「…なんで…なんで！」



「武道君……」



俺はテーブルを叩いて手を握りしめた。




「だって…マイキー君…言ってたんだよ…」



あの日…



クリスマスの日に…




『六花は…俺にとって太陽と同じなんだ。

あいつの笑顔が、存在が…俺の闇を溶かして、暗闇から引き上げてくれるんだ。

六花がいなかったら…


俺は俺じゃなくなる…』




マイキー君にとってのかけがえのない存在……




『六花の前では…俺は弱くもなれる。
ずっと強くいなくてもいいんだって思わせてくれる……俺の……』







「帰る場所なんだ、って……」




そんな風に言っていた人を、何故…




『たけみっち…今度こそは未来で、お酒飲みに行こうね』




約束だよ…




「っ……六花ちゃん…なんで…」









「はぁ〜…いい湯だなぁ…」



程よく流れる冷たい風と熱いお湯…




「最高だ…」



「ばぁさんかよ…」



スイスイと露天風呂の中を泳ぐマイキー。



「マイキー」



「ん〜」



「アレってなんだろ…」



お風呂から身を乗り出して、海側とは反対の山側に提灯だろうか…赤く光るものが見える。


遠目だが人もいるみたいだ。



「祭り、でもやってるみたいだな」



「え〜！行きたいー！」



「やだよ。面倒臭い」


人混みだし…とマイキーは乗り気じゃなさそうだ。



「えー行こうよ〜だって夏祭りの埋め合わせ、まだしてもらってないし」


そう言ったらマイキーはうっ…と顔半分までお湯につかる。



「……分かったよ」



「わーい！やったー！」