「……ん…」


薄ら瞳を開く…



眩しい光に頭がクラクラした…



ここ…は……



私……







『いい子におねんねしときな……お姫様』






「！」



最後に見えた不敵な笑みに私は瞳を開くと起き上がる。



「うっ…」



視界がぐらりとゆれて、一瞬気持ち悪さを感じる。



きっと、あのよく分からない薬品のせいだ。




「……ここ……どこ？」



クラクラする頭を押さえながら周りを見渡す。




私が寝ていたのはフカフカのベット。



クイーンサイズぐらいあるだろうか？



かなり大きなものだ。





ここは……どこかのホテル？かな？




凄く豪華で広い。



泊まったことはないが、これがもしやスイートルームというやつだろうか？



ふと足元にあった鞄を見つけて私は慌ててそれを掴むと中を漁る。



「ない…」



携帯だけがなくなっていた……




ここは一体……


ベットから降りようとしてふと扉が開く音がした。



コツコツと靴音が近付き、私は思わず鞄を抱きしめる…




「……目、覚めたか」



誰………？




部屋に入ってきたのは、額に大きな傷がある黒髪の男の人…


赤い特服を着ているから、間違いなく天竺の人だ。



あれ……？



この人……




「え……もしかして…鶴蝶、君」



そう懐かしい名前を呼ぶと、男の人はさっきまで険しかった表情を少し緩めた。



「久しぶりだな…六花」




「な、なんで鶴蝶君が……」






『鶴蝶とは施設を出てからもつるんでて…』




『俺は……幼なじみの鶴蝶に撃たれて…』






「……鶴蝶君も…天竺…なの？」



「…ああ。」



「ここは、どこ？なんで私…」



「イザナの命令だ」



「っ！なんで！？」



「……」



鶴蝶君は何も答えない…




「鶴蝶君……なんで…なんでイザナは…こんな風になっちゃったの？
私の知ってるイザナは…ぶっきらぼうで、少し照れ屋で…お母さんや妹を大切に想ってる、優しい人だった。


それなのに…どうして……」




「……色々…あったんだ。イザナにとって……耐え難い、苦しい日々が…」



「え…」



「俺は……ずっとあいつの隣で、変わっていくイザナを見てきた。」




「どういう…事？」



見つめる私の瞳に鶴蝶君は急に膝をつくとバッと床に頭をつく。



「！？ちょ…何してるの！鶴蝶君！」