第7章
夢小説設定
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呼吸が浅くなっていくイザナに私は彼の手をもっと強く握った。
だめ、イザナ……
やっと大切なものに気づけたのに…
やっと……
「……マイキー…お前は…俺を救いたいって言った?」
「兄弟なら当然だ。もうしゃべるな、イザナ」
「言ったよな?」
「……ん…俺もエマも真一郎の事が大好きだったから。
お前と…同じだから」
「………六花…頼みが、ある」
「何?イザナ」
「…俺の、事……マイキーに…話して、ほしい。
息が苦しくて……うまく、話せねぇ、から」
「え……」
それはつまり……
イザナを見つめると、小さく笑みを浮かべて頷く。
イザナから聞かされた……
彼の過去…
「頼む…ちゃんと…伝えときてぇんだ…真実を…」
「………分かった」
私はイザナの手を握りしめたまま、後ろにいたマイキーを見上げる。
「……マイキー……イザナは……」
私はイザナから聞いた過去の話…
自分の母だと思っていた人が…本当の母ではなかった事。
佐野家の誰とも血が繋がっていなかった事。
そして…
真一郎お兄ちゃんにぶつけた怒り。
イザナの……
孤独…
『あんたに分かるか?真一郎……
あると思っていた幸せを…突然奪われた地獄が!!』
「……俺の…気持ちが…分かるのかって…」
私が真実を話し終えて…イザナは荒い息のままそうはきだすと、その瞳から涙が溢れ出す。
「……イザナ…お前……」
イザナを変えてしまったもの…
その時のイザナの苦しみ、悲しみ、孤独を考えたら……
たまらなく胸が痛くなった。
「…なぁ……マイキー……俺が、救えるか?」
イザナの問に、マイキーは何も答えられない。
「救いようねぇだろ…」
「っ…イザナっ…そんな事っ、そんな事ない!!これから…っまだやり直せる!
何度だってやり直せるから!!
だからっ……っ…」
溢れ出す涙が止まらない……
「六花………最後に……最後に…ちゃんと顔…見せて、くれよ…霞んできて…よく、みえねぇんだ…」
イザナの手が、私の頬に触れる…
「っ…イザナ…イザナ…っ、私ここにいるよ!イザナの傍にいる!!だからっ……しっかりして!!
こんなの、嫌だ!
もっともっとイザナと話したい事がある!
伝えたいことがあるの!!!
だからっ……!!死んじゃ嫌だ!!!!!」
『いってぇ…』
『大丈夫!?』
始めて六花と話した日の事を
思い出した。
そうだ。
あの日、俺は…
施設にある高い木の上に登っていた。
危ないから登っちゃいけないと禁止されていたが、どうしても…登りたかったんだ。
ここに登れば……
俺を迎えに来るお母さんを1番に見つけられるから…
でも
待っても待ってもやっぱり来なくて…
諦めて降りようとしたら…見事にバランスを崩して落ちてしまったんだ。
情けなくて
悲しくて…ふいに泣きそうになった。
なんでお母さんは…来てくれないんだろう。
会いに来てくれないんだろう…
『痛いの痛いのとんでけ!』
え…
俺の擦りむいた膝に可愛い絆創膏が貼られていた。
目の前の少女は、俺の膝を撫でてから、空に向かって手をあげる。
こいつ……たしか……
『道成寺さん』
そうだ、そう呼ばれていたたまに施設に来るおばさんの…娘……
綺麗な黒髪に、星を移したような瞳で…俺を見つめていた。
『なんだよ、そのガキみたいなやつ』
痛いの痛いの?なんだそれ?
と思わず吹き出す。
『え?知らない?痛いのがあったらこうするんだよ!私のお母さんがよくやってくれるんだ〜』
『ふ〜ん…優しいんだな、お前のお母さん。
俺のお母さんも、もうすぐ迎えに来るんだ』
確証はなかった。
でも…
言葉にしないと…不安だったんだ。
本当に迎えに来なかったら?
そんな不安をかき消したかった…
『え!そうなの?』
『うん。約束したから。』
そう……
約束したんだ。
『そっか…じゃあお兄ちゃんともう会えないんだね』
そう言った少女に、俺は少し驚く。
ちゃんと話したのは今日が初めてなのに…
なんでこいつ悲しそうなんだ?
不思議だった。
でも……
なんだか、この子が悲しげにしてるのが嫌で……
笑ってほしくて…
『また会えるよ…』
何故かそう言っていた。
そう言ったら…分かりやすくぱぁっと笑顔を見せる少女…
その笑顔に……
胸が鳴った……
なんだ?
優しくて、暖かくて……
太陽みたいだ。
『あ、そういえば俺、お前の名前知らない』
『道成寺六花だよ』
『ふ〜ん六花、か』
『お兄ちゃんは、なんてお名前なの?』
『俺?俺は………イザナ』
『イザ、ナ?』
『うん。黒川イザナ』
これが、俺と六花が初めて言葉を交わした日だった。
だめ、イザナ……
やっと大切なものに気づけたのに…
やっと……
「……マイキー…お前は…俺を救いたいって言った?」
「兄弟なら当然だ。もうしゃべるな、イザナ」
「言ったよな?」
「……ん…俺もエマも真一郎の事が大好きだったから。
お前と…同じだから」
「………六花…頼みが、ある」
「何?イザナ」
「…俺の、事……マイキーに…話して、ほしい。
息が苦しくて……うまく、話せねぇ、から」
「え……」
それはつまり……
イザナを見つめると、小さく笑みを浮かべて頷く。
イザナから聞かされた……
彼の過去…
「頼む…ちゃんと…伝えときてぇんだ…真実を…」
「………分かった」
私はイザナの手を握りしめたまま、後ろにいたマイキーを見上げる。
「……マイキー……イザナは……」
私はイザナから聞いた過去の話…
自分の母だと思っていた人が…本当の母ではなかった事。
佐野家の誰とも血が繋がっていなかった事。
そして…
真一郎お兄ちゃんにぶつけた怒り。
イザナの……
孤独…
『あんたに分かるか?真一郎……
あると思っていた幸せを…突然奪われた地獄が!!』
「……俺の…気持ちが…分かるのかって…」
私が真実を話し終えて…イザナは荒い息のままそうはきだすと、その瞳から涙が溢れ出す。
「……イザナ…お前……」
イザナを変えてしまったもの…
その時のイザナの苦しみ、悲しみ、孤独を考えたら……
たまらなく胸が痛くなった。
「…なぁ……マイキー……俺が、救えるか?」
イザナの問に、マイキーは何も答えられない。
「救いようねぇだろ…」
「っ…イザナっ…そんな事っ、そんな事ない!!これから…っまだやり直せる!
何度だってやり直せるから!!
だからっ……っ…」
溢れ出す涙が止まらない……
「六花………最後に……最後に…ちゃんと顔…見せて、くれよ…霞んできて…よく、みえねぇんだ…」
イザナの手が、私の頬に触れる…
「っ…イザナ…イザナ…っ、私ここにいるよ!イザナの傍にいる!!だからっ……しっかりして!!
こんなの、嫌だ!
もっともっとイザナと話したい事がある!
伝えたいことがあるの!!!
だからっ……!!死んじゃ嫌だ!!!!!」
『いってぇ…』
『大丈夫!?』
始めて六花と話した日の事を
思い出した。
そうだ。
あの日、俺は…
施設にある高い木の上に登っていた。
危ないから登っちゃいけないと禁止されていたが、どうしても…登りたかったんだ。
ここに登れば……
俺を迎えに来るお母さんを1番に見つけられるから…
でも
待っても待ってもやっぱり来なくて…
諦めて降りようとしたら…見事にバランスを崩して落ちてしまったんだ。
情けなくて
悲しくて…ふいに泣きそうになった。
なんでお母さんは…来てくれないんだろう。
会いに来てくれないんだろう…
『痛いの痛いのとんでけ!』
え…
俺の擦りむいた膝に可愛い絆創膏が貼られていた。
目の前の少女は、俺の膝を撫でてから、空に向かって手をあげる。
こいつ……たしか……
『道成寺さん』
そうだ、そう呼ばれていたたまに施設に来るおばさんの…娘……
綺麗な黒髪に、星を移したような瞳で…俺を見つめていた。
『なんだよ、そのガキみたいなやつ』
痛いの痛いの?なんだそれ?
と思わず吹き出す。
『え?知らない?痛いのがあったらこうするんだよ!私のお母さんがよくやってくれるんだ〜』
『ふ〜ん…優しいんだな、お前のお母さん。
俺のお母さんも、もうすぐ迎えに来るんだ』
確証はなかった。
でも…
言葉にしないと…不安だったんだ。
本当に迎えに来なかったら?
そんな不安をかき消したかった…
『え!そうなの?』
『うん。約束したから。』
そう……
約束したんだ。
『そっか…じゃあお兄ちゃんともう会えないんだね』
そう言った少女に、俺は少し驚く。
ちゃんと話したのは今日が初めてなのに…
なんでこいつ悲しそうなんだ?
不思議だった。
でも……
なんだか、この子が悲しげにしてるのが嫌で……
笑ってほしくて…
『また会えるよ…』
何故かそう言っていた。
そう言ったら…分かりやすくぱぁっと笑顔を見せる少女…
その笑顔に……
胸が鳴った……
なんだ?
優しくて、暖かくて……
太陽みたいだ。
『あ、そういえば俺、お前の名前知らない』
『道成寺六花だよ』
『ふ〜ん六花、か』
『お兄ちゃんは、なんてお名前なの?』
『俺?俺は………イザナ』
『イザ、ナ?』
『うん。黒川イザナ』
これが、俺と六花が初めて言葉を交わした日だった。