自分の口元を隠す。
「ハハハ…ガキかよ」
漆黒の瞳を少し細めて笑った彼に、私は不覚にもドキッとした。
顔つきが整っているので笑うとかっこいいんだろうな、とは思っていたが実際笑ったとこを初めて見て、やっぱり美形だな、と感じた。
この人…こんな風に笑うんだ。
「と、とれました?」
行儀悪いな、と思いながらも手で口元を拭って彼に確認してみた。
自分で鏡でみろよ、という話なのだが、生憎常に手鏡を持ち合わせているほど女子力は高くない。
「ちげぇ…こっちだよ」
そう言うと彼が腰をあげて、そのまま私の方に手を伸ばす。
あ…
彼の骨張った指が私の口元に触れる。
グッと親指でついた餡子を拭ってそのまま1連の動作のごとく自分の口元に運ぶ。
ペロリと親指を舐めた彼に、私の顔に一気に熱が集中した。
間違いなく頭上からきかんしゃ○ーマスのごとく蒸気を発している…
「うん、やっぱここの餡子はうまいな」
納得したようにそう言った彼は何も気にしてないようで、私は恥ずかしくなって顔を逸らした。
27歳にもなってこんな事でドキドキして顔を赤くするなんて…情けない。
いや、でも今のはどう考えたって世の女子は同じようになりませんか!?
と誰かに問いかけたくなる。
振り返ると、深い闇の瞳と絡まる。
「…たい焼き、食う?」
「はい?」
た、たい焼き?
頭に一気に?マークが浮かぶ。
そんな私におかまいなしに彼は立ち上がり自分のデスクに行くと紙袋を片手に戻ってきた。
たまにドラマとかであんな紙袋に銃が入ってて…とか想像してしまう。
そこでハッとした。
もしかして…本当に銃、とか?
たい焼きって、この業界用語で、死ぬ、とかじゃないよね?
よく見ると、たい焼きのわりに袋の膨らみがデカい気がする、ような…
ち、違うよね?
私、何もヘマしてない…はず。
心臓が変にドクドクなり始めた。
そんな私を知って知らずかガサガサ袋に手を入れる彼。
「ここの、「すみません!!」
「は?」
身構えた私に佐野万次郎は怪訝な顔をした。
その手には可愛い魚の形をした…
「た、たい焼き…」
「だからたい焼きっつたじゃん。」
何言ってんだ?という顔の彼に、穴があったら入りたい気分になる。
「ん、やるよ。」
そこ、座って食べたら、という彼にちょっとビックリしすぎて目を見開く。
「…いらねぇの?」
「い、いただきます」
眉間のシワをこくした彼に私に断る勇気はない。
彼の手からたい焼きを受け取ると、静かに彼の正面、さっきまで稀咲が座ってたソファーに腰かける。
相変わらず据わり心地がいい。
目の前では頭からたい焼きにかぶりつく彼。
な、なんか…似合わないなぁ…
「ここのたい焼き、ガキの頃から好きでさ。よく下のやつに買いに行かせてる」
「へ、へぇ…ってか、でか!」
このたい焼き、普通のよりなんかデカくない?
ああ、どうりで銃と間違うわけだ。と納得。
「だろ?ここのは餡がつまってて、最高なんだよ」
そう言って少し笑った彼に私はびっくりした。
わ、笑うんだ。この人。
まぁ、人間なんだしそりゃそうだけどさ。
でも、彼のこんな弛んだ顔を、初めてみた。
たい焼き、本当に好きなんだなぁ。
「い、いただきます」
緊張で喉を通るかナゾだったが、1口食べてその心配はなくなった。
「ん!美味しい!」
かなり美味しかったからだ。
「だろ?」
「私、冷めたたい焼きって少し苦手だったんですけど、これは全然いける!美味しい!」
パクパク食べる私にフッと前から笑い声がする。
みると少し口角をあげて私を見る彼と目があう。
「疲れてる時には甘いもの…だろ」
「え?」
「…昔、妹がそう言ってた」
妹…
彼には妹がいるんだ。
初めて知った。
というか、私は彼の事は何も知らない。
ただの雇用主と弁護士。
それ以上でもそれ以下でもないし、彼の家族構成もしらない。
彼が…どんな人生を歩んできたのか。
聞く必要もないし、聞いていいのかも分からないからだ。
でも今の口ぶりだときっと
彼の妹はもうこの世にはいない。
そんな気がした。
彼だって、最初からこんな極悪組織のトップになろうと思っていた訳ではないだろう。
何かがあって、今の彼がいる。
だから、その妹さんの事も…彼をこんな道に向かわせた事の1つなのだろうか?
そう考えた。
「最近、疲れた顔してた」
「え?わ、私が、ですか」
「まぁ、こんな仕事してて疲れねぇわけないよな」
「ま、まぁ…」
ここは犯罪組織、しかも男ばっかりで、私は紅一点…
舐め回すように嫌な視線をおくってくる人達がいるのも事実。
気を抜いたら犯されてしまうのではとすら思う日もあり
常に神経をはっていた。
「稀咲の奴がいつもすまない」
「え?」
「あいつは自分が思った通りにしか動かない。だからお前の苦労なんてなんとも思っちゃいねぇんだ。それを止めきれない俺も…悪いと思ってる」
そう言って下に視線を落とした彼に瞳をひらいた。
なんだか今日はやたらと驚く日だ。
もしかして…彼は今のこの東京卍會のあり方をよく思っていないのだろうか?
たしかに、いつも会議の時もどこか興味なさげで他人事のように聞いていて、発言らしい発言はしていないように感じた。
指示も、どちかかといえば稀咲にされる事の方が多い。
彼は…最初に何を思い、この東京卍會をつくったんだろう。
「なぁ」
ぼーっとそんな事を考えていたらふと彼の視線が私をとらえた。
「あんこ…ついてるぞ」
「へ…?えっ!あー!」
そう言われてふと自分の足をみると、白いパンツスーツにべったり餡子がついていた。
「さ、最悪!この後警察行かなきゃなのに!」
最悪!と慌てて立ち上がったところで胸元にも餡子がついている事に気づく。
どんだけぼーっとしてたんだ私っ!
「…フハッ」
慌てまくっていた私に、目の前にいた彼が急に吹き出した。
彼をみると、クックッと笑いを堪えるように肩を震わせている。
「おまっ…口にもついてる」
「え!?」
彼の言葉に私は慌てて自分の口元を隠す。
「ハハハ…ガキかよ」
漆黒の瞳を少し細めて笑った彼に、私は不覚にもドキッとした。
顔つきが整っているので笑うとかっこいいんだろうな、とは思っていたが実際笑ったとこを初めて見て、やっぱり美形だな、と感じた。
この人…こんな風に笑うんだ。
「と、とれました?」
行儀悪いな、と思いながらも手で口元を拭って彼に確認してみた。
自分で鏡でみろよ、という話なのだが、生憎常に手鏡を持ち合わせているほど女子力は高くない。
「ちげぇ…こっちだよ」
そう言うと彼が腰をあげて、そのまま私の方に手を伸ばす。
あ…
彼の骨張った指が私の口元に触れる。
グッと親指でついた餡子を拭ってそのまま1連の動作のごとく自分の口元に運ぶ。
ペロリと親指を舐めた彼に、私の顔に一気に熱が集中した。
間違いなく頭上からきかんしゃ○ーマスのごとく蒸気を発している…
「うん、やっぱここの餡子はうまいな」
納得したようにそう言った彼は何も気にしてないようで、私は恥ずかしくなって顔を逸らした。
27歳にもなってこんな事でドキドキして顔を赤くするなんて…情けない。
いや、でも今のはどう考えたって世の女子は同じようになりませんか!?
と誰かに問いかけたくなる。