思わず駆け寄りそうになる私をまたけんちゃんが止める。



「近づくなっつたろ」


「っでも！」


「…お前が…黒川イザナとマイキーの事で苦しいのは分かる。
でも…今はマイキーを信じて大人しく見守るしかねぇ」



「っ……」



けんちゃんの言う通りだ…



分かってる。



結局私はイザナを止めることも、マイキーに大切な事を伝えることもできていない。



「…っなんだよ…やりゃあできんじゃねぇかよ…マイキー！」



イザナがふらりと立ち上がる。



「上等上等…楽しくなってきたなぁ！！」



イザナの拳が振り下ろされる前にマイキーの拳が彼の腹にはいった。



「ぐっ！！」



「なんで！そんなになっちまった！！
お前を救いたいのは俺だけじゃねぇ！
六花の願いでもあるからだ！！」



「！！」



マイキー…


「あいつは…お前を信じてた。

イザナは…意味もなく人を傷つける奴じゃないって」





『イザナは…皆が思っているような人じゃない…そんな人じゃない…』





「お前が幸せにしてるかどうか…気にかけて…ずっと幸せならいい、って思ってた」




『どこにいても…どんな場所でも…


イザナが笑っていられますように



幸せでありますように……』





どこかできっと



同じ空の下……



貴方が笑顔でいてくれる事……




「っ……うる、せぇ…てめぇがそれを…っ奪ったんだろうがっ！！
唯一の俺の心を救っていたものを！！
てめぇが壊したんだろうが！！
マイキー！！」



「壊したのはお前自身だろっ！」



「っ！？」



「今…この状況を見守る六花の顔を…見たか？」


マイキーの言葉に…


イザナが私を視界にうつす。



「苦しんでる」


「！」


「…俺とお前が争う事に…あいつは苦しんでる…悲しんでんだよ。


イザナ…お前の六花に対する気持ちが俺と同じなら…

六花に、笑っててほしい。

そう思ってんじゃねぇのか？」



マイキーに言葉に…胸が締め付けられた。