不安で



不安でたまらなくなる。




いつか…




六花が遠くに行ってしまうのではないかと…



酷く



怖くなるんだ。




俺は六花の前では




無敵なんかじゃねぇ




弱い



怖がりの男になるんだ。



六花を失う事が…



この世の中で



1番こわいんだ。











「花垣……イザナの狙いはマイキーだけじやねぇ」



「え？」



見下ろしてきたむーちょ君を俺は見あげる。



「九井の金…稀咲のブレーン、マイキーのカリスマ性…


そして…イザナが最も欲している者。



それが…道成寺六花だ」



「なっ……」



「俺は…あいつが出てくるまでの間、道成寺六花の見張り役も担っていた。
行動を把握して…傷つけないため。

さすがに血のハロウィンの時は焦ったがな。

まぁ、あの時あの女を殴った男は…イザナが裏で手を回して消えてもらった」



「！き、消えてって…」



「とにかく…イザナにとっての道成寺六花は特別。
天竺を作ったのも…ある意味あの女の為でもあるんだからな」



「…黒川イザナは…六花ちゃんの事がずっと好き、だった…」



「好きなんて可愛いもんじゃねぇよ。あれは……異常なぐらいの…

執着心」



「で、でも！六花ちゃんはマイキー君の大切な人だろ！六花ちゃんが黒川イザナを選ぶなんて有り得ない！」



俺は知ってる。



あの二人の深い絆を。



離れ離れになる事なんて…



そこで俺はハッとする。



やっぱり…六花ちゃんを植物状態にしたのは…黒川イザナ自身だとしたら…



真一郎君を奪われたと思い、六花ちゃんもマイキー君のものだと知った時…


黒川イザナはどう思ったのだろう？



あれだけの嫉妬心をむき出しにする奴だ…


六花ちゃんに手をかけても…おかしくはない。



「道成寺六花はイザナを選ぶさ。」



「な、なんでそんな事言いきれる！」



「この数ヶ月…あの女をみていて思った。人の痛みに敏感で、同じように痛みを感じる…

呆れるほどのお人好し…


だからこそ……イザナの苦しみ、悲しみを知った時……

イザナを突き放す事はあの女にはできない」



「苦しみ？悲しみ？」



なんの話だ……





「お前には関係のない話だ。

だが…イザナの想いに…道成寺六花は答える。答えるしかなくなる……」