『こいつ、六花。俺のもう1人の妹みたいなもん』



真一郎君の背中に恥ずかしそうに隠れて、六花と呼ばれた少女は俺をチラッと見た。




ちっさくて…弱そうで……

まさに守ってやらなきゃ、と思わせるような…そんな存在に見えた。




『可愛いだろ？』



少女の頭を撫でる真一郎君。



『あ、虐めんなよ？弟の大事なお姫様だからな』




でもしばらくして…



その少女をパタリとバイク屋で見なくなった…




『あの六花って子…最近いないな』



そう言った俺に真一郎君はタバコを咥えながら少し困ったように笑った。



『…色々あってな…もう来なくなったんだ』




後から先輩達に聞いた話によれば、家が家事にあい、あの少女は大火傷を負ったらしい。


結構大ニュースになったらしいが…


しかも…


少女は事故の後遺症で……


記憶を失った……




『何にもしてやれねぇ…それが悔しい』




いつか…




真一郎君がそう言っていたな…





「…………」



「あん？どうした？イヌピー…マイキーの女が気になんのか？」



ニヤッと笑ったココに俺は道成寺六花から視線を逸らすと背を向けた。




「…行くぞ」















「六花！早く！早く！」



「ちょ、マイキー！待ってよ！早い！」



マイキーは私の手を引きながら走る。


何をそんなに急いでいるんだろうか…



珍しく休みなのに朝から早起きして私を叩き起してきたマイキー。



朝ごはんを食べると、休む暇もなくマイキーに外に連れ出された。



か、髪ボサボサなんだけど…



「ってかマイキーなんかオイル臭くない？」



白い繋ぎの服も何故か汚れてる…



「けんちーん！」



「え？けんちゃん？」



マイキーが手を振った先にはけんちゃんと、修理されてる様子の1台のバイク。



「おお、来たか六花」



「おはよ、けんちゃん。……このバイクって…マイキーのバブ？…あれ？でもなんかちょっと違う？」



マイキーのバブに似てるけど、少し違うようだ。



「けんちん、どう？」



「もうちょい…よし、マイキーエンジンかけてみろよ」



「ok〜」



マイキーはポケットから鍵を出すとバイクのエンジンをかける。



大きな音をたててエンジンがかかると、マイキーとけんちゃんは嬉しそうに手を合わせた。



「？このバイク壊れてたの？」



「これは、たけみっちのバイクだよ」



「え？たけみっち？」



首を傾げた私にマイキーがニッと笑う。



「たけみっち呼んでくる！」



「さっき連絡したからもう来るだろ」



「待ちきれねーよ！」



そう言うとマイキーは走っていく。



「子供か…」



フッと笑ったけんちゃんに私は首を傾げる。



なんのこっちゃ………