「武蔵野神社未成年殺人事件…これって…」


ペラペラ書類の束を捲っていると、ある過去の新聞の記事に目がとまる。


「ん？2005年、かぁ〜僕小学生だな〜」


「チョコついてる…2005年8月3日？」


「8月3日なら先月っすね」


「………」



【…今日はさ…あいつ…友達の命日なんだ】



私は自分の携帯の着信履歴をめくる。


マイキーが私をバーに誘った日。


「8月3日だ…」


私は記事に視線を落とす。


2005年8月3日


東京都渋谷区の駐車場で
暴走族グループ50人が乱闘。
15歳の少年がその際に腹部を刃物で刺され


「死亡…」


「えぇ…こわ、しかも刺したのも未成年じゃないっすか。中学生でしょ？
暴走族って…今の時代には有り得ないっすよね〜」


間違いない。きっとこれがマイキーの言っていた友達だ。

この日

彼は友人を失った。


新聞には未成年という事もあり刺した相手も亡くなった者の名前も記載されていない。


だが、当時の裁判記録には詳しく書かれている。

被害者、龍宮寺堅当時15歳。



「……あれ」



この名前


聞き覚えが、ある、ような…



でも



どこで？



『ドラケンはさ、ああ見えて優しいんだよね』



「！」


何？



今の



「先輩？大丈夫っすか？頭、痛いですか？」


顔を覗き込んでくる下原君にハッとする。


頭を押さえていた手を離す。


「あ…ごめん。なんでもない。ちょっと…」


なんだったの？今の。


最近よく見る夢…


懐かしく感じる記憶。



私



どうしちゃったんだろう。